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41話 鳴動迎える迷宮

先週は投稿できず申し訳ありません。

言い訳をさせて貰うなら、リアルで色々ありまして…

中々書く時間が取れず、それでいて息抜きに別作品を書き出すと言う馬鹿げた行為をしてました。

いやー、ほんと申し訳ない。

出来るだけ週一投稿を心がけますので、今後も愛読ください。

 

 ━━━フェレノア地下迷宮 75階層━━━


 小柄で中性的な顔立ちをした男が雪乃達を前に1人つぶやく。


「…うん、できる、ここは誰も通さないだけ」


 少年ビリエルは深く息を吸い、槍を構えつつ空気を吐き出す。

 そして、投げる。

 投擲された槍は音速を超えガリルを貫いた。


「…次」


 ビリエルは壁に刺さった槍を抜き雪乃に向かい走る。


「はっ?」


 雪乃は遅れながらも気付き、振り向いた、そこには槍が目の前で停止していた。

 止めたのはペルスェポネだ。


「おいたが過ぎますよ」


 細く開いた瞼の奥からは感情が読み取れないほど黒い瞳がビリエルを覗いていた。


「誰?」


 ビリエルは天井を睨みつけてそう言った。


 明らかな異変、しかし、雪乃はその原因が僅かながらも分かった。

 感じたことのある魔力、足が震え、息が詰まる。


 天井が崩れ落ち、黒と白、二色7対14枚の羽を羽ばたかせた黒い服を着た、金髪の男が降りてきた。


「…増援か」


 ビリエルは槍を構え直し、セシルに対峙する。


 しかし、


「退け」


 セシルはまるでほこりを払うかのように”熾天の剣(セラフィシト)”を振りぬきビリエルを袈裟懸けに切り裂く。


「やあ、ユキノ、調子はどうだい?」


 セシルは虚ろな瞳を覗き込み、久々に会う友達へ声をかけるように、雪乃へ話す。

 雪乃はその場で頭を抱え、膝から崩れ落ちる。


「ユキノ、逃げなさい」


 ペルスェポネは雪乃をセシルから引き剥がし、退路へ投げる。


「こっち」


 傷を再生したビリエルが、雪乃の手を引き下へ降りていく。

 それを追いかけるかのようにガリルがメリザ達を連れて走る。



 ━━━迷宮 最下層━━━


「…」


 金色の瞳を持った6対12枚の純白の羽を持った男が豪華な椅子に座り、険しい表情をし頬杖をついている。


「ファザリエル様、この魔力は?」


 ファザリエルと呼ばれた男は目を閉じる、まるで話すべきか迷っているかのように。


 少しの間悩み、重々しく口を開く。


「…ルシファーだ」

「……ルシファー様と言えば、天界一の聖属性の使い手では? この魔力は余りにも禍々しすぎます」


 ファザリエルに話しかけた少女、レイリエルは首を傾げた。


「タマモ、お前に対処を頼みたい、レイリエル、お前は攻略者の保護だ」

「承りんした」


 艶やかな金色の尻尾が九本、ユラユラと動かし一本下駄を鳴らし階段を登っていく。


「レイリエル、置いていかれるぞ」

「あっ、待ってください」


 タマモを追いレイリエルは走った。



 ━━━76階層━━━



 ビリエルは雪乃を床に座らせ、話しかける。


「アレは、君達の仲間じゃないの?」


 その問いに答えたのは雪乃だった、震える膝を抱えながらも話す。


「…アレは、俺達がここに来る要因を作った奴だ、俺じゃ勝てなかった」


 雪乃は俯きながらそう言った。


「そっ」


 ビリエルは呆れた目で雪乃を見る。


 コツコツと床と下駄底かぶつかる音がした。

 ビリエルが振り向くとそこには、黒地に金と赤の華模様の上品な着物を着、肩を出し帯を前で結った美女が居た、頭部にある尖った狐耳が美しく妖艶な雰囲気を醸し出している。

 その美女はビリエルの方向を向き話しかける。


「ビリエルはん、敵は上でありんすか?」

「タマモ様、そうです」


 ビリエルは跪き、頭をたれる。


「わちきは九煌クオウ 珠雲タマモともうしんす、ぬしさまと同じ生まれでありんす」


 珠雲は雪乃の肩に手をかけ、自分の方向を向かせそう言った。

 続けて、


「向こうもこっちも弱肉強食でありんす」


 と、肉食獣の様な牙を剥き出しにし、笑みを浮かべた。


「…分かっている、いや、分かっているつもりだった」

「そうでありんすか、まあ、興味無いでありんすが」

「は?」


 雪乃の表情は先程までとは比べ物にならないほど怒りに満ち溢れていた。


「せいぜい、騙さりんせんように」


 そう言い残し珠雲は階段を上がって行った。


「待ってくださ〜い、ハァハァ、あれ? 皆さんが攻略者ですか?」


 下の階から走って来た息を切らした少女は、2枚の羽を揺らしていた。


「怪我があれば言ってください! 治しますので!」


 そう言って少女は胸を張った。


「そう? じゃあユキノを頼みたいわ、私じゃこれ以上は無理だったから」

「分かりました! で、ユキノさんはどちらで?」

「俺だ」

「あぁ、タマモ様にからかわれていた人」

「うっせ、とりあえず、俺が十六夜雪乃だ、よろしく頼む」

「はい、レイリエルです! よろしくお願いします!」

「ああ、よろしく、で、俺の怪我を治してくれるんだよな、俺はどうすればいい?」

「えーと、とりあえず横になって目をつぶってください」


 そう言いレイリエルは雪乃を横たわらせた。

 レイリエルはスキル”完全再生”を雪乃に対し発動させる。

 本来スキルは自分自身にしか効果が無い、しかしレイリエルはエクストラスキル”慈悲之女王ロード・フィランスロピー”の効果によって自分以外にも与えることが出来る。

 みるみるうちに雪乃の傷は治り、傷跡1つ残らない綺麗な状態へとなった。



 ━━━75階層━━━



「ふふふ、いいね、君のその顔、素敵だ」


 セシルはペルスェポネの顔を掴み、無理矢理自分の方を向かせる


「そうですか、私、貴方の顔は嫌いですので」

「ふふ、中々強がるね、手足も、自慢の羽も残っていないというのに一体何が出来るんだ?」


 ペルスェポネの手足は”熾天の剣(セラフィシト)”により切り落とされ細切れにされた。

 純黒の鴉のような美しい翼も毟り取られ乱雑に捨てられていた。


「うふふ、貴方の喉元を噛みちぎることは出来ますよ?」

「面白い、やってみるか?」


 セシルは小馬鹿にしたような笑みを浮かべ、ペルスェポネを地面に叩きつけた。


「ゴハッ」


 床から壁に至るまでが叩きつけられた衝撃により砕ける。


「おいたが過ぎんす」


 珠雲は鉄扇で口元を隠しながら歩き、アルティメットスキル”念力テレキネシスで、砕けた床と壁を停止させ、セシルの動きも止める。


「舞い散れ、朽ち果てよ、水面の鏡面へと誘わん”鏡華乱舞”」


 珠雲は扇子を優雅に振り、舞うが如くセシルを打つ。

 鉄扇による攻撃だけでなく、念力テレキネシスで周りに落ちた壁の破片を動かし、身動きが取れないように楔としてセシルの足を突き刺す。


 珠雲はセシルから離れ、


「終幕でありんすぇ」


 壁がセシルを中心に球体を作り出す。

 そして、どんどんと直径が小さくなっていく、中からは赤黒い液体が流れ出ていた。

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