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異世界行ったら……  作者: 片馳 琉花
第3章 黒の大陸 編
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2.幼馴染との再会

「ところでハヤテ、それなぁに?」


ロバートが机の上に置かれた俺のスマホを指さした。


「これ?これは……離れたところにいる人と話したり、写真……本物みたいな絵を残したり出来る、道具?」


カメラロールの中とか見せてあげられるかと思って電源を入れてみたものの、当たり前というか電源は入らなかった。


「へぇ。すごい道具だね。……もしかしてこれってハヤテのところの……?」

「まぁな。でもここじゃ使えないからただの四角い箱だな。本当はここのボタン押すと使えるようになるんだ」

「わ、すごい!使ってるところ見たかったなぁ」

「ここは電気も電波も入らねぇからなぁ」


スマホに興味津々のロバートに色々使えもしないスマホの使い方を教えてると、不意にドアがノックされる。


「すまない、アレックスに頼まれて食料を持ってきたんだが……」

「あ、はい!今開けます」


スマホをロバートに預けドアを開けに行くと、そこには後ろに花が咲いているかのような、にーちゃんとは別ベクトルのキラキライケメンが食料の箱を持って立っていた。


「アレックスが急に用事が入ってな。急遽私に届けるよう頼まれたんだ」

「あ、ありがとうございます。あ!とりあえず中へどうぞ……」


圧倒的なキラキラに押し負かされつつ部屋の中へ招き入れると、そのイケメンを見たロバートが「あ!」と声を上げ、こちらに駆け寄ってくる。


「エレンじゃないか!」

「ん、ロバート?なんでここに……」

「俺は闇騎士(ダークナイト)と一緒に黒の大陸に行くことになって。エレンはいつの間に騎士団入ったんだよ」

「いや、騎士団には入っていない。……そうか、緑珠からの候補者ってロバートだったのか。じゃあもう一人が……」


チラリとこちらを見たので、俺は慌てて握手のために手を差し出す。


「初めまして、緑珠守護団のハヤテです」

「私はここの薬師のエレンだ。よろしく」


思ったより華奢な手だな、とふと思う。そういえば……


「エレンはロバートと知り合い、なのか?」

「あぁ、同じ村の出身なんだ」

「同じ……村?」


あれ?それって瘴気の……?いや、それよりもしかして……


俺が心当たりを思い出していると、エレンの後ろからロバートがヒョイ、と顔を出した。


「いや、すごいタイミングだったな。さっきちょうどエレンの話をしてたんだよ」

「私の?」

「木に登って降りられなくなった話、とか?」

「ロバート、その話はっ!」


エレンが慌てた様子でロバートの口を塞いでいる。


ん?ん?あれ?

やっぱりもしかしてもしかすると……


「え?!もしかしてロバートの幼馴染?!」

「そーだよー」

「え?!だって……村長の()って言ってなかったか?妹みたいだって……」

「うん、だから村長の()。んで、こいつ今14歳だから俺より歳下。妹みたい、で合ってるだろ?」

「はぁー?!」


この、めっちゃイケメンで俺より……背の高いエレンが……歳下の女のコ……


「悪かったな、デカくて……」


拗ねるエレンを慌てて宥める。


「いや、うらやましいよ!てかあまりにもイケメンだから驚いただけで、男として負けたとかは思ってないから!」


思わず訳のわからないことを口に出してしまい、フォローがフォローにならなくなったので、テンパりながらエレンをソファーに案内する。ロバートとも積もる話もあるだろうし。

そう思ってソファーに座るよう促すと、エレンは机の上に出しっぱなしだった俺の荷物を見つめていた。


「あ!俺の荷物出しっぱだった!悪い、すぐ片付けるんで」


慌ててボディバッグに色々詰め込み、机の上を綺麗にした。それでもエレンは俺のバッグから目を離さない。


「あの、なにか……?」

「それ……」


エレンは俺のバッグを指さした。


「確か守護の森でシノブが回収していたものに似ているんだが……」

「守護の森?そっかー、やっぱ森の主(スフェーン)に吹っ飛ばされた時に落としてたんだな」

「という事は、その荷物はハヤテのものか?」

「へ?あ、うん」


そう言うとエレンは少し黙り込んだ。そしてロバートをチラリと見ると、俺に問いかける。


「違っていたらすまない。もしかして……ハヤテもワタリビトか?」

「へ?!」


あれ?!またバレてる?

なんで?


俺の疑問が顔に出ていたのか、エレンは、そうか、と言ってソファーに座った。


「ハヤテ、口に出さなくても疑問が顔に出ているぞ。私はシノブがワタリビトだと知っている。そしてその見たことのない荷物を以前シノブが持ち帰っていた。さらに緑珠にシノブと同じワタリビトがいると聞いていて、その荷物が実はハヤテのものであれば答えは出るだろう?」

「あ、なるほどそういう……」


にーちゃんつながりでバレてたのか。なら別に問題なさそうかな?

俺が一人で安心していると、ロバートが「いやいやいや」と話に入ってくる。


「エレン、随分色々と詳しくない?」

「詳しくもなるさ。私も黒の大陸へ行くからな」

「え?!」


俺とロバートの声が重なる。

そして二人で顔を見合わせた。


「じゃあさっきにーちゃんが言ってたもう一人って……」

「エレン、だろうな」

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