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報復  作者: 深皇玖 楸
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璃奈と玖璃

 璃奈視点で書いたら大変わけの分からない展開になってしまいました。

 特に気にせずさらっとお流し下さい。

「あーあ、行っちゃったね」

「あの二人ですから大丈夫ですよ」

 璃奈は特に心配はしていなかった。悪いのは綵菟だが、王共茣がそんなことで見捨てるような性格をしていないことなど分かっている。

 玖璃が持ってきたアールグレイに砂糖を入れながら、璃奈はしばらくぼーっとしていた。

(…どうも苦手ね…)

 璃奈はアールグレイは全くと言っていいほど嫌いだった。自宅で育てていないこともないが、専らお菓子の中だ。

 玖璃にはさんざん世話になっていて、もしこれが仮に悪質な嫌がらせだとしても、璃奈は文句は言えないので、黙って甘味で誤魔化していた。

「戻ってくるまで待った方がいいのかねぇ」

「あの様子では日が暮れます。……始めましょうか」

 頭を切り替える。それをするには、砂糖の糖分が丁度よかった。

「まあ王共茣もまだ見習いだしね」

「ポテンシャルは玖璃さんより高そうですけどね」

「手厳しいね、君も。そんなんだからあの男がいつまでも離れないんじゃないか」

 璃奈は軽く頷く。そんなことは前世の昔から分かっていた。『彼』に愛情を向けることはできないから振り続けて、一体何回振ったのかも曖昧だ。

「でも一応、王共茣さんにも関係しているんですよね………」

「白木原に同窓生がいるとか?」

「それは把握していませんが…、羽越先輩は何か知っていますか?」

「そうだなぁ…、多分いないんじゃないかな。あそこって高等部の編入枠って100人まででしょう?大体、ウチか緋凰に流れるかだしね」

「そうですよね、男子校ですし」

「じゃあ、王共茣が関係しているというのはどういうことなんだ?」

「王共茣さんのバイト先のオーナーが被害者の実の兄なんです」

 それを当人が知っているかどうかは分からないが、少なくとも事実である。

「それは…ややこしいね」

「ていうか璃奈ちゃんはどっからそんな情報を仕入れてくるのさ」

「これは単に彼らの真ん中の兄弟に聞いただけです」

「単にって……」

 羽越が微妙な顔をするが、それが事実なのだ。まさかその彼が影ながら大切にしてきた弟が刑事事件に巻き込まれることを璃奈が想定していなかっただけで。

「―――取り敢えず、その被害者の名前は玖月香雪。白木原の二年生」

 玖璃が気を取りなおして始めた。確かに、話の腰を折りまくった自覚くらいは璃奈にもあったので、大人しくしている。

「今回のクライアントは火崎無月。こっちは一年生。――で、これはやっぱり受けるべきではないと?」

「当然です。彼はアメリカと繋がっていますし、薄々ですがEAについても気付いているようですしね。大体に於いて被害者の香雪さんも強かですし、どう足掻いても7、8年は刑務所生活ですしね」

「どういう意味かな?」

「EAの方で蓄積していた彼らの不正行為の証拠を警察に全てリークしています。……ついでに親の方のも、警察が一切関わってないものは全て」

 その辺りの力の加減は、データをまとめた別の人物が称賛に値するだろう。それが香雪本人なのか他のEAなのかは定かではないけれども。

「逃げ場はないね」

「後はマスコミ次第ですね。…上手く煽れば少なくとも彼らが社会復帰することはないでしょう」

「上手く、ね。君は少々悪人すぎるよ?」

 と言いつつも、玖璃の目は笑っていた。

 璃奈はそれに軽く笑って応えた。

 それに当然、璃奈は善人ではなく完璧な悪人だという自覚がある。多くの人間を踏みつけてにじりつけて、そしてそれらを積み上げてようやく自分という存在があるのだ。多少の情など切り捨てるのは容易いことだ。

 そしてそれ以上に、腐敗した人間をいつまでも権力の座につけておくことほど璃奈の精神を逆撫でするものもない。

 璃奈は容赦するつもりは毛頭なかったのだ。

「悪人で結構ですよ。少なくとも、彼らほどではありませんから」

「よく言うよ。君が殺した人数より彼らの犯罪の方がはるかに少ない」

「別に殺してはいませんよ。社会から抹殺しただけです」

「戸籍のない人間は、死んだのと同じだろう?」

「……そういうわけでもありませんよ」

 戸籍の復活など、本人が死んでいないことを証明できれば容易いことだ。それをせずに安全な場所でのうのうと暮らしているのは単に彼らの意志に他ならない。璃奈はそう思っていた。

(殺すのは…最終手段だわ)

 実際は殺すことのほうが簡単だ。守りたい命はいつも璃奈の手を滑り落ちて、亡くしてから失ったものの大きさを思い知らされる。

(だから……)

 せめて、自分が手を掛ける者全てのその刹那の表情を刻み付ける。それが璃奈なりの解決の仕方だ。自己満足でしかなくても、何もせずに感情のない殺人鬼に成り下がるのだけは厭だった。



 沈黙の降りた部屋で優太だけが一人、おろおろと行き場がなかった。



えーっと、申し訳ありません。

EAとは自分で脳の中の情報を整理したり調整したり、知的生命体と交信して知りたい情報を引き出してしまう、変わった人たちの総称です。(後半は?です)

綵菟たちの能力とは違います。

でも綵菟も璃奈もEAです。



なんかオカルトに流れてる……。


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