アナザーフェイス②
透は驚きを隠せなかった。今透に話しかけている澪薗は明らかに先程までとは全くの別人だ。
そう。まるで澪薗に別のプレイヤーが乗り移ったかのように…
しかも瞳が赤色に変化している。
「お前は誰…だ?」
「私はリリア。澪薗のアナザーフェイスよ。」
何とも当たり前のように言ってくるが、透の中では疑問しかない。
「アナザーフェイスって何だ?」
「あなたそんなことも知らないの!?」
「あ、ああ。」
澪薗はため息をつきつつ、しぶしぶ透に説明した。
「私のようないわゆる『裏の顔』のことをアナザーフェイスと呼ぶの。」
「ということはリリアは澪薗のアナザーフェイスってことか?」
「ええ。そういうことよ。」
「なるほど。どういう時に澪薗からお前に切り替わるんだ?」
「アナザーフェイスはゲームプレイヤーが本気で勝ちたいと思ったときか出現を許可した時にしか出現しないわ。つまりあなたは澪薗を本気にさせた。だから私は見込みがあると言ったのよ。」
「そりゃあ、ありがたい話だな。でも、今の話を聞く限りアナザーフェイスは何人もいるみたいだけど、どれくらいの数がいるんだ?」
「具体的な数までは分からないわ。でも、アナザーフェイスはそれぞれ個々に特有のスキルを持っているの。格闘ゲームに特化したスキルもあれば、パズルや推理、音ゲーのためのスキルだってある。私も全てのスキルを把握しているわけじゃないからもっと最強のスキルがあるかもしれないわね。」
「なんか、ゲームみたいな設定だな… ちなみにリリアはどんなスキルを持っているんだ?」
「私は…秘密よ。」
その時リリアの顔が暗くなったように感じた。
「そんなことより、結局あなたは私と澪薗に協力する気はあるの?」
「いや、するも何もまだ何に協力するのか聞かされてないんじゃ返事をすることも出来ないんだが…」
「いちいち細かいわねー。そんな小さい男じゃ澪薗のハートを射止めるにはまだまだ先が長そうね。」
リリアが悪魔のように、にやつきながら上から目線で言ってきたので、透は顔を少し赤ら
めながら反論した。
「な、なにを言ってるんだお前は!?お、俺は別にそんな目で澪薗を見てるわけじゃ……」
「ま、お前が澪薗に脈ありだったとしても私には関係のないことよ。決めるのは彼女だからね。」
「だから、俺は別にそうゆうんじゃ…」
リリアが透の言葉を遮るように言った。
「それより、説明してほしいのか、してほしくないのかどっちなの?」
「よ、よろしくお願いします…」
しょうがないなと言うばかりに、澪薗は再びため息交じりに説明を始めた。
「まあ、説明するほど複雑なことじゃないんだけどね。要は私のようなアナザーフェイス達を私とあなた で協力して倒せばいいのよ。」
「いや、簡単に言うけどなあ。人間の俺と神のお前らじゃ勝負にもならねーよ。」
「誰がその状態で戦うなんて言ったの?」
「どういう意味だ?」
「あなたにも生み出してもらうのよ。アナザーフェイスを。」
「冗談だろ?そんなRPGゲームで技を一つ覚えさせるのとはわけが違うんだ。そんな簡単に生み出すことができるのか?」
「そうね。プレイヤーが大きな怒り・興奮・恐怖・喜びなどの感情に支配された時に、生み出すことができると言われているわ。」
「言われている?」
「まだ、絶対的な確証がないのよ。言ったでしょまだ見ぬアナザーフェイスはこの世界に数え切らない程いるって。」
「そういうことか。」
「でも……」
「でも?」
「あなたと一度対決して分かったわ。あなたの実力はそこらのにわかアナザーフェイスよりよっぽど強いわ。つまり、当分あなたはアナザーフェイスを出現させなくても問題はないわ。それに、そんな無理に出されても私たちの存在意義が無くなってしまうだけだわ。」
「ああ。そうだな…」
少しの間沈黙が続き、リリアが口を開いた。
「少し長く外に出過ぎたわね。何か分からないことがあれば、澪薗に説明してもらって。
また会えることを楽しみしてるわ。ゴ・ミ・ク・ズ♡」
「お、おいちょっと待てよ。」
引き留める前にリリアはウィンクをしながら戻ってしまった。
次に彼女が目を開いた時には赤色の瞳は元に戻っていた。
今回もご覧いただきありがとうございました。
これからも応援よろしくお願いします。