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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

幼馴染は負けヒロインだなんて言わせない!

「ハンバーグにはたっぷりのトマトソース♪」


 今日はみーくんと一緒にお茶会。

 私はエプロンをつけてルンルン気分でお茶菓子を盛り付けていく。


「デザートのチョコレートパイには綺麗な蜂蜜をかけて♪」

 そろそろみーくんは来るかな?

 みーくんは小さい頃気弱だった私に外の世界を教えてくれた私だけの王子様。


 今日はその王子様の誕生日だから張り切ってお料理したんだよ。

 えへへ、みーくん喜んでくれるといいなぁ……


 そんなことを思いながら、私は料理を机に運んでいく。

 すると玄関のドアがガタコトと音を立てた。


 みーくんだ!


「おかえりなさい、みーくん! やっと来てくれたんだね、お誕生日おめでとう!」

 

 私は満面の笑みを浮かべながらみーくんに向かってそう祝う。


「はるか、今はそれどころじゃないよ! 友里と鈴奈が行方不明なんだ!」

 

 みーくんは必死の形相で私に向かって叫んでいる。

 

 もう、みーくんったら女の子の前でビッチどもの話をするのはマナー違反なんだよ?

 

 心の中でそう少しむくれつつも私はみーくんをなだめるように話しかける。


「え、一体何があったの? とりあえず上がってよ、力になれるかもしれないからさ、ね?」


 みーくんも少し落ち着いたのか、一呼吸おいて靴を脱いで玄関に上がってきてくれた。


 私はみーくんをリビングに案内して、無印良█のソファーに座らせる。


 流石は人をダメにするソファーといったところか。

 ソファーにかけて肩の力が抜けたみーくんはポツリポツリと何があったのか話し始めた。


「友理と鈴奈が失踪したんだ。多分僕のせいだ。その、自惚れてるように聞こえると思うけど、僕は多分二人に好かれていたから……」

 それは私もだぞ☆

 私の思いを込めた視線に気づいた、かどうかはわからないけどみーくんは話を続けていく。


「でも僕は今の関係が壊れるのが怖くて知らないふりをしていた。それが余計に二人を傷つけかねないっていうのは分かっていたけど、怖かったんだ」

 悲痛な面持ちでみーくんはそう私に告げてくる。


 でもそれがアバズレどもの行方不明となんの関係があるのかな。

 そんな疑問が私の顔に表れていたのか、みーくんは続けて答えていく。


「どうしようか迷っていたら昨日の昼に僕、学校の屋上で友里に告白された......」

 

 あぁ私もなんとなく読めてきたなぁ……

「それでどう返事しようってあたあたしてたら、突然屋上の入り口が音を立てて、誰かが走っていった。僕は立ち尽くしていたんだけど、友里は焦った顔で走り去った人を追っていった」


「なるほど、つまり痴情のもつれってやつね」

 最近覚えたばかりのかっこいい言葉を使えてキメ顔の私はみーくんにそう切り返す。


「そうなのかもしれない......」

 みーくんはなんとも言えなさそうな苦々しい顔でそう呟く。


「その後から友里ちゃんと鈴奈ちゃんが行方知らずなの?」

 事実確認のために私はみーくんに尋ねる。


「そうなんだ、だから僕が屋上で見た人影は鈴奈なんじゃないかなって僕は思ってる」

 

 少しやつれた表情のみーくんも素敵!


 でもふざけてる場合じゃないや。

 

 いくらアバズレとはいえ二人も人が亡くなっているのだから大問題だ。


「もう警察には捜索願は出したの?」

 私は真剣な声音でそう尋ねる。


「うん、親御さんのところにも帰っていないらしくて、二人のご両親が今朝出したらしいよ。それで、二人とよく喋っていたはるかのところに来たんだけど……」


 みーくんはそう話していくが、やはり少し疲れているのか声は尻すぼみになっていた。


「ごめんね、二人共そんなことになってたんだね。それなのに私は呑気にみーくんの誕生日だなんて……」


 そういって私が項垂れると、みーくんは少し慌てて私を励ますとしてくれる。

「……いや、はるかのせいじゃないよ。さっきはそれどころじゃないだなんて怒鳴ってごめんね。はるかがせっかく美味しそうなもの作ってくれてたのに」

 そう言ってテーブルに置いてある私の手料理をみーくんが褒めてくれる。


 嬉しい!

 みーくんってば、やつれてるのになんて優しいんだろう!

「疲れてそうだし無理はしてほしくないけど、よかったら食べてほしいな。特にこれなんか自信作なんだよ!」

 私はそう言って、キッチンから特製のハンバーグとアップルパイをみーくんの前に置く。


「今日だけしか作れない私の愛情たっぷりメニューをご堪能あれ!」

「うん、いただくきます、はるか」


 みーくんが肉塊(ハンバーグ)を口に入れた。

「うん、やっぱりおいしいよ、はるか。お肉だけどさっぱりしてて食べやすい。それにリラックスできたよ。さっきまでちょっと気を張りすぎてたみたいだし」


「そう言ってくれると今日のために頑張って仕入れた甲斐があったよ、みーくん。でもそれだけじゃないからね?」

 そう言いながら私はハンバーグの横の皿を指さす


「これはミートパイかい? こっちもおいしそうだね」

 みーくんが髄液(はちみつ)をかけた壊死した肉片(チョコレート)パイを前にそんなうれしいことを言ってくれる。

 つられて私も笑ってしまった。

 あぁこんな時間をずっと二人で過ごしたい。

 私だけがみーくんの笑顔を見ていたい。

 私だけに頼ってほしい。

 

 でも、私にだって一応友情はあるもん。


 あのアバズレどもだって、みーくんのことを除けば他人よりかは全然好ましい人物だよ。


 だから私は、独占なんて醜いことをせずみんな幸せになれる方法を選んだんだ。


 私は最近流行りのヤンデレヒロインとやらと違って心が広いの。


 だって、アバズレども二人とみーくんとの交際を許容して、こうして二人を繋ぎ合わせてあげてるんだから。

紅茶もだしたかったんですけど、人体に置き換えると尿しか浮かばなかったので没です

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです 最初のハンバーグ とか 蜂蜜 とかで大体わかりました
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