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第16章 来訪

第16章 来訪


「はじめまして。君が星羅だね」

 ナオトから連絡が来てから数日後、彼は星羅たちが集まる広場へと現れた。ナオトは制服姿の星羅をみると懐かしそうに微笑んだ。

「高校生なのか。私にはだいぶ昔の思い出だ、懐かしいな。君はレン?」

 星羅の隣で緊張気味に立っている少年を見て問う。

「はじめまして、レンです。あなたがエイトから聞いていたナオトさんですね」

「ああ。エイト君が来た時は、心底驚いたし、警戒もしたよ。だけど、君たちの事情を知ってね。私でよければ力になれればいいと思っているんだ。それから、少しむこうの世界を懐かしく感じることがあってね。星羅、君と話をしたかったんだ」

 初めてエイトと会った瞬間の緊張や固さは今のナオトからは少しも感じなかった。まるで、以前から知っている仲のように緊張をほぐしている。

「星羅、以前ナオトさんから聞いた、彼がこの世界でも殺されない3つの仮説を覚えてる?」

「もちろん。たしか、力の強さの関係、土地柄の関係、あとは興味関心があったからだったよね」

「要約するとそうなるな。俺の予想では、エリザの土地柄上、多種多様な人たちを受け入れることに慣れている。もちろん、その中でもナオトさんは異色だったろうけど、それでも徐々になじんでいけたんだと思ってる」

「だとすると、この村は外からの人をあまり受け入れる習慣がないよな。そもそも、外から来る人自体がほとんどいない。それなら、エイトが前に話してくれたこの村に来た少年の話も辻褄が合う。処刑するにあたっては理由がなければいけないから、強い力を持って災いを呼ぶってことにしたんじゃないか?」

 レンの問いかけにエイトも頷いた。

「おそらくそうだ。その少年が実際にどんな災いをもたらしたかは、しっかり記されていないんだ。しいといえば、たまたまその年は雨が降らなくて水不足に苦しんでいた。だけど、それが少年のせいであるとはどこにも証拠がないんだ」

 狭い村だからこそ、お互いに協力しあって生活できるという利点はある。だが、反対に村の風習からはみ出た者や、他所からの者は異質な存在として扱われてしまうことはレン自身がよく知っていることだ。

「もし、お兄ちゃんたちが言っていることが当たっているとすれば、星羅さんはエリザの街でなら排除されずにすむってこと?」

 ララは利口そうな目をキラキラさせて聞いた。

「うん、その可能性は高いんだ。もしかしたら・・・・」

 エイトはそこまで言って、口元に手を当て俯いた。

「エイ兄?何か思いついたの?」

「うん・・・・。俺は今までこの村でも安全に星羅が行き来できるように考えていたけれど、それは予想以上に難しいのかもしれない。もしも・・・・、この村の土地柄が問題であるならば、それを今すぐに変えることは無理だ。それよりは、・・・・エリザの街の方が星羅は安全なんじゃないか?」

 顔をあげたエイトは時々言葉を選ぶように、ゆっくりとそう言った。

「待って。今のエイトさんの話だと、私はここへ来るよりもエリザの街に行くほうが安全だってことよね。でも、それだと・・・・・・、私みんなに会えなくなっちゃう。それは絶対にいや!」

 最後の言葉を星羅は迷うことなく、珍しく声を大きくして言い切った。

「エイ兄、私も星羅さんと会えなくなるの嫌だよ」

 ララは先程までのキラキラした目を、今度は涙目に変えている。

「ごめん、そういうつもりじゃなかったんだ。俺は」

 2人の様子に慌てるエイトを、ナオトが制した。

「まあまあ、エイト君も星羅を守りたくて必死なんだよ。それに、彼の言うことにも一理あるな。なあ、エイト君たちは星羅に村をみせてやりたいと言ってたよな。だけど、それはさっき彼が言った通り、今すぐには難しい。どうだろう、まずはエリザの街に来てみないか?もちろん、星羅だけじゃなくてエイト君たちも一緒に来るといい。ちょっとした旅行みたいなものだよ」







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