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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第3章 黒の大陸 編
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7.薬草効果

昨日の投稿時、15:00更新に間に合わず15:40頃に改めて最終更新してあります。


「渡り人、警戒心なく水飲み過ぎでしょ!!」


ひーひーと涙を浮かべ、ロバートが爆笑している。


「まさかにーちゃんもあの高濃度瘴気水飲んでたとか」

「ハヤテも飲んでたんだね……周りに色々言われたでしょ……」


俺とにーちゃんは遠い目をしながら湖の水を飲んだことがバレた時の周りの反応を各々思い出してため息をついた。


「僕、こっちに飛ばされた時にあの湖の中に落ちて全身ずぶ濡れだったんだよね。その水を触ったケイレブが高熱で直ぐに倒れてさ」

「え?!」


あの湖の水ってそんなにヤバいやつだったの?!


「で、浄化の魔石ってやつですぐにケイレブは浄化してもらって回復したんだけど、その魔石触った途端僕大火傷負っちゃって、それを治そうとして掛けられた回復魔法でさらに悪化しちゃって」

「あ、魔法アレルギー……」


前に聞いた症状を思い出し思わず呟くと、にーちゃんは頷いた。


「そう。んでその時にバリーさんとケイレブに王都に連れてきてもらって、今は色々僕の体調に合わせた回復薬作ってもらってるんだ。それで疾風(はやて)、これ」


にーちゃんが回復薬のビンより少し小ぶりなものを俺の手に握らせる。中には金平糖みたいなものが数粒入っていた。


「これは?」


受け取り、明かりに透かしながらカラカラとそのビンを振る。


「これは、瘴気中毒を薄める薬だって」

「瘴気中毒?!にーちゃん、瘴気中毒になったの?」

「いや、飲んでも身体に異常はないから耐性はあると思う。ただ念のため飲んでおけって言われて。僕魔法アレルギーで、しょっちゅう倒れるから薬は常に持たされてるんだ……疾風(はやて)も念のためそれ飲んで、残りは持っておきなね」

「ありがとう!あ、そうだにーちゃん飯食った?」

「いやまだだけど……」


きょとんとするにーちゃんを椅子に案内するとそこに座らせる。


「じゃあここ、座ってて。(これ)のお礼に肉焼くから!」


俺が台所へ駆け込むと、さっきまで爆笑してたロバートが食事の用意を手伝ってくれた。


「お待たせ、俺特製ハーブソルトステーキ!」

「わ、美味しそう!いただきます!」


ニコニコしながら肉を口に含むと、そのまま勢いよく食べ進む。


「え、めっちゃ美味しい……なんか久々にこんな味付け食べたかも……」


美味しい、を繰り返しながらあっという間に完食したにーちゃんは満足げに「ごちそうさま!」と皿を置いた。


疾風(はやて)、これどうしたの?僕こっちに来てからこんな味付けの料理出てきたことなかったんだけど」

「あー、それ。薬草……ハーブ使ってるんだ」

「ハーブ?ってアロマとかの?」

「それそれ。料理にも使えるんだよ」

「へぇ、こっちの薬草ってあっちのハーブと同じだったんだ」

「まぁ、全く同じとかじゃないと思うけど。向こうのハーブじゃ回復薬作れないしな」


俺とにーちゃんがハーブについて色々話していると、その様子を見ていたロバートがニコニコしていた。


「ロバート、なんだその顔」

「うわ、失礼な……いや、やっぱ幼馴染っていいよね、と思ってさ」

「何言ってんだよ、ロバートだって幼馴染いるだろ」


バン!


そんなことを言っていたからか、その当の幼馴染が突然ドアを開けて入ってきた。

その音にロバートがビクッとなる。


「うわビックリした……ノックもなしに突然なに?」

「ハヤテ、悪いがちょっと研究室の方に来てもらっていい……か?あれ、シノブ?なんでいるんだ?まぁいいか、シノブも来てくれ!」

「え?」

「へ?」


突然現れたエレンに引きずられるように俺とにーちゃんは部屋を連れ出され、その後を追うようにロバートもついてくる。


「いきなりどうしたの?」

「先ほどの水を調べたところ興味深いことになりそうでな。実験に付き合ってもらいたくて」

「実験?」


通された研究室ではドミニク所長とヘンリーさんもワクワクしながら待っていた。


「エレンおかえり」

「一通り道具用意したけど、さっきの料理に使ってたハヤテくんの加工した薬草は持ってきてくれた?」

「あ!」


エレンが「しまった」と言う顔をしている。


「ハヤテすまない……先ほどの料理に使っていた薬草の塩を持ってきたいんだが……」

「それならさっき小ビンに移してたから机の上にあると思うけど」

「わかった、机の上だな。急いで取ってくる!」


慌てて部屋を飛び出しそうになったエレンの背中に俺は大声で叫んだ。


「そしたらみんなにわけるつもりだったから全部持ってきてー!」

「わかったー!」


嵐のようにバタバタ去っていくエレンを見送りながら、にーちゃんがおずおずと俺に問いかけた。


「え、まって。エレンとハヤテ面識あるの?」

「あぁ、さっき食料届けに来てくれたんだ。ついでに言うとロバートの幼馴染だってさ」

「へぇ、そうだったのか。じゃあエレンが同行者っていうのも聞いた?」

「うん、聞いた聞いた!」

「なんだぁ……エレン捕まらないと思ってたらこっちに既に顔出してたのか。あ、ほらさっきエレン連れてくるねって言っちゃったからあちこち探してたんだけど見つからなくて。だから明日紹介するねって言いに来たんだよ」


ふぅ、と言いながらその辺の椅子ににーちゃんは腰掛けた。


「てか実験って、疾風(はやて)たちなにに巻き込まれてるの?」

「それは俺たちにもサッパリで……」


俺とロバートが顔を見合わせていると、エレンが再び部屋へ駆け込んできた。


「待たせたな、実験を再開しよう」


エレンは持ってきたハーブソルトをなにやら器具で調べ始める。


「やはり、この状態では通常の薬草の効果のままだな」

「じゃあこれを水に溶かしたものは……」

「いやそれも同じですね……」


俺とロバートとにーちゃんのことは置き去りに、エレンたちは再び実験を始めている。


……あれ?コレ俺たち必要だったかな?


しばらくその実験を見守っていると不意にエレンが


「ハヤテ、これに水をくれ!」


とビーカーを差し出した。言われるまま少し水を出してあげると、「ありがとう!」と再び実験に戻る。

その俺の手元をにーちゃんが羨ましそうに見ていた。


「へぇ、疾風(はやて)魔法使えるんだ?いいなぁ」

「あ、にーちゃん魔法使うのもダメなんだっけ?」

「うん、生活魔石を通さないとダメなんだ。闇の魔力使うやつならできるんだけど。こういうの」


そう言うとにーちゃんは机の上にあったキラキラしている葉っぱをあの黒いモヤで包んで、そのモヤをビンの中の水に落とす。すると葉っぱは光を失い、代わりに水がキラキラし始めた。モヤはすぐに消えて無くなっている。


「うわ、すげぇ!これあれ?あの魔石の魔力抜くやつ?」

「そう、それとおんなじ」

「あ、じゃあ(ダー)……シノブのこれで緑珠の魔力戻してもらうんだよね」

「あ、それなんだけど僕も軽く聞いただけなんだけど、まだ僕の魔力量じゃ緑珠を移し替えられるほどじゃないみたいで、今特訓中なんだ」

「特訓?」

「うん、魔力の底上げ、みたいなの。エレンに薬を作ってもらって、それで魔力増やしてるんだ」

「エレンそんな薬も作れるのか!」


俺たちが話に夢中になっているとそのエレンが俺たちの話の輪に加わった。


「よし、大体の結果が出たから説明させてくれ!」


そう言って俺たちの前に座る。


「結果から言うと、ハヤテの作ったあの薬草の塩を体内に摂取すると、摂取した者の魔力の質が変わる」

「え?」

「どう言うこと?」


俺とロバートの頭にハテナが浮かんだ。

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