私、買われちゃいました⑤
私が条件を出し、主導権を握る。
そしてこいつを利用する。
そのためには凛と、毅然と、悠然と振る舞わなければ。
「条件一つ目。私を家に帰して」
「できん」
そう来ると思った。
「じゃあ良いわ。ならせめて家族と一緒に住ませて。あなたが建ててくれる寝床で。私にとって家族は一番大事な存在だから。これだけは外せない」
嘘はなかった。
家族は私にとって一番大事な存在。
そして、唯一の味方。
「ふむ。確かに家族と離すのは可哀想じゃ。良かろう。お前の家族の部屋も手配しておこう」
良し。
第一段階クリア。
「条件二つ目。私に暴力をふるったり、いやらしいことはしないで」
「はっ。そんなことか。もとよりそのようなことをする気はない」
意外だった。
この条件が一番通しにくいと思っていたのに。
「余がそんな低俗で下品なことをすると思ったか?みくびるでない。余は定禅寺グループの跡取り。いずれは世界を動かす男ぞ。そこいらの男と同じだと思うな」
その言い分からはプライドの高さが感じられた。
なるほどね。
「なら、何のために私を買ったの?」
「お前には、余の身の回りの世話を任せたい。それと、余が呼び出したときは24時間いつでも勉強と運動の相手をしてくれ」
思ってもみなかった。
この条件は私にとっても使える。
こいつを私の思うままに育てられる。
「OK。それで良いわ」
「じゃあ最後ね。これは言うまでもないと思うんだけど、私に対する全てのいじめから私を守って」
「ふん。当たり前じゃ」
良し。
こいつのことだ、金にものを言わせてどんな手を使ってでも私を守るだろう。
正確には、こいつの所有物になった私を。
私を守る壁は鉄壁となったと言っても過言じゃない。
あとは復讐の算段を練るだけ。
私は何がしたいのか。
どうなりたいのか。
それを見つけて、叶える。
小汚いこのパートナーと。
私が定禅寺の方に目をやると、定禅寺は鼻をほじっていた。