第三話 ルーナクレシエンテvs深紅の炎皇
地球広海、左翼側。
やっと戦場に出てきたらしい深紅の炎皇を魔力感知し、ルーナクレシエンテは自分の獲物を睨み付けた。
「待たせすぎだわ」
第二皇子である深紅の炎皇もルーナクレシエンテの姿を認め、見慣れた青ではなく赤い色をした炎を纏った大剣を前に構えてルーナクレシエンテに突撃してきた。
「くらえ!火炎剣!!」
強い魔力を持つゆえにルーナクレシエンテにとっては感知しやすい存在であることは、この深紅の炎皇に対しても同じことを言われるだろう。
「やっと出てきたわね。正直彼らじゃ斬りがいが無かったのよ」
「よく言うぜ、無駄に身体強化なんか使ってる奴が!」
ルーナクレシエンテと深紅の炎皇の剣が交わる。お互いの能力や力量、そして敵として憎む気持ちが伝わる。
やはり皇子と言うべきか、身体強化しているルーナクレシエンテがパワーで押し負けそうになる。だが、ここで退くなんてプライドが許さない。
「くっ…私が負けるわけないわ!」
ルーナクレシエンテが降り注ぐ月の光から華救夜の神力を集めて己の霊力へと変えて双剣にこめる。不足していたパワーを補い、深紅の炎皇を押し退けた。
「くそっ、夜戦なんて経験無えっつーの!」
深紅の炎皇は後ろに下がりながらムカついたように叫ぶ。
自分が太陽神の加護を受けて戦うことはあっても、月の一族が月の加護を受けた状態で戦った経験は今までに無い。それが得意なのは、いつもその状況で戦っていた第一皇子。憧れの兄貴の姿を思い出した。
「俺も兄貴みたいに…!」
深紅の炎皇はまた魔力を集中させて大技を放とうとするがルーナクレシエンテはそれを察知し、させないように高速で連撃を叩き込む。
魔法を使わせる隙など与える気は無いと云うようにルーナクレシエンテは先程よりも速く双剣を振るった。
「私に勝てるなんて、本当に思っているのかしら?深紅の炎皇!」
ルーナクレシエンテは空中で一度静止すると、双剣を握り直してから深紅の炎皇の頭を目掛けて宙を駆けた。
紅い閃光が上から下に真っ直ぐ落ちる。ルーナクレシエンテと深紅の炎皇の戦いに参加できる者などこの場にはいない。そして、それを“見れる者”も敵味方問わず限られている。
「俺達は負けない!!」
深紅の炎皇は自分の赤い炎を纏う大剣をガードするように構えた。頭上から攻撃してくるルーナクレシエンテを迎え撃つ気でいる。
俺達は、負けられないんだ!このアース帝国の皇子としても、皇都騎士団の隊長としても…殺られる訳にはいかない!!
「武器強化魔法・火炎!」
魔法で大剣に赤い炎を纏わせて防御力を上げる深紅の炎皇。ルーナクレシエンテもそれを認めると月の光からの加護を自分の霊力に変えてさらにスピードを加速させた。
「集中強化術・深紅の三日月!!」
再びルーナクレシエンテと深紅の炎皇の、お互いを敵と認めた双剣の攻撃と大剣の防御がぶつかり合った。




