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私、買われちゃいました②
「余が、お前を買ってやろう」
2年の始業式。
壇上に居るのは私と定禅寺君。
今年から同じクラスになる男の子。
もちろん初対面。
なのに、何だ今のセリフは!?
初対面だぞ!!
「な、何を言ってるの?」
「分からぬか?余はお前のことが心配なのだ。辛い思いをしているのだろう?もしお前が余の物になれば誰にも手出しはさせん。そして、余はお前を愛でる事ができる。Win-Winじゃ」
「は、はぁ?」
ざわつく体育館。
それに呼応するように、ばくつく私の心臓。
どうする?どうすればこの状況を切り抜けられる?
その時だった。
体育館の片隅から誰かの声が飛んだ。
「おめでとー!!」
やられた。
先を越された。
その一声に割れんばかりの拍手が続いた。
恐る恐る定禅寺の顔を見る。
その顔は驚きと歓喜に満ちていた。
頬は紅潮し、目は大きく開かれていた。少し、涙も浮かべている。
「見ろ。皆が祝福してくれている!!うむ。うむ。うむ!!」
何を納得しているんだよ!!何を!!
こうして私は、こいつに買われることになったんだ。