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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第3章 黒の大陸 編
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41.原点

「ハヤテと闇騎士(ダークナイト)が……ワタリビト?」


話を一通り聞いたジェシカとライアンは目を丸くさせている。


「へぇー、話には聞いたことはあったけど実際に見ることになるとは思わなかったなー。見た目俺たちと変わらねぇんだな」

「でも確かに言われてみればハヤテって突拍子ないアイデア思いついたりするじゃない?だからアタシはワタリビトって聞いて『あぁーなるほどー』って逆に納得しちゃったわよ」


二人とも俺がワタリビトと知っても特に態度を変えずに接してくれる。

にーちゃんに対しては闇騎士(ダークナイト)ということもあってまだちょっと一線引いているみたいだけど、でもそれだけだ。


「あ……」


ただじっと俺たちの話を黙って聞いていたロバートがなにか思い出したように口を挟む。


「そういえばジェシカ。お前、エレンがいるけど大丈夫なのか?アイツ未だにお前見ると嫌な顔するんだろ?」

「そうだ、それを僕も聞きたかったんだ。実は前に一度見かけたのが守護の森の地底湖の近くだったんですけど、その時エレンと揉めてたみたいなんで大丈夫かなと思って」


ロバートとにーちゃんがジェシカにそう確認をする。

え、エレンそんな心配されるような態度取ってるの?!

俺も心配になってジェシカを見るものの、当の本人は何も気にしていない様子でケロッとしている。


「やだぁ、アレ見られてたの?恥ずかしいわー。でも気にしないで。アタシの方は何も気にしてないから」

「え、でも……」


その場面を見ていたというにーちゃんが戸惑っている。どんな暴言吐いたんだよ、エレン……


「あの子の態度(あれ)はなんて言うか……懐かない猫が懐かないなりにこっちを気にしてるように見えるのよね。それにあの子、アタシと真逆にでもなりたいのか態度がものすごい紳士じゃない?それって逆にアタシのこと意識してるのかと思うともう何を言ってても可愛く見えちゃって」


ジェシカはそう言うと、


「だからアタシは楽しんでるからいいの。あとあの子がああいう態度をとるのもアタシかテセウス様の前くらいじゃない?そう言う年相応の姿も見たいのよ」


と保護者のような笑顔をうかべた。


「……確かに今のエレンの姿は昔からは想像つかないもんな。前はもっとお転婆というか先のことを考えずに突っ走っていくタイプだったもんな」


ガチャ。


前触れもなく、部屋のドアが開く。

今閉まっていたのはエレンの寝ている寝室のみだ。

……という事は……


音のしたドアに目を向けてみればそこにはエレンが立っていた。


「ロバート……今私の悪口を言っていなかったか?」

「言ってない言ってない!」

「ふぅん?それはそれとして……なんでコイツがここにいるんだ」


エレンの目は明らかにジェシカに向けられている。


「はぁい!アタシとこのライアンで黒の大陸まで船で送り届けることになったのよ。ヨロシクねー!」

「……よろしく」


ジェシカに、と言うよりはライアンに向かってそう言うとエレンは洗面所に向かった。


「あれ?思ったより平気そうじゃない?」


ロバートは呆気に取られているけど、ジェシカはどこか楽しそうに笑っていた。


「さて、エレンも起きた事だし、そろそろ食事も出来ると思うから階下(した)の食堂に行きましょうか」

「お、もうそんな時間か!俺たちさ何日か前からこの宿で待機してたんだけどここの飯、めっちゃ美味いんだよ。楽しみにしとけよ」


闇騎士(ダークナイト)の前と言う緊張も解けてきたのか、それともただ単にお腹が空いていただけか、ライアンがソワソワしながらも饒舌になってきた。


「今日の飯は何かな?楽しみだぜ」


軽い足取りで先頭を切って食堂へむかう。

そっと後ろを見ればエレンも大人しくついてきているので安心した。


食堂の席につき、メニューはどうするのかとライアンを見ると、店員に


「今日のオススメ六つ頼む!」


と元気よく注文していた。


「ここの飯、何食っても美味いからさ!いつもメニューに悩むからオススメ頼むようにしたんだ」

「アタシもいつもライアンに巻き込まれて毎回オススメ食べてるけど、ハズレがないわよ。今日は何かしらね」


しばらく待つと、店員さんがそのオススメ料理を机に運んできた。

あれ?あの料理……


「お待たせ致しました、本日のオススメ料理です。お先に四つ、残りは二つはすぐに持ってまいります」


熱いうちに先に食えよとライアンが言うので、俺たちの前にお皿が置かれる。


「いただきます」


ぱくりと一口口に含む。

あ、やっぱり。


「これ、オセアノさんのとこで食べた漁師のごった煮(アクアパッツァ)だ」

「お!オセアノ知ってんのか?」


残りの二つを持ってきた、さっきとは別の店員の声が上から降ってくる。

振り返って俺とロバートとにーちゃんの声が綺麗に重なった。


『オセアノさん?!』


そこに立っていたのは、王都の食堂で俺たちに漁師のごった煮(アクアパッツァ)を振舞ってくれたオセアノさん、にそっくりな人だった。








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