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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第3章 黒の大陸 編
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70.増えた薬草料理

ちょっと前話(69話)の後半を少しだけカットして今回の頭に持ってきました……

すみません。

疾風(はやて)の露天風呂、楽しみだなぁ。それって魔力気にせずお湯に入れるってことでしょ?ほら、僕魔法使うにも魔石がないと使えないから……」


にーちゃんがそこまで言って、みんなで顔を見合わせると「あー!」と叫ぶ。


「あれ?!ルシアノさん湯浴みしろって言ってたよな?料理も作れるってもしかして……」


湯浴み用の桶の上に手をかざし、水を出す。すると……


バシャァ!


「あ!水が出た!魔法使えるぞ?!」

「なら、早速テセウスさんに報告しないと!」


にーちゃんはそう言いながらテセウスさんとの通信用の魔石を取り出し、黒の大陸の浄化は終えたこと、その際瘴気がこちらの大陸まで漏れ出たこと、あとから浄化の光が追って瘴気の浄化をすること、ピスカでは今のところあまり影響が出ていないことを簡潔に魔石に向かって話しかけた。


「一方的だとちゃんと伝わってるかわからないよね……」

「とりあえず報告はこれで出来たから、早く王都に戻って顔を見せてやろうぜ」


そんな話をしつつ俺たちはササッと順番に湯浴みを終え、サッパリしたところで食堂に戻った。

俺たちの顔を見て厨房の奥からルシアノさんが顔を出し声をかける。


「お、降りてきたな?飯の準備出来たぞ!席について待っててくれ」


俺たちが席に着くと、ルシアノさんは次々と料理をテーブルに並べ出した。

美味しそうな料理でテーブルが埋め尽くされる。


「さぁ、たんと召し上がれ!」


漁師のごった煮(アクアパッツァ)を始め魚介のトマト煮(ブイヤベース)魚介炒めご飯(パエリア)海の幸のオイル煮(アヒージョ)などふんだんに魚介を使った料理が所狭しと並べられている。


「うわぁ……」


黒の大陸に行っていた時は携帯食しか食べていなかったから、突然のこの視覚の暴力に胃袋が耐えきれず、ぐぅぅぅ……と鳴り出す。


「いただきまーす!」


俺たちは各々好きな料理に手を伸ばし、小皿に取り分け口に頬張っていく。


「うまー!」

「マジで美味い!これもしかして全部に薬草入ってる?」


目をキラキラさせながらロバートがルシアノさんにそう聞くと、やっぱりハーブを使っているらしい。


「オセアノにも相談してな、この薬草を使った料理を俺たちで広めようということにしたんだ。今頃、王都のアイツの店でも同じように色々薬草を使ったメニューを考案しているはずだぜ」

「わぉ、ハヤテの薬草料理がそんなに……」

「いやだから俺の薬草料理じゃねぇって……」


何故か俺発祥になりつつあるハーブ、薬草を使った料理はこの世界の人たちにめっちゃウケているらしい。

まぁ料理は美味しい方がいいしな、広まるのは大賛成だ。


「ほら、喉もかわいてるだろ?これも飲んでくれ」


ドン、とテーブルに置かれたのは……


「あれ、これって……?」

「オセアノさんに教えたはちみつレモン?」


ルシアノさんが運んできた飲み物、それは俺がオセアノさんに教えたはちみつレモンもどき、レモン水だった。


「オセアノとやり取りしてる時にこの作り方も聞いたからな。うちでも出してるんだ。これ、薬草使ってるんだろ?作り方も難しくないし、町の奴らに教えたらそれぞれ好きな薬草使って飲んでるみたいだぜ?薬師のやつが、急に薬草の消費が上がったから仕入れが大変だって騒いでたぜ」

「え、それって本職の薬師の仕事に影響あるんじゃ……?」

「それがな。テセウス様も薬師だろ?薬草が普及するのはいい事だからって新しく薬草畑増やしてくれるらしくて薬師のやつも大喜びだったよ」


こんなところにも影響が……


「薬師のやつ、今までこんなに薬草自体に注目されたことがなかったから嬉しいっつってたぞ」

「そうだな、今までは薬草はただの回復薬の材料としか思われていなかったからな。これからもっと薬草が普及すればさらに研究のしがいが出てくるというものだ」


薬草の話になり、エレンが瞳を輝かせる。

会話をしながら、こくりとレモン水を口に含んだエレンは目を丸くした。


「ハヤテ、これ……」

「え?」

「回復薬と……薬草か?」

「そうだと思うけど……」


俺が実際に作ったわけじゃないから詳しい材料は分からないけど、でも俺の教えたレシピで作ったんならそのはずだ。


「なるほど……薬草の相乗効果……」


エレンは真剣な顔になると、そのレモン水をちびちびと何かを確かめるように飲み始めた。


バン!


そんな中、突然うみねこ亭の入口が乱暴に開かれる。


「あの!ここに王都の薬師がいると聞いたんだが……!」


開いた扉から一人の男の人が慌てた様子で入ってくると、ルシアノさんがいる俺たちのテーブルへ駆け寄ってきた。


「ルシアノさん!薬師の方は……?!」

「私だが……?」


レモン水を片手に飲んでいたエレンが手を挙げる。


「あなたが……?」


思っていた薬師と違ったのか、その人は一瞬戸惑った顔をしたものの、すぐにエレンに向かって頭を下げる。


「うちの患者で、私では症状が分からない患者がいる。診て貰えないだろうか?」

「……行こう」


サッと席を立つと、エレンは部屋に診療用の道具を取りに行きすぐに戻ってきた。


「ちょっと行ってくる」


そう言い、こちらにぺこりと頭を下げた男の人はエレンとともにうみねこ亭を後にした。



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