表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
最終章 緑珠奪還 編
205/226

5.懐かしの味

「なるほど……?ジョンの魔力が素材同士を混ぜるのに効果を発揮するのか」


エレンは納得したようにジョン作の上級回復薬と雑草スープを見比べている。


「ということはこの通常よりも効果のある回復薬を作るにはジョンの魔力が必要……しかしそうするとシノブのように魔法アレルギーのあるものには逆効果……」


またもや自分の世界に入ってしまったエレンを横目に、俺はさっきテセウスさんがどこからともなく取りだした空き瓶を一つ拝借して魔力水で満たす。

それを飲みながら何となくジョンの作った回復薬を見ていると、


パチパチッ……


ん?


瓶の中で何かが弾けた音がした。

よくよく見てみると、ジョンの作った回復薬の瓶の中はたくさんの気泡がついている。


「わ。ジョンの回復薬って炭酸みたいな感じなのか?」

「タンサン?」


聞いた事のない言葉だったのか、エレンは首を傾げる。


「ちょっと飲んでみてもいい?」

「あぁ」


許可を取って空き瓶に少しもらうとそれをぐいっと口の中に流し込む。


パチパチパチッ!


一気に流し込んだ回復薬が、喉の奥でパチパチと弾ける。この感覚、懐かしい!

マジで炭酸みたい。


「うわ、久々の感覚!」


俺が一人でテンション上げていると気になったのかエレンやテセウスさんも少しづつ回復薬を口に含んだ。


「これは……?」

「なんだ、不思議な感覚が……」


こちらの世界に炭酸はないみたいだからきっと初めての感覚だよな。初めての炭酸ってびっくりするよな。


「あー、コーラ飲みたくなってきたー!」


炭酸に喉を刺激され、前までよく飲んでいた炭酸飲料の代表とも言えるコーラが急に恋しくなる。

まぁ、ここじゃ飲めないけど……


「コーラって手作りで作れるらしいよ」

「え、マジで?」


にーちゃんがそんなことをポツリと言う。


「確か元々栄養ドリンクなんじゃなかった?スパイスとかハーブと柑橘系の果物と砂糖で作るんだったはず。って言っても僕も詳しく覚えてないけど」

「そうなんだ?!スパイスとかハーブならここにもあったのになぁ。でも材料覚えてないと無理だよなぁ、じゃあ諦めるしかないか……」


俺とにーちゃんがそんな話をしていると、ロバートが興味津々に話題に食いついた。


「なぁ、俺も今ジョンの回復薬ちょっともらったんだけどアレ、面白いな!ハヤテたちのとこあーいう飲み物がたくさん種類あるのか?!」

「まぁ、色々あるな」

「わー、いいなー!俺もその『こーら』っての飲んでみたかったなー」

「コーラの他にも他にもはちみつレモンのソーダとかよく飲んでた……な……?あ。そうだ」

「え?疾風(はやて)今『ソーダ』と『そうだ』かけた?」


にーちゃんのツッコミは聞かなかったことにして、俺は部屋の中をキョロキョロと見渡す。


「なんだ?何か欲しいものでもあるのか?」


気遣いの達人、エレンが俺の様子に気づき声をかけてくれた。


「なぁエレン。レモンあるか?」

「レモン?多分台所にあると思うが」


そう言って席を立ったエレンは直ぐにレモン片手に戻ってくる。


「ほら」

「サーンキュー!」


ついでにジョンの回復薬講座用に用意してあった回復薬の材料からミントと回復薬の花の蜜もわけてもらう。

それらを混ぜて、俺は最近この世界で流行り始めているレモン水を作った。


「あのさ、にーちゃんにお願いがあるんだけど……」

「え、僕?!」


レモン水のコップとジョンの回復薬の瓶を持ち、にーちゃんに詰め寄ると俺は可愛くお願いをする。


「この回復薬からジョンの魔力抜いてレモン水(こっち)に移せない?」

「あぁ、そういうこと」


俺がやりたかったことをにーちゃんは理解してくれたのか、「いいよ」と請け負ってくれて、ジョンの魔力が入った回復薬に闇の魔力を纏わせる。

緑珠の回収に必要だから、と、にーちゃんは魔力を吸い出す特訓をしてくれていたみたいで、スムーズにジョンの魔力を吸い出していた。

そしてすっ、と俺の作ったレモン水へ魔力を移す。


おお、こんな簡単に魔力吸い出せるの?!

これなら緑珠の魔力を吸い出すのも問題ないんじゃない?!


俺が感心していると、にーちゃんは、「はい」とレモン水を俺に差し出した。

レモン水はパチパチと弾け、レモン水からレモンソーダに変わったことが目に見えてわかる。


「おお!ありがとー!!」


それを受け取り、ロバートの目の前に突きつけた。


「ロバート!コーラはちょっと無理だけどレモンソーダなら飲めるぜ!一緒に味見しよ……」


既視感のある視線の雨が俺に突き刺さる。

テセウスさんもエレンもその視線は俺の手元のレモンソーダに釘付けだ。


「……みんなで……味見するか?」


無言で頷くみんなの視線の圧力の中、また一口しか飲めないのか……と、軽く絶望した俺だった。


コーラの作り方を調べてみたら

クローブ、カルダモン、シナモン、スターアニス、ジンジャー、ブラックペッパー、三温糖、バニラビーンズ、柑橘類を皮ごと煮込んで一晩置けばコーラのシロップになるのでそれを炭酸で割る、というざっくりな感じでした。


え?これ材料さえ集めればそれっぽいの結構簡単に作れるのでは……??


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これ、ニイチャンは飲めないのでは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ