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七話 神都アルバレルトでした

いつの間にか3000pv突破してました!皆様のおかげです!ありがとうございます!

昼寝タイムを満喫していた俺が草原に居た。


風に吹かれながら昼寝するというのは、やはり気持ちのいい目覚めだった。


「んんんぅぅーー!!!」


背伸びをして、しばらくの間、空を見つめていた。


美しい青空が広がっていて、太陽の眩しさと共に虫の鳴き声なども心地良い。


目を擦りながら起き上がり、バッグの中から水筒を取り出す。


「うんっま」


ここの草原は神都への道から少し離れた場所にある。道がある方向は木の棒を目印にした。山が見え、森が見え、草原の向こうには川が見える。

自然の豊かさが物語っている場所だ。


「さて、そろそろ行こうかな。長い事ここに居ることも出来ないし...とりあえず、動くかぁ〜」


そう言って俺はバッグの中に水筒を入れ、バッグを背負う。


そして再び長い道のりを辿っていく事になった。



走っている途中、中々美味しそうな果物を見つけた。


距離は二十メートル程先。俺は果物の元へ向かう。


赤い果物で、匂いを嗅げば、香ばしい香りが漂ってくる。


確かこの果物の名は、リゴン。村長の家にあった図鑑で見たことがある。デザートなどで使われている果物だ。味は美味しいと言う。このままでも食べれるらしいが、俺は洗って食べたい。


とりあえずリゴンを二つほど、採取して、川のある所まで走った。


「というか、果物なんて食べたことないなぁ。野菜とお肉で生きてきた俺には、果たして果物の味がわかるのだろうか...ま、とりあえず食べるか」


俺はリゴンを洗い、リゴンに勢いよくかぶりつく!


「うんっまぁぁあああ〜♡なんだこれぇえぇ〜♡」


何とも気持ち悪い声を上げてしまう俺。


しかし!!──この果物、美味しすぎる!!甘くてシャキシャキしている!!

なんでこんな美味しい物を今まで食べてこなかったのだろうか...!!村の周りには果物なんて無かったからしょうがないけど、もっと早く食べたかったと思える。


もう一つのリゴンを食べる。


「美味すぎるぅぅうう〜〜♡」


俺はあまりの美味しさに膝をついてしまう。


「果物にハマってしまうではないか...!!」


俺はこれ以上は危険だと思い、二つ目のリゴンを食べ終えた後すぐ様、リゴンが実っている場所から目を逸らし、もっと食べたい欲を抑えながら自分に言い聞かせた。


「力加減だとか色んな修行をしてきたじゃないか...果物なんかに負けてたまるもんかぁ...!!」


俺は少し涙を流しながら、その場を離れる。


「また会おうな──リゴン」


涙はキラリと光り、そのまま俺はリゴンと別れた。




既に空が暗くなってきていた。俺はまだまだ走っていた。でも、人を見るようになった。通行人は気づいていないようだったが、確かに馬車に乗っている人がいた。その馬車は恐らく神都からの馬車だと思える。


という事は.....神都は近いと言うこと。まだ神都は見えないが、近いことは間違いないだろう。


しばらく走っているとようやく大きな壁が見えてきた。


「な、なんだあれは...」


俺は思わず呟いてしまう。


何十メートル程の壁が建っている。しかしそれだけ。壁が高過ぎて建造物すら見えない。でも、かなり神都は広いのだと思える。ここから見ても広い。広すぎるぐらい規模がでかい国だと思う。

流石神が創った国と言うべきだろうか。でもこんな大きな壁、あまり日差しが入ってこないのでは無いだろうか。


とりあえず見えてきたので、少し走るペース上げる。今日中に着くとは考えてみなかった。

フツ村から神都まで丸一週間かかると母さん達が言っていた。


でもその距離を十何時間で辿り着く俺は、異常なまでに速いと言うこと。自分の化け物じみた足の速さに本当に人間なのかと疑ってしまうが、あの二人の息子だ。俺はレイトという正真正銘、人間なのだ。


俺はあと1キロメートル程近付いた所で、普通の人間並の速さで走った。流石に物凄いスピードで門まで行ったら怪しまれるの間違いなし。


それに、俺は普通じゃない生活をしてみたいとは思っているが、それは常識範囲での普通じゃない生活をしてみたいと改めて考えてみた。


前までは目立って生活してみたいとか、注目されるような人になりたいとも思っていた。でも、俺が本当に欲しかった生活って言うのは、お金持ちになりたいとかだったんだと、この一年間で気づいた。


だから、怪しまれないように途中、馬車で来たから〜とか嘘を言えば信じてくれると思う。...多分。


「はぁ...はぁ...はぁ...やっと着いたァ...!!!」


俺は門の前で肩で息をする演技をしてみせた。すると門番さんが話しかけてきた。


「大丈夫か少年?」


「あ...はい...」


門番は騎士が務めている。だから鎧を着ている。


門番さんは男の人で、かなり筋肉の詰まった身体をしてそうな人で、雰囲気からして優しそうな人だった。


「君、もしかして走ってきたのか?」


「はい...」


「そりゃすげ!もしかして〝カルラ村〟の子かい?」


「いえ、フツ村って所から途中、馬車で来ました」


「そうかそうか。聞いたことの無い村だな。それにしても初めて見る顔だな。──って事は初めて神都アルバレルトに来たと?」


「はい」


「それも....一人で」


俺の後ろを見渡しながら感心したかのように言った。


「なら、まずは身分証明書を作らないとな」


身分証明書。父さんと母さんも言っていた。初めて神都に来た時は必ず身分証明書を作る必要があるみたいだ。これにはお金が掛かるらしく、時間もかかるらしい。


でも、「レイトなら問題ない!ちゃんとやれる」と言っていた父さんだが、果たして本当に大丈夫なのだろうか。村の人達以外の人と喋るのは初めてだから少し緊張する。


「それじゃあ、身分証明書を作るにあたって、大銅貨1枚貰うよ」


「どうぞ」


俺はポケットに入ってた大銅貨一枚を門番さんに渡した。


「それじゃあ、あっちにいるオッサンの方で手続きとかしてくれ」


「はい」


俺はカウンターみたいなところにいるオッサンの元へ向かった。髭を生やしたワイルドなオッサンだ。


「そんじゃ。まず、俺の名前はマンドウ。この国に

来た奴らの手続きや相談などをしている。よろしく。兄ちゃんの名は?」


「俺の名前はレイトです。フツ村から来ました」


「レイトか。いい名前だなぁ。にしても、フツ村って村は聞いたことないなぁ...ま、とりあえずこの書類を見てくれ」


そう言って書類を俺に見せる。


「これをある程度覚えておくようにな。兄ちゃん」


そこには国の事がよく書かれていた。この国でのルールだったり色々な事が書いてある。


それを無視、または破った場合は、重い処罰が下されるとか書いてあったりして、なんとも言えなかった。


そして手続きの方もあり、静かに書いていった。


名前、年齢、性別、出身地。


それら全て書いて終わり。でも、恐らくここからだろうか。


恐れていた事。


「今から犯罪歴があるか無いかを予め見ていくぞ」


そう。犯罪歴。これでもし何億人という数を出してしまったら間違いなく国に連行され、死刑。学園なんて尚更入れない。


ごくりっ。


「それじゃ、この水晶玉に触れてくれ。これで犯罪歴を調べる」


ドクンドクン。


心臓の鼓動が鳴り響く。そして俺は水晶玉に手をかざす。


果たして結果は....



「よし。問題なし。この書類は身分証明書を作る際に必要になる。サインも入れて置いたから、本場の市役所で受け取ってくれ。お疲れ様。それじゃあ、あの門番にこれを見せてきな。すぐ入れると思うぞ」


俺はそっと胸を撫で下ろし、小さくため息をした。良かった。とりあえず一安心だ。これであの事件を少しでも忘れられそうだ。


「ありがとうございました!」


「はいよ」


お辞儀をしてから俺は門番さんの前に行き、仮の身分証明書を見せた。


「改めて───ようこそ!神が創りし何千年と言う歴史を誇る神都アルバレルトへ!!」


大きな門が開かられる。


前へ前へと進む。

そしてその先は──



ありえない光景が待っていた。

ありえない光景とは如何に...


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