私、買われちゃいました③
定禅寺保。
数々の金持ち家庭の子息、息女が集まるうちの学校の中でも断トツの金持ち。
容姿は下の下、成績は最悪、運動はできない。
おまけに、人を人とも思わない性格。
そのせいで学校では厄介者扱いされている。
若葉芽衣。
数々の金持ち家庭の子息、息女が集まるうちの学校の中でも断トツの一般人。
容姿は上の上、成績は学年トップ、運動は何でも来い。
そのせいで、学校ではひがみの対象。
始業式が終わり、私は帰路についた。
傍らには定禅寺がいる。
「何で付いて来るの?」
「当然であろう?お前は余の物なのだ。勝手にどこかへ行こうなど、許されんぞ」
「だからって、家まで付いて来る気なの?」
「家?家か。そう言えば、お前の家を建てなばな。爺!」
「はっ、ここに」
後ろの電柱の陰から老紳士が現れた。
ずっと付いて来てたの!?
「護衛はいい。こいつの寝床を手配してくれ。そうだな、母屋の隣に建てれば良い。無論、風呂とトイレを忘れるな」
「承知いたしました」
そう言うと老紳士は颯爽と電柱の陰に消えた。
ちょ、え?
誰だよさっきの!
忍者!?スーツに身を包んだ平成の忍者なの!?
平然と話してんじゃねえよ!
「てか、私の寝床って何!」
あ、つい興奮して口に出ちゃった……。
「お前は余の物になったのだ。それ相応の寝床を用意してやろうと思ってな」
「いやいや、何言ってんの?そんなの要らないよ。私にだって住んでる家くらいあるよ」
「はっ。そんなこと分かっている。お前は面白い奴だ」
「じゃ、じゃあさっきのは何よ」
「何?何とはなんだ?お前は今日から余の家に住むのだ当然であろう?」
……そうか、さっきから話が噛み合わないと思った。
私、家にも帰れないの???