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八話 トメルゾ宿亭でした

お祭り行ってました。昨日は更新できなくてすみません。だから今日は長めに書いてみました。

神都アルバレルトの門の中に入る。


そしてその先の景色は──


綺麗な夕陽に大勢の人々が歩いている。そして、壁が外から見た時よりも中から見た時の方が低く、夕陽が綺麗に見える。


「ど、どういう...ことだ...?!」


凄い。凄すぎる。


外は壁しか見えなかった。だが、中に入った瞬間、どういう原理なのかは分からないが、壁が壁が低くなったおかげで、山や綺麗な夕焼けが見える。それも外の夕焼けとは違うように見えた。圧倒的にこの神都アルバレルトでみる夕焼けの方が綺麗だ。


俺は、あまりにも凄い光景に、圧倒されていた。


これが神都アルバレルトだと。そしてこれが国なのだと。思い知らされた。


「こんな凄かったのか....神都は.....よし。とりあえず、ここにずっと立ってても何も始まらないしな。この街をある程度回ってみるか」


かなりの人がいる中、俺は周りを見渡しながら歩いていく。どこも綺麗な家ばかりで、住んでみたいなって思ったりしてしまう。歌を歌っている人もいれば劇をしている人もいる。劇は村でもやった事がある。だが、今目の前で行われている劇はクオリティが高い。


タイトルは[勇者の物語]と看板に大きく書かれている。


劇はまだまだ続いた。そこで面白い展開になってきていた。


「魔王!今日こそお前を倒す!覚悟しろ、魔王!!」


声を上げたのは一人の青年。白い鎧を着た神々しい剣を持っている。

この青年は〝勇者〟。悪を倒し、人類の為に。そして世界の為に戦っている者。


その〝勇者〟が〝聖剣〟を掲げ、剣先を〝魔王〟に向けた。



「ぐはははははは!!我は不死の魔王。死ぬのはお前ぞ、勇者。我は死なぬぞぉ!今日こそ人間共との決着をつけてやるぞぉ...!!!」


黒い服に仮面を被っている人物は〝魔王〟。世界を支配しようと企む〝不死〟の存在。不死の軍団を率いて支配しようしていた。しかし、人類の希望の勇者がその行いを止めるべく、魔王と勇者が対面し、戦おうとしていた。


そして魔王は拳を握り、構えをとる。

二人は雄叫びをあげながら、ぶつかり合う。


「世界を守るぅ!!」


「世界を変えるぅ!!」


そして煙幕が二人を隠した。


でも、その煙幕が消え去った時、立っていたのは──勇者だった。


「魔王を──倒したぞぉおおお!!!」


「「「うぉぉおおおお!!!」」」


ものすごい歓声が上がった。勇者は剣を掲げ、勝利のポーズをとっている。


子供達はキラキラした目で見ているのが分かる。


勇者。その者は魔王を倒し、世界を救った存在として知られた。この物語は〝神が作った〟とされている。実話なのかは分からない。でも、俺でもかっこいいと思える存在だ。世界を救った。それが俺には響いた。


俺も拍手をして、その場を離れる。ついでに銀貨一枚をお金を入れる籠に入れておいた。


三十分ぐらい経っただろうか。思っていた以上にこの国、広い。そして既に空は暗くなり始めた。


この国、綺麗な川もあったし、楽しそうにしてる人達もいて、本当に良い国だと思う。

でも、まだ学園が見当たらない。これだけ歩いているのに全然見つからない。


お城はこの国の中心に建っているからすぐ見つけられた。というより、今でも見える。それぐらい城はでかい。一度でも良いから行ってみたい。


ギュルルルル....


「って、お腹すいたな。今日朝ごはんとリゴンしか食べてないからな....」


それに、走りっぱなしだったから余計だ。とりあえず近くに飲食店か無いかを探す。


「...都合よく見つからないか...」


この周りには綺麗な川と家ばかり。飲食店なんてこの近くには無い。


ギュルルルル....


「...歩くか......」


お腹を抑えながら俺はとりあえず歩いた。


来たばかりで道が分からない。お腹が空いているせいか、俺が歩いて来た道に飲食店なんてあったのかすら、思い出せない。


空腹...最大の強敵かも知れん...


しばらく歩いていると賑わっている声が聞こえた。


「もしかして...!!」


俺はその場所まで向かう。するとそこは──トメルゾ客亭と言う大きな宿屋だった。


「ちょうど良かった...ご飯付きって書いてる...それも無料。それに、寝床もゲットだ」


かなり俺にしては珍しいと思える状況だ。


そのままトメルゾ客亭の中に入る。


「すみません。この宿屋に泊まりたいのですが...」


「あっ。いらっしゃいませ!お泊まりですね!何泊泊まられますか?」


綺麗な女の子が接客をしてくれた。俺より少し小さいぐらいだ。俺の身長は168cmだから、165cmぐらいだと思う...そんな事よりどうしよう....入学式はいつだっけな....


えっと....うーん....あっ。五日後か。


「それじゃあ、五泊でお願いします」


「分かりました!それでは、銀貨五枚となります!」


銀貨五枚をバッグに入っていた財布から取り出して、女の子に渡した。


「お部屋はちょうどお客様で満室となりました。当店のご利用、ありがとうございます!お客様のお部屋は20号室となります!こちらがお部屋の鍵となります。無くさないよう、お願いします!それと、既に夕御飯はできている状態です。お食べになられますか?」


「お願いします」


「それでは、あちらのテーブル席にお座りください!」


俺は指示されたテーブル席に向かった。若い人や年配の人も多く、主に年配の人達はお酒を飲みながらワイワイ賑わっている。


「はいお待たせ。残したら許さないかんね?」


そう言ってテーブルに料理を置いたのは先程の女の子に似た女性だった。この女性は恐らくこの宿の女将で、あの女の子の母親だ。でも、女の子と比較的違うといえば...体型──


「あんた、今失礼な事考えなかったかい?」


「い、いえ!そんな事は決して!」


「...まあ、とりあえず食べな」


「はい」


勘の鋭い人だ......


俺は改めて料理を見る。


美味しそうなスープに美味しそうな唐揚げ。タルタルソースがかかっている。よく母さん、タルタルソースを作ってたな。そしてパン。


多分パンをスープにつけて食べる系だ。


俺はパンにスープを付ける。そして口に加える。


「んんぅ!!」


と、声が出てしまう。


「おいひい...」


このパンといい、スープといい。美味しすぎる...!!!これが無料だなんて...嘘みたいだ!!


箸で唐揚げを掴む。美味しそうなタルタルソースがたれてしまう前に口に運ぶ。


「うまうまぁ...」


パァァァーフェクトゥゥゥ!


美味すぎて、手が止まらない。どんどん口にパンと唐揚げが運ばれていく。


ごくっ....


いつの間にか、パンも唐揚げもスープも無くなっていた。


まだ食べたい気持ちもあるが、オカワリはできないみたいだ。


本当に美味しかった。朝、夜と作ってくれて一泊銀貨一枚だなんてお得すぎる。


この宿屋の女の子が近づいてくる。


「どうでしたかお味は?」


「凄く美味しかったです」


「でしょ!私のお母さんは料理の天才なんですよ!食べたら止まらなくなるの!」


「分かります!食べたら気づいた時には無くなってました。この宿屋に来れて良かったです!」


「本当にお母さんは料理の天才なんです!私、エリィって言います!」


「あ、俺はレイトです」


「レイトさんですね!良ければこの後、お話しませんか?あ、迷惑でしたか...?」


エリィさんは上目遣いで見てくる。


俺は断る気は無かったし、不安げな顔をしているエリィさんに元気を取り戻そうと思い、優しく言った。


「大丈夫ですよ。俺ぐらいの人と話すのって初めてだから」


「良かった!あの、因みにお幾つなんですか?」


「....17です」


あの空間にワープする前は16歳だった。そしてこの世界に帰ってきてから一年。だから17歳と言うことになる。でもあの空間では歳を取らなかったし、年齢は加算しなくてもいい...よね。そもそも5億17歳ですとか言ったら完全に変質者だ。そんな変な人には俺はなりたくない!


「私は16歳です!」


エリィさんは笑顔で答えてくれた。いつの間にかエリィさんは向かいの席に座っていた。目と目が合ってしまう。


恥ずかしい。


エリィさんも少し顔を赤くしている。


エリィさんの年齢は予想していたより案外近かった。年上かなとも思っていたのだが、年下だった事に少し親近感が湧いた気がする。


「その...エリィさんは何か得意なことが?」


まず最初は簡単か話題から話していくのが良いと母さんに言われた。だから得意なことを聞いてみた。


「お料理と裁縫ですね」


「おぉ。凄い!裁縫できるんですね。俺なんて昔母さんに教わったけど上手くできなくて。エリィさんは凄いですね」


「凄いでしょ!私、お母さんの真似して生きてきたから。お母さんは私の憧れなの」


「エリィさんのお母さんは本当にすごい人なんだね」


「そうなの!世界一、自慢のお母さんなんだから!」


エリィさんは笑顔で、楽しそうに色々な事を話してくれた。


俺も楽しかったし、色々学べた。裁縫のコツだとか、料理はこうした方が美味しくできるだとか。

楽しい会話だったし、面白い話ができた。

初めての友達ができて嬉しかった。


エリィさんの笑顔は綺麗で、可愛くて素敵な女の子だ。これからも友達でいて欲しい。


楽しい時間は終わり、俺は水浴びをして、自分の部屋に入る。


「いい匂いがする部屋だな」


この部屋と言うより、この宿の部屋の中はどこもいい匂いがして、ちゃんとした部屋だ。鏡もあり、綺麗なベッドがあり、窓がある。


俺は床にバッグを置き、ベッドに飛び込む。


「ふかふかだ....」


俺はふかふかのベットに横になりながら、窓から外の景色を見る。


綺麗な夜空は星が広がっている。


俺はそんな夜空の下、トメルゾ宿亭のふかふかベットの上で寝た。



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