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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第3章 黒の大陸 編
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40.思わぬ再会

昨日の更新時、使用していたタイトルを今話に回しました。

内容は別物です。

それに伴い昨日の話はタイトルが変更されていますのであらかじめご了承ください。

「え?!ジェシカ!ライアンも?!」


俺たちの前に並んでいた二人組、それはジェシカとライアンだった。


「二人とも、こんなところで何してるの?!」


ロバートも俺と同じく面食らっている。


「何って……聞いてないの?アタシとライアンで船で沖まで送るって」

「船でって……もしかしてテセウスさんの言ってた『船の操縦士』ってもしかして二人?!」


ここでようやく合点がいった。あの時のテセウスさんのイタズラを思いついた顔の。


「馬力があった方がいいから魔力がバカみたいにあるライアンと、それの補佐で風の魔力制御の得意なアタシが選ばれたのよ。っていうのは建前で、ウワサの闇騎士(ダークナイト)とお近付きになりたかったからゴリ押しして来たって言うのが本音ね」


そう言ってジェシカはにーちゃんにバチン、とウインクをする。


「初めまして、闇騎士(ダークナイト)さん。アタシは緑珠守護団のジェシカ、こっちの闇騎士(ダークナイト)を前にして緊張して固まってるのが同じく緑珠守護団のライアンよ。ヨロシクね」


ジェシカの差し出した手を、にーちゃんが握り返し挨拶を返す。


「あ、僕はシノブ、です。実は前に一度だけ一方的にですけどジェシカさんのことは見かけたことがあって……ちょっとお話してみたかったんですよね」


あれ?にーちゃんとジェシカってどこで接点があったんだろ……

てか、にーちゃんの声色が若干好奇心でテンションが上がっているように聞こえる。

もしかしてジェシカが男だって気づいてなくて一目惚れしちゃったとか?!


「にーちゃん待って、ジェシカは男っ……」

「エレンの初恋の人ですよね?!」


言い終わる前ににーちゃんの声が被る。


あ、知ってたんだ。


少し食い気味にジェシカに話しかけているにーちゃんを見て、ジェシカとライアンは固まっている。


「……え、あれ?聞いてた話と違うんだけど……闇騎士(ダークナイト)喋れるじゃない!」


少し間を置き、ジェシカが叫んだ。


とりあえずいつまでも厩舎の前で立ち話をする訳にはいかないと、急いで馬を預ける手続きを取ると俺たちは用意された部屋へと向かう。

エレンが言っていた二階の奥の部屋の扉を開けるとそこは、広いリビングルームに豪華なソファと家具、それに四つの寝室がある、いわゆる続き部屋(スイートルーム)だった。


「ひっろ……」


一つだけ扉の閉まった部屋があるので恐らくそこでエレンは休んでいるんだろう。

俺たちは部屋の中央にあるゆったりとしたソファに腰を下ろした。


「うわ、めっちゃふかふか……」

「もしかしてテセウスさんの執務室くらい家具とかいい部屋なんじゃ……」


俺とにーちゃんでソファの手触りを堪能していると、呆れた声でジェシカが口を開く。


「当たり前じゃない。宰相様が、国の危機を救う闇騎士(ダークナイト)とその眷属サマ達に下手な部屋なんかあてがわないわよ。……ていうか本当に闇騎士(ダークナイト)?聞いてたイメージと違いすぎるわ……」


ジェシカの言葉に未だ言葉を発さないライアンもコクコク頷く。


「えーと、イメージと違ってごめんなさい……一応ホンモノです……」


申し訳なさそうににーちゃんはそう言うと俺たちから少し離れて立つと手に魔力を集中させ例の黒い剣を出した。


「あ、それ俺が森の狼(シルワルプス)に襲われてた時に助けてくれたやつ!」

「あ、触らないでね。魔力吸っちゃうから」


俺が思わず身を乗り出すと慌ててにーちゃんが制止する。

その剣を見てジェシカが手を合わせた。


「あ、別に疑ったわけじゃないのよ?あと気を悪くさせてたらごめんなさいね。イメージと違うって言うのも悪い意味じゃないから。すごく話しやすい感じだから逆に助かったわ」

「お、俺も闇騎士(ダークナイト)と話ができるとは思ってなかったから、話せて嬉しい!しかも一緒に旅に出れるなんて……」


ここに来てようやく声を発したライアンもジェシカに同意する。

それを聞いて安心したのか、にーちゃんは黒い魔力の件を鎧へしまった。


「ガッカリさせてなくてよかったです……」

「何言ってんだよ、にーちゃん!そんな魔力剣(もん)持ってるくせに。それ、めっちゃ羨ましいからな?!俺それ真似したけど俺もロバートも糸しか出なかったんだからな?!ほら!」


そう言って俺は前に闇騎士(ダークナイト)の真似をして闇の魔力を発動させた時のように手に魔力を集中させる。

すると、あの時は黒い糸が出ただけだったのに、同じようにやったはずの今回は、手から黒炎のように闇の魔力が溢れ出てきた。


「うわ何それ!かっけぇー!!」


厨二病予備軍のロバートとライアンが俺の手に注目している。

いや俺も驚いてるんだけど。ビックリしすぎて声が出ないだけで。


疾風(はやて)、カッコイイねそれ」


黒い糸時代を知らないにーちゃんは手放しで褒めてくれるけど、俺が欲しいのは賛辞じゃなくてこれの説明!


──眷属になったからだろう。


「わぁ!」


突然会話に参加してくるスタイルの闇の鎧の魔石(二ガレオス)が、そう教えてくれる。


「そっか、今は闇の鎧と魔力で繋がってるんだっけ。てことはロバートもこれくらい魔力出るんじゃないの?」

「あ、そういうことか!じゃあ俺も試す!」


言うが早いかロバートも直ぐに手から黒炎を出した。


「ロバートも出せるのかよー!マジで羨ましい……なんで俺、闇の魔力使えねぇんだろうな……悔しいぜー!」


俺とロバートの黒炎を羨ましそうに見比べながらライアンはそうボヤいていた。

いや、ライアンが闇の魔力使ったら絶対この辺一帯闇に飲まれるよ……


「ロバートもハヤテも、ホントに闇の眷属とやらになったのねー……凄いわ……ところで、ハヤテと闇騎士(ダークナイト)、なんかさっきからすごく仲が良さそうだけどもうそんなに仲良くなったの?」


ジェシカに不思議そうに聞かれ、俺とにーちゃんは顔を見合せた。

何となく、にーちゃんの言いたいことが伝わる。


「全部話して大丈夫。信頼出来る人たちだから」


俺がそう言うと、にーちゃんは兜を脱いだ。


「実は、僕と疾風(はやて)は幼なじみなんだ」

「……と言ってもここじゃない、別の世界で、だけど」


そう前置きをして、俺はワタリビトであること、お互いこちらの世界に飛ばされて王宮で再会したことを順を追ってジェシカとライアンに説明した。





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