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第二話 新しい敵

地球星、地球広海(アースこうかい)。ルーナクレシエンテ達3人が戦場に着く頃には夕日で空が紅く染まっていた。

海上に浮く、大型の五芒星。その周りにも外側へ行くほどサイズが小さくなる五芒星が多数浮いている。5人1組で霊力を使い、またそれが5組で五芒星を描いた大型五芒星浮動陣。それが月の一族の本陣である。


「もう2人の仮皇子は帰ったの?」


「いや、まだ港の近くにいる」


答えたのは深都の弟であり通信術が得意な(けい)だ。その実力が認められて本陣の通信術士をしている。

本陣の中央に設置されたガラスのような透明な素材で作られたテーブルは彼の創成術によるお手製で、その中央にはこの辺り一帯の地形を立体的に映し出した地図がある。これもまた蛍の魔力感知と創成術の高さが誇る高度な術である。


「それじゃあ、今のうちに攻めるの?」


テーブルの周りに集まり、ルナリェナが聞く。この戦場の作戦指揮権は深都にある。その彼に連れて来られたルーナクレシエンテ達は深都の指揮下に入り、圧倒的霊力を持って敵を蹴散らす。

それが、強い霊力を生まれ持っている私達の宿命なのだから。


「ああ、まだいるようなら2人に相手を頼むよ」


「なあ兄貴、オレもルーナ達と行っていいだろ?」


本当は通信術士よりも前線で戦いたい蛍が身を乗り出して言うが、深都は困った顔をして蛍に言葉を返す。


「お前も行ったら誰がここの通信術士をするんだ?本陣のなんて俺には無理だぞ」


深都にとっても自分の作戦の狙いが分かり、仲間達にそれを伝えてくれる頼もしい通信術士は弟の蛍しかいない。

それに通信術は深都よりも蛍の方が優秀である。


「それも、いつもだよなー」


まるで先ほど、半月にある大樹の前で3人がやっていた会話を見ていたように蛍が言うとルナリェナはその言葉に笑い、ルーナクレシエンテは自信ありげに“来ても邪魔よ”と言う。そんなやり取りに深都も苦笑している。

これも、いつもの事だ。


〈蛍!さっきの仮皇子達がまた出てきた。少しでも明日の朝までの時間を優位にしたいんだろ〉


海上で戦っている仲間から通信術の映像が送られてきた。テーブルの上に浮かび上がるリアルタイムの映像には敵が映し出されている。

そこに映る皇子らしき2人は、やはり強い。太陽が沈みかけて太陽神(ソル・ディオス)の加護が薄れているはずなのに…さすがは皇族と言うべきだろうか。


「これほどの魔力だなんて…」


「魔法は炎と氷ね」


これから戦う敵をルナリェナとルーナクレシエンテは分析している。得意魔法は何か、戦い方のクセ、弱点はあるのかと映像をじっと見詰めた。

青がかった黒髪の男は青い炎を纏う大剣を軽々と振り回し、大きな剣を持っているとは思わせないほど空中戦でのスピードも速い。

そして肩まで伸びる黒い髪を少し風になびかせて戦う、もう1人の男は右手に氷を纏う片手剣を構えて軽くこちらの剣士をいなす。それに左手では何か別の魔法を操っているようだった。


「私と同じ、風を操るのね…」


ルナリェナの目が細められ、纏う空気がいつもと変わった。ルナリェナも霊力で風を操って戦う時がある。それにその風を利用して召喚した大弓の矢を遠くまで飛ばしたりもするのだから。


「この黒髪の奴はリェナの獲物だな。炎の方はルーナに任せるよ」


深都から命令が下され、ルーナクレシエンテとルナリェナが得意そうに頷く。

2人は同時に飛行術式を準備すると敵のいる海上の最前線に向かって飛んで行った。






味方の中型五芒星浮遊陣の間をすり抜け、少し遠くに皆が戦っている最前線が見えてきた。

召喚術で弓や銃を召喚したり、霊力を直接砲撃に変えて飛ばして遠距離攻撃をしている後衛部隊の頭上を通り過ぎた所でルーナクレシエンテは口を開いた。


「ねえ、リェナ。あの2人は本当に無影の雷帝の弟なの?」


「え、どうかしら…魔力値から言えば皇族だと思うけど」


「正直なところ、あの2人と無影の雷帝をこれから相手にするなら…」


そこまで言って、ルーナクレシエンテは目の前の敵を双剣を召喚しながら海に叩き落とした。もうここは戦場だ。リェナも大弓を召喚して敵に狙いを定めている。


「蛍にも手伝って欲しいってさっき言えばよかったじゃない!」


「だって深都の言うとおり本陣の通信術士を取るわけにはいかないじゃない!」


本音を言えば、いくら霊力が高くても2人だけではむずかしい。そのイラつきをはらすようにルーナクレシエンテは敵を次々と切り裂いて海に沈めている。

ルナリェナも双子であるルーナクレシエンテの考えている事は良く理解できる…彼女が先ほど一緒に来たいと言った蛍を“邪魔よ”と言ったのも、その裏に隠された不安も強がりも自分の感情のようだから。


「だったら、最後まで強がるしかないじゃない!!集中放出術・満月の矢々シルバームーンショット!」


ルーナクレシエンテが敵を切り裂く間に霊力をため、自分達の周りを囲む大勢の敵達の魔力を捕捉していたルナリェナは天空に向けて大弓を構えて弓を引いた。

天空に向けて放たれた光線は、やがて弾けて容赦なく敵達に降り注ぎ、恐ろしいほど正確に彼らの心臓を貫く。


「本当にリェナは…っ!!」


ーーーあんたは強いわね


ルーナクレシエンテはそう心の中で思いながら双剣に霊力を流し込み、赤系色の光の粒を纏わせて自分達を囲む敵を一瞬で切り裂いた。

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