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ヤンデレ悪役令嬢は婚約破棄をされず、自分から王太子殿下に婚約破棄を告げる。ヤンデレ悪役令嬢ベアトリーチェの婚約破棄物語。私は王太子殿下を愛しておりません、真実に愛する方を手に入れるためにはこうしますわ

作者: ゆえ

ヤンデレ悪役令嬢フィリア、自分を裏切り婚約破棄をしようとした王太子殿下を罠にかけてみることにしました。の母のベアトリーチェと父カインのお話です。

 優しい人が好きです。

 そう、王太子殿下は言われました。


 私はベアトリーチェ・フラウと申します。

 伯爵令嬢です。誰からも愛され、そして誰も……。


 私を皆が愛してくれました。

 銀の髪、紫の瞳の愛らしい令嬢だと、外見は確かに私は美貌を歌われるお母さまによく似ていました。

 優しい清楚な外見、誰からもそう、優しく清楚な乙女と思われておりました。


 でも……。


「愛しているよ、ベアトリーチェ」


「ええ、私もですわ」


 王太子殿下の婚約者に選ばれても、私は……愛しているという言葉さえも真実として認識できませんでした。


 私を父は愛しました。母も愛してくれました。幼い時亡くなった優しい母。

 ええ、私は満たされた子供でしたわ。


 でも……私は誰も愛せない、私は何も思わない。

 悲しい、うれしい、つらい、憎らしい……感情というものを私は生まれつき持ちませんでした。


 そう、あれは母が亡くなった時、皆が泣きました。

 私だけが泣けません、ええ、異質だと悟りました。

 哀しみのあまり泣けないのだね、と父が解釈して抱きしめてくれました。


 いいえ、違います。

 本当に悲しいなんて思わなかったのです。

 花瓶が壊れた……程度、いいえ……悲しい、喪失といった心がなかったです。


 私は異質でした。

 だからこそ、六歳の時、母が死んでからはできるだけ演技をするようにしました。

 その前もしてはおりました、でも異質を完全にわかってからは私は過剰に演技をしました。

 母を亡くした哀しみを乗り越えようとしたけなげなご令嬢と言われました。


「……世界は本当に灰色ですわ」


 世界は灰色、決して明るくなることはない。

 できたら目をつぶそうか、耳を焼こうか?

 この外見で寄ってくる人と対応もしたくない、消えてしまいたかった。


 私は人ではなく、多分人形なのでしょう。


 世界なんて消えてしまったらいいのです。


「……どうしてそんな悲しい顔をいつもしているんだい?」


「え?」


「まるで死んでいる人みたいだね、生きていないみたいだ」


 私は十七になり、十八に王太子殿下と婚姻することになっておりました。

 愛してなんかいませんが、でも愛するふりをしていました。

 すべてが灰色の世界でした。


「生きておりますわ、ほら暖かいですもの」


「そうだね、でも……」


 私にこのような言葉をかけてくれたのは公爵令息、カイン・カーディスでした。

 金の貴公子といわれた彼は美しい外見を持っていました。しかし、笑いながら人を殺せる氷の貴公子といわれておりました。

 笑顔で挨拶をしながら、政敵を毒殺したこともあったそうです。

 優しい外見で騙されるなと父にいわれておりました。


「……死者の目だね、それは」


「……」


 魔法学院の中庭で、私と出会ったカイン様が言われた言葉、初めて……世界が色づいたように思えました。

 ええ、私はもう死んでいるのです。

 生きている人間ではないのです。


 ここから私の目はカイン様を追うようになりました。

 魔法学院では同級ではありましたが、会話をしたことがなく、どんな人かは知らなかったのです。

 ええ、彼はいつも笑っていました。

 でも多分心の底からは笑ってはいない。私と同じでした。


「……愛しい人に殺されたい」


 私はいつか彼をずっと見つめるようになっておりました。

 ええ、これが感情というものか? よくわかりませんでした。


 彼には婚約者がいました。幼馴染の公爵令嬢、愛らしくかわいらしい方でした。

 ええ、私が彼の恋人なんてなれるわけはなかった。

 でも胸が痛みましたわ。


「ああ、これが恋するということなのですわね神様ありがとう! ああそうだ、きっとこうしたら……」


 私はそうです。とてもいいことを思いついました。

 毒なら、私も集めていたことがありましたもの、笑いながらそれをお茶にいれることだって可能でありました。




「ベアトリーチェ、婚約破棄をするなんてどうして!」


「真実、あなたを愛しておりません。愛する方ができましたの」


 王太子殿下に私は柔らかく優しい微笑みを返しましたわ。ふふ、あははおかしい、そのお顔!

 はじめておかしいという感情がわかりましたわ。


「相手は誰だ!」


「カイン・カーディス様ですわ。このお腹にあの方のお子もおられますの」


 私は知っています。この王太子殿下は気が優しい、真実愛してしまった私を不義により断罪する勇気などはない。

 それすらも私は計算し、婚約破棄を申し入れました。


「……どうして! 私は君を愛していた君だって!」


「私はあなたを愛しておりませんの」


 カイン様だけがいとおしい、そしてあの方もおかしな方でしたわ、あの方の婚約者、そして両親、大切な人が死んだのは病死ではなく、私が殺したことを告げたとき、とてもうれしそうにありがとうといって私を抱きしめてキスをしてくれましたもの。


 愛する人の大切な人を殺せば、みな殺せば、私を憎んで殺してくれるかと思ったのに、ありがとうなんてね。

 ああおかしい、憎むよりも私がいとおしいなんて!


 世界は本当におかしいわ、私もカイン様もくるっているのかもしれませんわね。

 ああ、お腹にいるこの子だけはお人形さんではありませんように。

 愛しい……、私の……。


 

読了ありがとうございました

感想、ブクマ、評価などいただければ嬉しいです

よろしくお願いいたします。

ヤンデレ需要はあるかなと…すいませんよろしくお願いします

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[良い点] 病んでしまう家系?ww [気になる点] フィリア嬢お父様にも(やはり)婚約者居たんですね?! しかも…え?…マジすか…フィリア嬢お母様…((゜□゜;)) [一言] フィリア嬢…筋金入りの病…
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