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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第3章 黒の大陸 編
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10.瘴気耐性

「うわ!」

「え、何この声!」


バッ、とにーちゃんを見ると苦笑いをしている。


「それね、闇の鎧の魔石の声なんだ。眷属になると意思の疎通ができるようになるみたい」

「眷属になると……?てことはテセウスさんとかには聞こえてないってこと?」


今度はテセウスさんの方を振り返る。するとテセウスさんは頷いた。


「君たち四人には聞こえるらしいね。でも僕たちには全く聞こえていないんだよ。あ、鎧の説明自体はさっきシノブに通訳してもらって聞いたからこちらはだいたい把握済だよ。僕たちのことは気にせず、気になることがあればどんどん鎧に確認していいからね」


──そういうことだ。早速だがその武器につけた魔石の説明をしよう。


先程頭に響いた声が再び聞こえる。


──事前に聞いているとは思うが、各自の武器に嵌め込まれたその魔石は、魔力によってこの闇の鎧と繋がっている。それにより、黒の大陸の宝珠はこちらを同じ黒珠の欠片と認識し、近づいても弾き返すことはない。


「なるほど、纏った魔力が黒珠に近いから身内と判断するわけか」


ロバートが腕を組みながら頷いている。

めちゃくちゃ天井見てるけど、多分にーちゃんの鎧の魔石の声だと思うよ……

確かに声は頭の上から聞こえる感じがするけど……


──魔力が繋がっているからその武器を通してであれば闇の魔力も増幅して使えるようになるだろう。例えば……クロスボウの矢に魔力を纏わせ、飛ばしたあとその闇の魔力を引き寄せ矢を回収する、とかな。


「え?!」


闇の魔石の言葉に、今まで大人しかったエレンが食いついた。

矢の回収ができるようになれば無駄打ちの心配が無くなるもんな。確かにエレンにとっては凄いお役立ち機能かもしれない……


──飛距離はその時の魔力量によって変わると思うがなかなか便利であろう。

あとは攻撃対象の魔力を奪うことも可能だろう。実際エレンは既に少し扱えるしな。とは言え魔物一体分くらいが限界だろうが。


「え、エレンすごいな!」

「エレン、そんな抜けがけしてたの?!」

「いや、魔力を抜くと言っても薬草が精一杯なんだ。まぁ私としてはそれが出来れば研究で役に立つからなんの文句もないんだがな」


少し照れくさそうに、エレンは笑う。


「そうだ、その魔力を吸い出す事でシノブの魔力底上げの薬がかなり改良できたんだ。多分ロバートとハヤテも飲んでも大丈夫だと思うから後で渡す」


いや、飲んでも大丈夫って文言が少し怖いんですけど……

ロバートも同じことを思ったらしく、エレンに向かってお断りを入れていた。


「え、それなんか怖いからいらない……エレン、俺たちに何飲ませようとしてるの……」

「だから、魔力底上げの薬。元々はシノブ用で作ってあって他の人は飲ませていなかったんだが、まぁ二人は大丈夫だろう」

「だから大丈夫って何が?!」


さらに脅えだしたロバートに、鎧の魔石が答える。


──副作用か……それは瘴気の影響するものだな?


「そうだ。薬の効果をあげるため一般人には危険な量の瘴気水を使っている。私たちのように瘴気耐性がある者ならなんの副作用も出ないと思うが、そうでない者が飲めば魔力の底上げがされても高熱が下がらず、あの流行病のような状態になり下手したら死ぬこともあるだろうな」


闇の鎧の魔石の質問に対しエレンが恐ろしいことを答えていた。

え、それはもう劇物じゃん……

にーちゃん、魔力底上げのためとはいえよくそんなもの飲んでたな、と思ってにーちゃんを見てみれば、顔面蒼白になっていたのでにーちゃんも今初めて知った衝撃の事実だったんだろうなぁ……


「え、エレン……僕そんな薬、飲んでたの……?」

「あぁ。実際魔力量は上がっただろう?」

「あがったけどぉ……!」


にーちゃんはショックに耐えきれなかったのかその場に(うずくま)ってしまった。


「大丈夫だって、にーちゃん。俺たちあの湖の水飲んでも大丈夫だったんだから大抵の水はいけるよ!」


俺がにーちゃんの肩を叩き慰めていると、ロバートがいやいや、と首を振った。


「ハヤテたちは大丈夫でも、俺は瘴気耐性ないから無理だよ……小さい頃、あの湖と比べたらうっすい濃度の瘴気の川でうっかり川遊びして、しばらく寝込んだもん」

「あー、ロバートは瘴気耐性ないのか……」


俺とにーちゃんが耐性あるからか、あまり気にしてなかったけど……そうだよな、ここの人たちにとっては瘴気って病気の元みたいなもんだもんなぁ……


「そうだよ、だから瘴気濃度の高い薬だったら逆に俺弱っちゃうよ……てかエレンだって一緒に熱出したんだから瘴気耐性ないだろ?どうやって薬の効果確かめてるんだ?シノブで人体実験?」

「え?!」


にーちゃんがそのロバートのセリフに反応して顔を上げる。


「エレン、瘴気耐性あるでしょ?」

「え、そっち?」


俺は思わず突っ込んでしまった……

その俺のツッコミはスルーされ、にーちゃんはロバートと話している。うん、それでいいよ……


「前にエレンがあの緑珠のところの湖に落ちた時なんともなかったよ?実感の時に使う瘴気水もいつも自分で採ってきてるって言ってたし」

「え?どういうこと?エレン」


ロバートとにーちゃんに質問攻めにあっているエレンも少し困惑気味に口を開いた。






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