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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第3章 黒の大陸 編
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5.薬草の使い途

魔法アレルギーってそんな大変なことになるのか?

そういえば前にケインさんが魔法アレルギーだと回復魔法で悪化することもあるって……あれってもしかしてにーちゃんのことだったのかも……


「回復魔法かけられないって、もし怪我したら今はどうしてるんだ?」


ロバートがエレンに尋ねる。


「回復薬を飲ませてる。だから黒の大陸に私も同行できて良かったと思ってるんだ。シノブが万が一宝珠の欠片に触れたら上級回復薬でしか治せないから。その場で作れる者がいた方がいいだろ?」

「上級回復薬?!エレン、そんなものまで作れるようになったのか……」

「え、てかにーちゃん宝珠に触ると怪我するの?」

「そうだ。火傷のようになって、酷いと気を失う。だから同行者を捜索していたんだろう?浄化の魔石にシノブは触れないから」

「そうだったんだ……」


ところでにーちゃんとはなんだ?とエレンがロバートに聞いて、それをロバートが、闇騎士(ダークナイト)の事だよと、エレンに教えている間、俺は詰所で会った時のにーちゃんを思い出していた。

確かあの時、俺の緑珠の欠片を持ってきてくれたんだよな。それが手に当たって……確かに指が赤くなってた。

あの後大丈夫だったかな?さっきは元気そうだったから大丈夫だったんだろうけど、怪我するリスクを犯して俺に緑珠の欠片、持ってきてくれたのか。昔と変わらない、にーちゃんの優しさに触れて心が暖かくなる。

やっぱにーちゃんはすげぇなぁ。


俺がしきりに感心していると、突然温室の中にグゥゥゥー!という音が響いた。

あ……。


「ハヤテ、ごめん。俺のお腹、限界みたい……」


腹の虫を盛大に鳴らしたロバートがてへ、と舌を出した。


「っだな。とりあえずメシに使えそうな薬草見せてもらおうか!エレン、香りのする薬草ってどこにある?」

「ああ、それならこちらの方にまとめてある。一応種類ごとに、土壌にかけた魔法を変えて各々の薬草の成長に最適な状態で育てているんだ。ただ、本当に食べるのか?」


薬草イコール回復薬の材料と思っているエレンは明らかに疑問が顔に出ている。

こんなものを食べるのか、と。

俺はそのエレンの視線に耐えながら、嗅いだことのある薬草を少しづつ摘んで行く。


「とりあえず俺が料理で使ってるのを見たことがある感じのは、ここにあるやつだとこれくらいかな?」

「それは右からタイム(チモン)パセリ(ペトロセリノン)胡椒(ピッパリー)バジル(バジレウス)セージ(サルブス)だな」

「いやー、名前を教えてもらっても多分俺、覚えられなさそう……匂いはわかるんだけどな」

「それはそれで才能だと思うけど。で、これらをどうするんだ?すり潰して粉にでもする?」

「いや、粉までは……とりあえず一旦部屋に戻っていい?」


エレンに許可を貰った薬草を持ち、俺たちは宿泊棟へ戻る。

さっきエレンが持ってきてくれた食料の箱を改めてみると、調味料に岩塩らしきものがあった。

岩塩か……俺小さい頃これ水晶みたいな鉱石だと思ってたんだよなー。かーちゃんがミルで粉々にしたのを料理にかけてるの見た時は衝撃だったっけ。「え、石食うの?!」って。

ふっ、と思い出し笑いをしているとロバートと目が合った。


「なんかいい薬草料理のアイデアでも出た?」

「アイデアっていうか……」


岩塩を握りしめつつ、そうだ、と思いつく。

俺、料理は出来ないけど調味料なら……


そう思ってエレンに尋ねた。


「なぁエレン。ここ、薬師の人が使ってる建物だよな?ここに回復薬より少し大きめのビンとかって、ない?」

「ビン?それならここの使ってない部屋を倉庫代わりにしてるからそこにあると思うが」

「それちょっと借りていいかな?」

「構わないよ、少し待ってて」


エレンがビンを取りに行く間に俺は薬草を手でちぎっておく。ついでに岩塩も少し砕いて……と。


「ほら、これでいいか?」


戻ってきたエレンの手にはペットボトルくらいの大きさの瓶が握られていた。


「あ、ちょうどいいかも!ありがとう。じゃあこの中に……」


そのペットボトルより間口の大きい瓶の中に砕いた岩塩とちぎった薬草を入れる。

そして、少し炎の魔力を混ぜた風をビンの中で発生させ、中に小さなカマイタチを出すとそれで中の岩塩と薬草を撹拌し始めた。


少し混ぜた炎の魔力によって、中の薬草が細かく粉砕されながら乾燥していく。

ある程度の薬草の形を残して攪拌を止め、ビンのフタを開けると、ふわりとハーブのいいの香りが鼻先をくすぐる。

おしっ!予想通り上手くいってよかった!ハーブソルト完成〜!!


「うわ、ハヤテ。それめっちゃいい匂い……」

「薬草をこんな風に使うなんてな。それをどうするんだ?」

「これを、こうする!」


俺は肉の塊を切り分けるとそこに完成したばかりのハーブソルトを揉みこんだ。

そこにさらに、細かくみじん切りにした玉ねぎとニンニクを混ぜ、ロバートに用意しておいてもらったフライパンでそれを焼いた。


「え、なんだそれ……すごくいい匂いがする……」


エレンがフラフラと俺が肉を焼いている近くに吸い寄せられるように寄ってきた。


「塩とガーリック(ガァリーク)の他に薬草を混ぜるだけでこんなに香りが違うのか……早く食べたい……」


さっきまでのイケメンは影を潜め、育ち盛りの食いしん坊が顔を出す。まぁちょっと女の子の部分は迷子になってるみたいだけど……


「じゃあエレンはサラダの用意をお願い。ロバートはパンをいつもみたいによろしく」

「うん、任せてー!」

「サラダか、わかった。ロバートはパンの用意か?いつもの?」

「多分エレンも驚くと思うよ。この食べ方、今緑珠守護団の中で流行ってるんだ」

「へぇ、それは楽しみだ」


三人で手分けをして、準備の最終段階に入っていると、ガチャ!と、玄関から音がした。


「ハヤテくん、さっき温室にいたんだって?てことはもしかして……あ、やっぱり!料理に使ってるんだね!」


そこには息を切らして慌てて戻ってきたと思われるヘンリー先生と好奇心で着いてきたと思われるドミニク所長が立っていた。


……これは、肉追加かな……?


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