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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第1章 緑珠守護団 編
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40.昼食タイム

すっ、と手を出されたのでこちらも握り返す。


「俺はケイレブ。緑珠守護団(ここ)と王都の騎士団の伝令係だよ。俺が王都に行ったすぐあとに入ったんだって?」

「はじめまして、ハヤテです。そうです、確か三ヶ月とちょっと前に入団させてもらいました」

「なんか面白いことをするってニコラスとハッサンが言ってたから、会うの楽しみにしていたんだ。色々話を聞かせてくれよ」


ニコラスとハッサンめ……またハードル上げてくる!


「あの……特にそんな面白い話はないので期待しないでください」


期待に添えないことを伝えていると、後ろからハッサンに羽交い締めにされる。


「おーう、久しぶりだな、ハヤテ!ロバートに聞いたんだが、なんか俺とニコラスが王都に行ったあとで詰所の外の雑草に埋もれてた湯浴み室改造して使えるようにしたんだって?」

「ハッサン久しぶり……てか苦しいから手を離してー!」


腕を緩めてもらい、改めてハッサンと向き合う。


「おかえりー。そう、ちょっと自慢の露天風呂になったから是非使ってみて欲しい!ちなみに俺だけじゃなくてライアンとかロバートとかみんな手伝ってくれたからな?」

「『ロテンブロ』って名前付けたのか?楽しみだぜ!」


入口でワイワイ話していると、詰所に先に入っていたジェシカが俺たちを呼びに来た。


「はーい、いつまでも入口でおしゃべりしてないで中に入ってちょうだい。とりあえずお昼食べてから会議よ」


手招きされ、食堂の席に着く。

テーブルの上にはいつものパンとさっき持って帰ってきた森の狼(シルワルプス)のステーキ、マッシュポテトが用意されている。


「あとはスープを持ってくるわね」

「これ、ジェシカが作ってくれたの?」

「そうよー、簡単なもので悪いけどね」


ジェシカもさっきまで森に捜索に行ってたはずだから、すごく短時間で用意してくれたみたいだ。


「ジェシカありがとう!スープ俺が持ってくるよ!」

「ありがとう。ちょうど肉があったから焼くだけで済んで良かったわ。ハヤテたちが獲ってきたんでしょ?」


俺がスープを取りに台所へ向かうと、大丈夫よー、とジェシカもついてきた。


「持って帰ってきたのは俺たちだけど、倒したのは闇騎士(ダークナイト)だよ」

闇騎士(ダークナイト)?ってウワサの?」

「あ、ジェシカは知ってたんだ、ウワサ」

「巡回中に他の団員たちとすれ違うことがあるのよ。そういう時にお互いの情報交換したりするのよね。その時にチラッと聞いたのよ。あ、ちなみにアタシはハヤテの事褒めまくっておいたわよ」

「へぇ?!」


ちょっと、何勝手に人をウワサの種にしてくれてるのー?!


「何話したんだよー!」

「ん?面白い魔法の使い方をする期待の新人が緑珠守護団(ウチ)にいるのよー、いいでしょー!って」

「うわー、やめてー!恥ずかしいー!」

「だぁって、王都のヤツ『うちには闇騎士(ダークナイト)っていう隠し玉がいるんだぞ』って自慢してくるから、ついカッとなっちゃってぇ」


闇騎士(ダークナイト)と並べないでー!

そんな話をしつつ、台所に着くと用意されているスープは牛乳にコーンをそのまま浮かべたような飲み物だった。

飲み物っていうかコーンに牛乳をかけたような、とでも言った方がいいのか。


「これ……スープ……?」


人様がせっかく作ってくれたものに口を出すのはマナー違反とわかってはいるものの、つい聞いてしまった。


「そうねぇ、スープにしては具が多いわねぇ」


他人事のように、頬に手を充てて首を傾げているジェシカ。


「いやね、なんかとうもろこし(ゼアメイス)が沢山取れたらしくてすごくいっぱいあったのよ。使い切れないと勿体ないじゃない?だからあるだけ入れてみたのよ。やっぱりとうもろこし(ゼアメイス)多すぎたわよねぇ」

「ちょっと味見してもいい?」

「いいわよー」


スプーンですくって口へ運ぶ。ほぼコーンしかすくえなかったけど……

ただ、すごく甘いコーンでこれだけでも美味しい。牛乳の方にもコンソメのような味が付いていてこれも美味しかった。

なんかコーンポタージュみたいだな、と思って閃いてしまった!

これ、混ぜちゃえば良くない?コーンポタージュみたくなるんじゃない?

俺は洗って乾かしてあった回復薬の瓶の中に、コーンと牛乳を少し入れて、雑草を刈った時に使った風魔法をすごく小さくして、ビンの中で起こした。

すると思った通り、ミキサーのようにだんだんコーンが削れて小さくなっていった。

飲んでみるとやっぱりコーンポタージュ!


「ねぇ、ジェシカ!このスープ混ぜてもいい?」

「……今、一部始終見てたけど……また変なことしてたわねハヤテ……」


そこで諦めたように首を振り、鍋のフタを取り出すと鍋の上に乗せた。


「さっきみたいに混ぜるんでしょう?ならフタしないと飛び散るわ。アタシが鍋とフタ押さえておくからハヤテ混ぜてちょうだい」

「おっけー」


ジェシカに押さえてもらいながらある程度混ぜ終わり、少し火にかけて食堂へ持っていく。


「お待たせ〜」


ドン!


とスープの鍋をテーブルの真ん中へ置くと、みんなにスープ用の皿を配る。


「各自好きなだけ飲んでちょうだい」


ジェシカがそういうと、みんなスープへ群がってきた。


「え、何このスープ……ジェシカとうもろこし(ゼアメイス)のスープ作るって言ってなかった?」

「ええそうよ。とうもろこし(ゼアメイス)のスープ作ったわよ。仕上げはハヤテがやったけど」

「いや、俺混ぜただけだし」


ロバートが不振な顔をしながらジェシカに尋ね、俺の名前が出ると納得した顔になる。

いや、俺はそれが納得出来ねぇよ……


「いつものハヤテのかー!じゃあ美味しいやつだ!俺いっぱいもらお」

「おいロバート!そこは久々に帰ってきた俺だろ?!」

「いや、ここは初めての俺じゃない?」


鍋の周りでロバートとハッサンとケイレブでわちゃわちゃし、いつの間にかみんなに皿を渡され配膳係になっていた。

俺もそっと皿を渡しスープを入れてもらう。

全員にスープが行き渡ったところで隊長が口を開いた。


「よし、まずは飯を食っちまおう!その後それぞれの報告から始めるか!では、『イタダキマス』」

『イタダキマス!』


あれ?!いつの間にかいただきますの声掛けが定着してる?

隣のロバートを見ると、鼻をふくらませて若干ドヤ顔をしている。


「ハヤテ驚いた?俺密かにみんなに『イタダキマス』広めてたんだ!さっきケイレブや隊長にも教えたんだよ」

「あー、だからかぁ。突然でびっくりしたよー!じゃあ俺もいただきます!」


全員でいただきますの号令で食事をするなんて、小学校の給食以来な気がして少し笑ってしまう。

いつもの通り、俺とロバートでパンを温めて、それを見たハッサンが真似をして驚いて……という一連のお約束の流れをし、ある程度みんなのおなかが膨れたところで報告会が始まった。



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