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プロローグ&1章出会い&2章アナザーフェイス①

<プロローグ>

いつも通りの青い空、白い雲、ゲーセン。

そんな日常をぶち壊すような人間いや「神」が現れた。


「私の勝ちのようね。やはり、あなたもただのゴミくずね。」


彼女は俺を見下すように、言い放った。

彼女の名前は田倉たくら 澪薗はのん

容姿端麗だがほとんど無口といういかにもラブコメヒロインのようなやつだ。


だが、こいつにゲームをやらせるともはや人間ではない。

どのジャンルのゲームでも「最強」と呼ばれた俺を優に超える人間がいるとは誰も想像できなかった。

―この時までは…


<1章 出会い>

ちょうどいい天気と気温の中この男朝宮透あさみやとおるは目を覚ました。


カーテンを開けると、そこから眩しい日が差し込む。部屋の中には、数々のゲームの世界大会優勝のトロフィーや表彰状が飾られている。


「はあ。」


気だるそうに伸びをすると、ちょうど1階から妹の茉莉まりが朝食ができたと呼びに来たので制服に着替え、リビングに下りるといつものように朝食が並んでいる。

透はふと目に入った両親の写真を悲しそうな眼で眺めた。透の両親は事故で亡くなり、今は茉莉と2人暮らしである。家計は祖母からの仕送りで何とかやりくりしている。


「ごちそうさま。」


そう言って透は登校した。

学校へ向かっていると、同じクラスの桐沢きりさわ 美久みくに出会った。


「おはよう、朝宮君。」

「おはよう…」


満面の笑みで美久が挨拶をしてきたので、透もそれに返した。

美久はただのゲームオタクである透にさえ声をかけてくれるほど外見・内面ともにランクSSSだ。いわゆる完璧超人だ。


「朝宮君、そろそろ中間テストだけどいつも通り全教科満点取れそう?」

「まあ、楽勝だろ。」

「さすがだね。私は全然だめだよー。もしよかったら朝宮君に勉強教えてもらいたいなーなんてね。」


何だかもどかしそうに桐沢が言ってきたので、透は


「俺よりもっと他の奴に頼んだ方がいいと思うぞ」と返した。


そうこうしているうちに学校に到着した。美久は部活の先輩に呼ばれ、そのままそこで別れた。去りぎわ美久が手を振ってきたので、透も軽く振り返した。美久の後姿を少し眺めた後、透は自分のクラスである、2年2組へ向かった。


「おっはよー朝宮―」


透が鞄から教科書を取り出していると、透の数少ない友人のうちの一人である鳥岡凛生とりおか りおが元気レート100で挨拶をしてきた。


「おはよう鳥岡。」


何かいつもより機嫌がよさそうと思いながらも、とりあえず返しておいた。

そして、機嫌がいい理由はすぐに鳥岡の方から話し始めた。


「朝宮、今日転校生が来るんだってよ!!しかも相当美人らしいぜ!!これはもうクラス一のイケメンである、この鳥岡凛生様が転校生のハートを射止めるしかないようだな!わーはっはー!!」


こんな頭のおかしい奴には無理だろうと陰で思いながら、透は苦笑した。

まあでも「転校生」という言葉は流石の透でも興味が無いわけではなかった。それに美人というのもどれほどのものか気になる。


そんなことを考えているうちにホームルーム開始のチャイムが鳴り、クラスのみんなが席に着いた。

先生が教室に入ってくるのと一緒に転校生と思われる美少女が入ってきた。


髪はロングの黒髪。身長は高く、スタイルもいい。

どうやら鳥岡の情報に間違いは無かったらしい。

先生が自己紹介を促すと、彼女は自己紹介をした。


田倉たくら 澪薗はのんです。よろしくお願い致します。」


桐沢とは正反対で、いかにも内気そうなしゃべり方であった。というよりかはお嬢様口調だ。


まあ美人なのには変わらない。

男子も女子もざわつき出したのがよくわかる。


「じゃあ、田倉の席は朝宮の隣な。」


いかにもラノベお決まりの展開だなと感じながら、羨ましそうにするクラスの男子からの目が気になって、仕方なかった。


「そうだ朝倉お前隣だから、田倉に学校案内してやってくれ。」


そう担任に言われた瞬間男子の羨ましがる目が、殺意の目に変わったのは見るまでもない。

だが、断るわけにもいかないので、透はしぶしぶ承諾した。


放課後早速、透と澪薗は学校を見て回った。澪薗はまったく口を開く気配がなかったので、透の方から話を切り出した。


「田倉ってさ、ゲームとかする?」


そう言うと澪薗はあまりにも驚いた表情をしたので、透はいくらゲームしか頭にないからといっても、まだ会って一日しかたっていない転校生にいきなりこんなことを聞くんじゃなかったと、心底後悔した。

しかし、澪薗は少し頬をあからめながら、こくりと頷いた。

透は澪薗が浮かべた驚いた表情の倍ほどの顔で驚いた。

「えええええええ!!!田倉ってゲームするのーーーー!!!」

「はい、しますよ……ゲーム。」

お互い少し気まずい雰囲気の中、沈黙が続いた。

その雰囲気を打破するように、透が思い切って口を開いた。

「田倉よかったら、今からゲーセン行かない?」

もちろんゲームの事しか頭にない透は今まで女の子を何かに誘うなんてことはしたことがなかった。だがその時は、いつの間にか反射的に澪薗のことを誘ってしまっていたのである。

それがなぜなのかは、透自身も分からなかった。ここまで透の心情を説明したが、彼女の答えはこうだ。

「申し訳ありませんが、今日は夕飯の支度をしないといけないので、行けません。」

透は心底思い切り悲しんだが、その後、澪薗は付け加えるように言った。

「ですが、明日なら予定がないので、一日中空いています。なので、土曜日でもよろしいでしょうか?」

透はとてもうれしかったが、それを顔に出さないようにクールに振舞った。

「ああ。土曜日なら俺も暇だから、問題ない。」

いかにも偶然予定が入ってないように言っているが、透にとって予定がある日など基本ゲームの大会かイベントの日だけだ。つまり、透は毎日暇だ。

「では、決まりですね。待ち合わせはさつき公園の時計台の前に2時でよろしいでしょうか?」

「おう。あ、あのさーよかったら途中まで一緒に帰らないか?」

「はい。喜んで。」

透は心の中でガッツポーズをし、ドラ〇エのレベルアップの音が流れた。

澪薗が内心とても緊張していることを知る由もなく…

帰り道で透は質問した。

「田倉ってどんなジャンルのゲームをするんだ?」

「き、基本どんなゲームもたしなみます。」

「そうか。俺と一緒だな。」

どうやら、澪薗が緊張で声が震えていたことに透は気づいていないようだ。

緊張もだいぶ解け、次は澪薗の方から質問した。

「そういえば、あなたの事をなんとお呼びすればよいでしょうか?」

「そうだなー普通に透でいいぞ。」

普通ではない。なぜなら、透は女の子から下の名前で呼ばれたことなど一度もないからだ。

つまりこれは許可ではなく、透の願望なのだ。

「では、透様とお呼びさせていただきます。」

「お、おう。」

もちろん、透は照れた。

「と、ところで、俺は何て呼べばいい?」

「そーですねー。透様が好きなように呼んでください。」

「じゃあ、澪薗でいいか?」

これもただの願望だ。だが、澪薗は何も知らずあっさり承諾した。

「はい。これからもよろしくお願いします透様。」

その言葉が透には、今までの口調よりも柔らかく聞こえた。話しているうちに、透は家に到着したので、「じゃあ。」と言って澪薗に手を振ると、澪薗はなぜか驚いた表情を浮かべている。

「どうしたんだ?」

透が問うと、澪薗は透の隣の家を指差しながら、言った。

「私の家、ここです。」

そういえば、数日前隣の家に引っ越し業者が来ていたなと思い、透は苦笑した。

そして、透は言った。

「これからもよろしくな。澪薗。」

それを聞いた澪薗は心なしか、ほんの少し微笑みながら、

「はい。透様。」

と答えた。


<2章 アナザーフェイス①>

次の日透は待ち合わせ場所にいた。待ち合わせ時間の1時間前に来ているのだから、澪薗が来ていないのは当然だった。

「そういえば、家隣なんだから、わざわざ待ち合わせしなくても良かったな。」

今更透はそんなことに気づいた。

昨日は家が隣のことに驚いて、そのまま二人共すぐに帰ってしまったのだ。

しばらくすると、澪薗がやって来た。制服の時とは違う、とても華やかな姿に、透は見とれてしまった。

「おはようございます。透様。」

「おはよう。澪薗。」

澪薗がなぜかもぞもぞしていたので透は聞いた。

「どうしたんだ澪薗?」

「あの、私の服装どうですか?」

実は、澪薗は今日の為に、昨日から着る服を悩み続けていたのだ。

少し頬をあからめながら、聞いてきた。

「あ、ああ。か、可愛いと思うぞ。」

こんな答えが返ってくるとは思っていなかったのだろう。体をビクっと震わせ、

「ほ、本当ですか!?」

「あ、ああ。」

お互い黙って、気まずくなったので透が

「じゃ、じゃあ、行こうか。」

と言うと、澪薗はまだ頬を赤らめながら、何も言わず小さくうなずいた。

二人は昨日の約束どおりゲーセンに行った。そのゲーセンは透がよく通っているなじみのゲーセンであった。

「透様はそのゲーセンにはよく行くのですか?」

昨日の緊張してた頃とは打って変わって、二人の間にある緊張感を破ったのは澪薗であった。透はその質問に一瞬考えを巡らせた後、口を開いた。

「そうだな…週に四回くらいだな。」

「そうですか。透様は本当にゲームが好きなんですね。」

「まあな。そういえば、澪薗ってどんなジャンルのゲームをするんだ?」

「主にスーパーファイトや剛拳などの格闘ゲームをします。ですが、どのジャンルのゲームも楽しいと思います。」

「そうか。俺も格闘ゲームは結構やるから澪薗とやりあうのが楽しみだ。」

「はい。楽しみです。」

実は、透の格闘ゲームの実力はそこらのアマチュアと比べてはいけない。なぜなら透はどの種類の格闘ゲームも世界一位を維持しているからだ。そんな透を倒すような奴がいるとしたら、それこそそいつは人間ではなく、「神」だ。

だが、その「神」が現れたとしたら、透はどれほど血の煮えたぎるようなゲームができるだろうと心臓が高鳴ってきた。

「どうかしましたか?透様。」

「あ、いや何でもない…」

「ここですか?」

「ああ。そうだ。」

「懐かしい感じがして、いいですね。」

「だろ?ここは俺の故郷みたいなもんなんだ。」

「なるほど。では入りましょうか。」

そして、二人はゲーセンに入った。

二人とも得意と言う事で、最初はとりあえず格闘ゲームの剛拳をすることになった。

透は手始めに使い手ではない重量系キャラのドルス。一方澪薗も同じくドルスを使ってきた。

澪薗が言うには、同じキャラの方が実力を確かめやすいとの事だ。

ステージはさほど勝敗に関係ないので、ランダムで、中華街のようなステージに決まった。

さあ始まる。前身の血が煮えたぎるようなこの感覚。どんな奴を相手にしても、この感覚は必ず消えない。―Drown in the game[ゲームに溺れろ]

勝負はすぐについた。透は驚くまま、地面に倒れこみ、その透を澪薗が見下す。

そう。透は負けたのだ。

いくら使い手キャラではないといっても、透は人生で初めてゲームで負けた。つまりこの世界でいるはずのない「神」が現れたのだ。

そして神は告げた。

「私の勝ちのようね。やはり、あなたもただのゴミくずね。」

その口調は今までの澪薗とは似ても似つかない様なものであった。

「でもあなたなら十分見込みがあるわ。どう?ゴミくず。私と一緒にこのクソゲーみたいな世界をぶち壊さない?」

「は?」

そう。これが、彼女のアナザーフェイス。

そして、ここから世界、いや天までもを股にかける、透と澪薗の壮大な物語が始まる。

さあ。

―Drown in the game


To be continued



「とうとうパートナーを見つけたみたいだねー。楽しみだなー。早く来ないかなー。」

少年は一人天界にいた。彼が「ゲームの神様」だ。

水面に映る透と澪薗を見て、彼は不気味に笑った。


初めまして。NIAと申します。初めての投稿です。まだまだ未熟ですが応援宜しく御願い致します。

ご意見・ご感想を頂けたら嬉しいです。

あと、更新のスピードは遅くなると思いますが、ご了承ください。

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