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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第1章 緑珠守護団 編
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41.闇騎士のウワサ

「とりあえずケイレブには悪いが、この後少し休憩をしたら王都へ人員要請の為戻ってもらう。ついでに現段階での報告も頼む」

「了解。せっかく戻ってきたからウワサのハヤテくんと色々喋りたかったけど仕方ないねー。またすぐ戻ってくるからその時沢山話そうね」


こちらを見て肩をすくませるケイレブ。

俺も頷いておいた。


森の主(スフェーン)の足取りの方だが、俺たちはさっき緑珠の祠や、裏手の崖周辺を再度見に行ってきた。ただ恐らく今はあの辺にはいねぇだろうな」

「崖の中の地底湖には数匹の森林竜(シルワドラコ)を見かけたんだけど、森の主(スフェーン)の気配はなかったわね」

「俺は火炎熊(イグニスウルスス)がいたって聞いてたあたりを見てきたんだけど、あの辺りにも森の主(スフェーン)の気配はなし。ついでに大量発生してた火炎熊(イグニスウルスス)も今はなし。あ、ちなみに肉とかそのままにしてたでしょ?瘴気発生し始めてたからあれ全部燃やしてきちゃったよ」

「あ!」


そういえば肉を持ち帰る準備をしてた時に森の主(スフェーン)の崖にぶつかる音が響いて、その後はそっちの事件のコトが大きすぎてすっかり忘れていた!

チラッとライアンや隊長を見るとバツの悪そうな顔をしてるのでみんな忘れてたんだろうなと思う。


「ロバート、その件に関してはホントすまない」

「もう、隊長も気をつけて欲しいっす」

「いやー、面目ない」

「あ、ちなみに魔石は回収しといたよ。はいこれ。んでそっちはどうだった?」


コロン、とテーブルの上に火炎熊(イグニスウルスス)の魔石をだすロバート。

あ、俺も黒い魔石ポケットに突っ込んだままだった。

ポケットからその魔石を出すと、ロバートの置いた火炎熊(イグニスウルスス)の魔石の横にそれを出す。

見比べてみると火炎熊(イグニスウルスス)は赤い綺麗な色をした魔石に対して、森の狼(シルワルプス)の魔石は黒曜石のような、ほんとに真っ黒の石だった。


「俺たちは、前に俺が森の主(スフェーン)に吹っ飛ばされた辺りを中心に見て回ってて、各自それぞれ少しバラけて捜索してた時に俺、森の狼(シルワルプス)に襲われてさ」

「え、ハヤテ一人で森の狼(シルワルプス)と戦ったの?大丈夫だった?」

「あ、助けてもらったから大丈夫。これ、その時の森の狼(シルワルプス)の魔石ね」

「これ、森の狼(シルワルプス)の魔石なの?色、違くない?」


ロバートが手に取り眺めている。そして、あ、という顔をした。


「その魔石、魔力が抜けてるんだ。んで、その時俺を森の狼(シルワルプス)から助けてくれたのが闇騎士(ダークナイト)

闇騎士(ダークナイト)?!」


驚いた声を上げたのはケイレブだった。

そういえばケイレブって王都にいたなら闇騎士(ダークナイト)の事知ってそうだよな?


「ケイレブ、闇騎士(ダークナイト)に会ったことある?」

「……まぁ、あるっちゃあるな」


妙に歯切れが悪い。もしかして……?


「……正体、知ってたりする?」

「わるい、一応約束だからそれは言えない」


知ってる、と白状したようなもんだけどみんなそこには触れないでいる。

するとロバートが口を開いた。


「まぁその闇騎士(ダークナイト)がハヤテ助けたとして、魔石黒いのはなんで?森の狼(シルワルプス)の魔石なんでしょ、これ」


そこでみんなにもう一度、闇騎士(ダークナイト)が出していた剣の話をする。


「消える黒い剣……」

「ケイレブ、正体は秘密として武器に関してなら言えるだろ?」


隊長も知らない情報だったのかケイレブに問いただす。


「まぁ、正体だけは言うなってことなんで、それ以外なら知ってることは答えますよ。あの武器は無属性の闇魔法で作り出してるみたいですね」

「へぇ、剣を持ち歩かなくていいなんて便利だな」

「そこ?!」


隊長が感心してるのを見てロバートが声を上げている。


「その闇騎士(ダークナイト)がこの辺にいた理由はわかるか?」


隊長のその問いにはケイレブは首を振った。


「いや、それはちょっと……もう少ししたらこっちに来る予定はあったんですけど、今はまだ顔は出さないはずだったんだけどなぁ」

「来る予定があったのか?ここに?」


ライアンがそこに食いつく。会いたがってたもんなぁ、闇騎士(ダークナイト)に。


「まだ情報規制かけてるんですけど、近々黒の大陸に偵察隊出すんですよ」

「え?!黒の大陸って『何人(なんぴと)も侵入を許さず』って海から陸に上がれないって言う()()黒の大陸?!行く方法わかったんすか?!」


今度はロバートがケイレブににじり寄る。


「元々行く方法はわかってたみたいだな。ただ実行できるものがいなかったから、あえてその情報を隠してたらしい」

「それと闇騎士(ダークナイト)と何の関係があるわけ?」

「そこに繋がるんだよ。黒の大陸に行くには闇の鎧の適合者が必要だったんだ」


ケイレブが言うには、元々王宮の機密文書には黒の大陸への渡り方は伝わっていたらしい。

ただ、行くためには闇の鎧が必要で、あの重さの鎧を持ち歩く訳にも行かず途方に暮れた末、別の方法をずっと探していたと。

ただ、最近になって闇の鎧の適合者が現れ、装備して動けるようになったため初めに聞いた方法で渡ることにしたらしい。

ただ一人で行かすわけにはいかず今は同行者を探しているとか。


闇騎士(ダークナイト)と一緒に黒の大陸に行けるなんて凄いじゃない!希望者殺到してるんじゃないの?」

「そこがまた難航する理由があって、同行者にも適性検査を受けてもらってクリアしないとダメなんだ」

「適性検査……?」

「そう。それをするのに今度闇騎士(ダークナイト)をここに連れてくる予定だったんだけど。なんでこの近くいたのやら……」


パン!


隊長が手を打ち鳴らす。


「まぁ、みんなも闇騎士(ダークナイト)の事が気になるだろうが今ここにいないやつのことは一旦置いといて、森の主(スフェーン)の話に戻そうじゃないか」

「そうね、そのうちここに来るみたいだし、質問はその時本人にしましょ」

「だな。まずは森の主(スフェーン)捕まえなきゃな。罠をどんなものにするか、どこに張るか、万が一捕獲できたとしてその後緑珠はどう取り出すのか」


ジェシカが隊長の言葉に頷き、ニコラスが指で数えながら問題点をあげていく。


「あ、緑珠の取り出す方法、それについては考えがある」


一番の難題と思われた、緑珠の取り出し方法。


──それはこの場ではケイレブしか気づけない、予想外な方法だった。


「今話題に上がってた闇騎士(ダークナイト)、あいつが魔物から魔力を抜けるのはさっきの魔石の件で話したろ?緑珠って確か魔力の塊だよな?てことはどうにかして捕獲した森の主(スフェーン)から緑珠の魔力を抜いて、それを闇騎士(ダークナイト)に祠の切り株のところで放出してもらえば、少なくとも元の場所に戻ったことにならないか?」

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