1話 異世界初日
あまりまとまった時間が取れなかったので違和感があるかも知れません
あと今回少しグロ注意です
─あれから2時間ほど話した、魔術元素の事や、スキルの事、星の加護というのはは3つのスキルを合わせたような物らしい。
1つ目が『知識の片鱗』
これは、殆どの言語が喋れて聞き取れ、魔法の使い方が分かり、殆どの物の構成を分かるようになる。
2つ目が『攻撃予測』
敵の攻撃が来る所を線として見せるもの。
3つ目は『思考速度上昇』
思考速度を60倍にする事が出来る。
それと…カルミナ、本名カルミナ・シュベル・セザーノは元貴族だった、それと、復讐相手についても教えてくれた。
はっきり言えば血なまぐさい話だ、でも、それを詳細まで話してくれた、多分少しは信用してくれているんだろう。
ーー時は今から6年前に遡る、当時13歳だったカルミナは妹と遊びに近くの森でいつもの様に村の友達と遊んでいた。
日が暮れ家に帰ろうと歩いて行くと違和感があった、木材が焦げる炭の匂い、吐き出しそうになる鉄の匂い、目で見るよりも先にカルミナは走った、するとそこにあったはずの友達の家が燃えている、不安になったカルミナは走って家に向かうとそこは地獄だった…
よくカルミナとレイナの面倒を見てくれて、叔母の様に思っていた使用人のレイトは腹部から喉にかけて切り裂かれ、腸を出して死んでいた、それだけではこの惨事は収まらない、母親のネウラも生きてはいなかった、大量に溢れ出て地面に染み込んでいる赤黒い血、そしてそんなネウラを庇うように覆い被さっている父親のシュベルに至っては、そこにあるべきはずの下半身はどこにも見当たらない、どんなに早く気づいていても助けられなかっただろう。
カルミナに剣術と勉学を教えていたクロネ・ティーアは村を襲ったであろう黒紫色の鎧竜を抑えている、だが、カルミナに気付いて叫んだ、
「坊ちゃん!!聖都ズューデンに私の家があります!!そこへ向かってください!!」
と、いくらカルミナでも瞬時に状況を判断出来るほど大人では無い、成人が近くあらゆる学問を学んでいても、カルミナの心は戸惑い続ける。
「でも…クロネが…」
「ハッキリ申し上げます、この状況だと坊ちゃんは足枷になります私の心配をして下さるのでしたら妹様を連れて逃げてください!!それとこれを!!もしもの時は指輪を売ってください!!」
クロネは鎧龍の隙を見つけ、着けていた指輪とペンダントをこっちに投げた。
つまり、クロネは託したのだ、枯れた落ち葉が養分となって新たな花を咲かせるように、
妹の手を泣きながら引き、走った…
何も考えずに、いや、考えられずに…
村が見えなくなった頃には夜が明けていた。
緊張の糸が切れ妹は眠っている。
カルミナは切り替えが比較的早い子でクロネの言いつけを守ろうとしていた。
だが、何をするにしても金が無い、ズューデンまでは1ヶ月以上かかるその旅費をどうするか?
クロネの指輪を売っても流石に1ヶ月の旅費は賄えない。
そんな事を考えてる間に眠気が襲ってくる。
意識が薄れ、気が付いたら朝になっていた、
起きたらすぐに近くの街まで行き保護してもらった。
それからはその街で手伝いをしながらお金を稼いで武器を買い冒険者ギルドに登録した、
※冒険者ギルドとは強さをランクに分け、その強さにあった依頼を紹介し、達成したら報酬を渡す所、これ以外にもあるが省略。
その間妹は留守番、という訳にも行かず、家事の手伝いをしていた。
その間は昔父親にお世話になったというセリナシアさんの家に住まわせて貰った。
2年ほど経ちズューデンに行けるほどの資金が何とか集まり馬を買い旅立った、道中魔物に襲われたがそこまで強く無かったこともあり苦戦はしなかった。
1ヶ月半程で聖都ズューデンに着きティーア家に事情を説明し住む場所を提供して貰った。
それから3年が経ったところで魔王のが出現し各都市に対しての宣戦布告、それから4ヶ月で勇者セシル・サー・ルシファーが討伐に向かった、
しかし1年が経過しても討伐の知らせは無かった。
そして魔軍による侵略を受けた。
結果は王国の敗北。
都市20以上の消滅。
後にこの侵略は大魔侵略と呼ばれるようになった。
残った領土は、
王都ノルデアン
オーステア
ヴォルテア
聖都ズューデン
ズューデンにいたカルミナとレイナは無事だったが、メキナシアにいたセリナシアとは連絡がつかない、恐らく生きてはいないだろう…
他の国は王都を除いて全滅、メリア・インス・ノルデアンと条約を交わし、国家ノルデアンは連合国家ノルデンとなり、防衛に力を注いでいる。
魔軍には鎧竜が居たらしく、村を襲ったのと同じ黒紫色をしていたと言う情報から鎧竜が村を襲ったのは裏で操っている者がいて、操っていたのは魔王では無いのか?と言う仮説を立てた。
確信では無いが十中八九魔王グレリアだと、カルミナは思っている。
どちらにしてもは魔王グレリアの討伐は必要だ、だが倒しに行けるような力は無い。
そんなふうに考えている時に勇者の依り代になってくれないかと言う神託が下った。
願っても無い、だがその勇者は信用に値するのか?
1度会って話をする事を条件に魂の回廊にて十六夜雪乃に会い信用し体を貸す事にした。
これが俺に体を貸してくれる理由…
復讐と俺の目的は同じか…
「では、これより魂の秘術を行います」
シュテルンが言うと俺の体が光りカルミナの体に取り込まれる
ーー目を開くとそこは魂の回廊ではなく森であった、
木が生い茂り舗装すらされて無い。
森というより樹海の方が正しいかも知れない。
「ここが異世界か?」
周りには誰も居ない。
「カルミナ?」
声も聞こえない。
雪乃を不安が襲う。
(俺の体の調子はどうだ?)
ワンテンポ置いてカルミナの声が脳内に響いた。
雪乃はカルミナの声を聞いて落ち着いたようだ。
「不調は無い、少し反応が鈍いがな、取り敢えず走って慣れてみるよ」
(そうか、だが、いちいち喋らなくても考えるだけでお前の言葉は届くぞ)
そうなのか?
(ああ、俺とお前の魂がひとつにまとまったからな)
へぇー
ところでカルミナはなんで森に居たんだ?
(お前が寝てる間の体の所有権は俺が握ってるからな、お前に魔法を教えるにしても目立つからな)
そういうもんか?
(ああ、お前が体の主導権を握ってる間は髪と目の色が変わるからな)
なるほどな。
(さて基本から教えるぞ、まずは空気中のマナの流れを感じろ)
…分かった。
目をつぶり、皮膚に神経を集中させると、そよ風の様に何かが皮膚の周りを流れていくのが分かる。
”スキル”魔力感知D”の獲得を確認”
またもや脳内に声が響く。
(意外と早いな)
これがマナか?
(そうだ、今のでスキル”魔力感知D”を獲得したみたいだな、これはマナがある場所で生活してるとほぼ確実に身に付けられるレベルだから簡単だ)
そうか、少しがっかりした、もっと色々やってみたいな。
(そうだろうな、まあ、いくら勇者とはいえ無理は禁物だ、続きは明日にするか?)
確かに日も暮れてきたし帰るか。
主導権の受け渡しってどうするんだ?
(簡単だ眠れ)
他にはないの?
(気合いだ、それで変わる)
”主導権の変更を確認”
そして意識が薄くなる。
体が動かない、だが、何をしてるのかは分かるし、問題は無いだろう。