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24話 新たな種

 

 ━━━ノルデアン王国 付近 名もなき山━━━


 フレナドールは五体の蠢く死体(アンデット)攻撃を紙一重で躱す。


(チッ、こいつらただの木偶の坊かと思ったが、かなり強い)


 蠢く死体(アンデット)のうち一体がフレナドールに斬りかかり、残りの四体はフレナドールの逃げ道を塞ぎ、同時に攻撃をする。

 フレナドールは蠢く死体(アンデット)達の生前から取れていたであろう連携に舌を巻く。


 フレナドールは構えを変える、今までは自然体に近い力を抜いた状態だったものが、両拳の握りを解き、指を伸ばし、足は肩幅より開く、前に出した左足はつま先で立つ空手の”猫足立ち”と呼ばれるものにへと。


 グレイド家の先代、アールドール・グレイドは異世界からの転移者にある武術を教わっている。

 それは空手空拳、通称空手だ。

 グレイド家は代々空手をこちらに合わせ改良を加えていた、その正統継承者はフレナドールだ、異世界(むこう)風に言うなら免許皆伝という奴だ。

 つまりフレナドールはどの先代よりも強い。


 フレナドールは左手の貫手で、蠢く死体(アンデット)の胸を貫く、”会心クリティカル”によってその威力は底上げされており、胸に風穴を開る。


 しかし、蠢く死体(アンデット)に心臓などの臓器は必要無い、必要なのは脳からの信号を送る機関、つまりは脊髄が蠢く死体(アンデット)にとっての最重要機関である。

 脳からの信号と表記したが、実際にはマナや魔力にである。

 その二つの違いはマナの場合は自然的な発生、魔力の場合が意図的な発生になる事だけだ。

 蠢く死体(アンデット)の動力源だが、こちらもまたマナである。

 つまりは脊髄を破壊しない限り蠢く死体(アンデット)は動き続ける。


 フレナドールはその事を知らなかった、いや、知っていたのだが忘れていたのだ。


(とりあえずは動きを封じるか)


 フレナドールは胸に刺した腕を抜き右の足で前蹴りを放つ、その前蹴りは蠢く死体(アンデット)の膝を壊す、通常では曲がるはずのない角度に曲がった膝からは白い骨が見えていた。


 次に別の蠢く死体(アンデット)の肩をめがけ手刀を放つ、ボキッ、という骨が折れる音が鳴り響き、腕が落ちる。


「ガッ」


 突如フレナドールの後頭部に重く残る痛みが発生する。

 その原因は一体のほかよりも頭一つ抜けた良い防具を装備した蠢く死体(アンデット)が持っていた剣で切りつけたことによる。

 たまたま風化し刃が潰れていたため痛みですんだ、が、風化したといえ剣は剣、数キログラムにもなる鉄の塊で殴られれば血は流れる。


 その一撃でフレナドールはさらに追い込まれる、今までのかすり傷が一気に悪化していく、それは何故か、答えは蠢く死体(アンデット)の一体が使用した魔法による、効果は傷の悪化、ただそれだけだが効果は抜群であった。


「おい、坊主大丈夫か?」


 フレナドールは薄れゆく意識の中で優しくそして力強い声を聞いた。


「よっ」


 その声の主は軽々と蠢く死体(アンデット)達を背中に背負った大剣ではなく拳で蹴散らしていく。



「?」


 フレナドールは目を覚まし周りを見渡す、どうやら洞窟の様だ。


「目ぇ覚めたみてーだな」


 先程の声の主は紅の髪は短く、マントと言うよりもただの布で体が隠されている、座高から身長は高いと推測される。

 顔つきは彫りが深く、厳つい。


「助けてくれたのか、ありがとう」

「いや、俺は助ける気は無かったんだがこいつがな」


 そう言って男は背負った大剣を見せた。


「それは?」

「こいつは”聖剣”だ、いや、たしか”魔剣”でもあったか?、まあいいや、とにかくこいつの銘は”レイヴァテイン”だ、意志を持ち自らの主を探しているんだとよ、その代行者が俺、レインだ」

「そうなのか、よろしくレイン」

「おうよ、俺はお前みたいに物分りの良い奴は好きだぜ」


 レインと名乗った男は金属のボトルに入った飲み物を口に入れた。


「飲んでるのはなんだ?」

「ん?これか?これは酒だ、つってもあんまり美味くないがな」

「そうか、酒か」

「飲んでみるか?」

「…いや、やめておこう、それより剣が俺を助けろと?」

「ああ、そうだ、お前は”聖炎なる剣 レイヴァテイン”に主として認められた、使いこなせるかはお前次第だがな」

「くれるのか?」

「そうだな、その前にちょっとこいつを掴め」


 レインは剣先を掴み持ち手をフレナドールに向ける。


「分かった」


 剣に触れると激しい痛みと脱力感、そして尋常ではないほど強力な魔力がフレナドールを襲う。


「ッ!?」


 離そうとしても離せず、声にならない悲鳴を上げ、体の中に何か異物とも呼べる()()が入ってくる。



 フレナドールはおよそ三時間もの間眠っていた。


 目が覚める、周りを見渡す、景色は変わっていない。


 手元には一枚の手紙と燃え盛る炎を切り取ったかのような大剣があった。

 手紙の内容は「坊主、お前がこの手紙を読んでるって事は無事に目が覚めたみたいだな、まああれだ、俺は剣の代行者で剣に持ち主が現れればお役ごめんって訳だ、俺は残りどれくらい生きれるか分からないが旅に出る、精々後悔しないように使いこなしてやんな Ps何かしら魔剣が言い出しても驚くなよ」と何とも言い難い物だった。


 フレナドールは苦笑いをしながら外に出る、外は日が暮れ、夕焼けが山を照らしていた。


(レインは一体なんの為に俺に力をくれたんだ?)


 ちなみにフレナドールは学生寮住みなので親に心配されることは無い。


 フレナドールは歩く、ノルデアンに向かって。

 道中何か下位の魔物に襲われたが、”聖炎なる剣 レイヴァテイン”をチラつかせただけで逃げ去って行く。

 それ程までに危険な存在なのだ、”レイヴァテイン”はこの星『ヴォーシュテリア』が誕生した時の余波から生まれたものである、天界、魔界などが生まれる前からあったこの剣はやがて意志を持つ。


 ──聞こえるか、聞こえずとも感じろ、お主の体をちょっと改造させて貰った──


 ……反応は無い、どうやら聞こえていないのだろう。



 ──ふむ、聞こえていないか、ならば「おい」──


 フレナドールは驚く、後ろから地を割る様な声が聞こえたからだ。

 そして振り向く、何も無い。


「やっと聞こえたか、主よ、お主に声が届くまでいささか苦労させられた」

「何者だ!」


 常に声は後ろからする。


「お主の大剣”レイヴァテイン”だ、言いたいことはひとつだから言わせてもらう、お主の体を改造させてもらった、前より強くなっているぞ」


 その言葉で自分の体を見てみる。

 髪色は、変わらず金のままである。

 次は体付きだが、変わったところは見受けられない。


「どこを改造したんだ」

「全てだ、それより、お主にスキル”霊体化”を授ける、これで物理攻撃はほとんど効かなくなったから安心せよ」




代行者レイン

名前 レイン

種族 代行者

レベル ???

身長 192

体重 95

加護 無し

スキル 大剣術A,魔体化,

魔法 無し


魔闘力

魔力 0

精神力 5000

戦闘技術 9500


レインさんはこの話限りの存在かも知れません。

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