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 第1.5話 無影の雷皇の秘密

石造りの城。普段からあまり人気の無い東塔の廊下から、憎き光を放つ3つの月を見上げている1人の男の姿があった。

皇帝陛下に戦況報告をしに皇都の城に戻って来ていた恭夜・アースはこのアース帝国の第1皇子であり、またエリートの集められる皇都騎士団の第弌部隊の隊長でもある優秀な男だ。


「今日の報告も特に変わり無しか…本当にいつまでこんな戦争(こと)を繰り返せば、俺達地球人は月の一族を根絶やしにできるのか」


妙に、今日の月の光はいつもと少し違うように感じていた恭夜はため息混じりに愚痴った。本当にどうすればあの憎い月の一族を倒すことができるだろうか。

俺とは違う、生まれ持った才能と能力(ちから)が違いすぎる“()()()姫君達”を…。


「まさか敵も味方もここまで騙せるなんてな。次の皇帝は俺なんかじゃなくて雅己か希がなることが決まってるのに…」


月の光(やみ)の中で恭夜は自分を嘲笑うように笑う。周りには誰もいない。魔力関知は生まれた時から無駄に得意だ。

俺より強い奴が当たり前なんだから、()()()に間違えるなんてあり得ない。


「俺も雅己みたいに強化魔法で炎を纏う大剣を振り回してみたかったなァ…希みたいに、エレメントを自由に動かしてみたかった」


今にも泣いてしまいそうなくらいの酷い顔を右手でおおい、恭夜は後ろの壁に背中をぶつけながら固い床に足を投げ出して座り込んだ。

誰も見ていないからこそできる、誰かがいるところでは絶対に見せられない弱い俺(本音)


「っ、………」


恭夜の頬を、右手で隠しきれない涙が伝い落ちているのが見える。

少しすると突然、大きく強大な霊力を地球広海(アースこうかい)の方から感じた。とても太刀打ちできない圧倒的なまでの霊力(ちから)だ。この距離でさえ、絶望的なまでの能力値(ちから)の差で俺の体が震える。


「くっ…!」


そして味方の仲間達が地球広海に数えられないくらいたくさんの人数が沈んでいっている。

すると、恐怖しながら、慌てたような通信魔法を使う部下の魔力が地球広海の港で荒れ狂っているのを感じた。


〈恭夜様!?今のはいったいっ、何が起こったのか…〉


皇都騎士団の第弌部隊の副隊長である鷹臣から通信魔法の声が届いた。とても状況を呑み込めていないらしい。

ずっと戦争をしているのだから、仲間の死にも慣れていたはずだ。それでもこんなにもたくさんの仲間が一気にやられていくのを見るのは初めてだ。


「今から俺も行くから、そんな泣きそうな声を出すな」


恭夜はすぐに頭を切り替えてそう返事を返し、通信魔法の効力が消えると両目を皇都騎士団服の袖で拭って立ち上がった。


月の姫(おまえら)を地球広海に落とすのは俺じゃない。()()弟皇子達(あいつら)だ…!」


恭夜は真っ直ぐ、敵のいる地球広海の方を睨み付けていた。

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