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プロローグ 新人社員の心情

初投稿です。リアルが忙しいですが、できる限り書かせていただきます。

最初はまとめて投稿したいと思います。


フォルメリア王国とアルフェリオ帝国は数百年前から対立し続けている二大国である。

両国の対立関係は時が経過するごとに悪化していき、民たちは王国か帝国、どちらかが敗戦するまでこの戦争は続くのだろうと考えていた。事実、両国王もそう考え、勝利するのは自分たちだと信じてきた。


 剣で斬りあい、矢で射あい、魔法で討ち合い…戦争を繰り返しす両国の民はいつ戦争が終わるのか。もしやこの戦争の決着は永遠につかないのではないかと不安で押しつぶされそうだった。

 剣術も弓術も持たず魔導士でもない民は戦争の内容を『結果』でしか知ることができなかったからだ。

しかし、戦争はある日突然終わりを告げた。


世界中に謎の隕石が流星群となって降り注いだのである。


大量の隕石らは二大国に降り注ぎ、多大な被害をもたらした。

不足の緊急事態に兵力、財力を失った両国の王は停戦を提案し、友好を保つことを発表した。

当時の王たちが長く続く戦争を良しと思っていなかったこともあり、この協定は両国で決定された。

これに民は歓喜し、世界は平和となった。敵対しあっていた者は和解し、一つの国は新たにアルテマナ共和国と名前を変え支えあおうとした。

そして今日まで、その関係は続いている。


この隕石は後に科学者たちによって、流星魔晶(アルトメテオと名付けられ、世界を変えた大事件として記されることとなった。


しかし両国の民は知らなかった。アルトメテオがもたらしたのは被害と平和だけではない。

世界を再び変えてしまう驚異と、新たな戦争の火種となってしまう可能性を秘めていたことを。


そしてソレはそう遠くなかった。

火種の舞台は200年後、アルテマナ共和国…そしてとある何でも屋を中心に幕を開ける。



 ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆



アルテマナ共和国、王城から「ありがとうございます。すみません、こんなことまで頼んでしまって…」

「いえ!どんな依頼でも受け持つのがココの売りなんで、今後も何でも屋『ハンディオール』を御贔屓にお願いします!」

「ええ、またその時はお願いしますね~」

「………ふぅ」

 依頼人の女性が帰っていくのを見て疲れを吐き出した。

 僕の名前はダイチ・アスヤ。つい最近就職を決めたばかりの新人社員だ。

 僕が働くなんでも屋『ハンディオール』は中々に客層が広く、よく仕事が転がり込んでくるため「やりがいのある仕事」に就きたかった僕にはピッタリの就職先だった。

 …しかし、最近はその忙しさと大変さで体が悲鳴をあげそうだ。

 今日は朝から定食屋の人員不足の穴埋め、屋根の補強工事の手伝い、そしてついさっきまでは逃げ出したペットの捜索と…心身ともにもう限界である。


「あらダイチくん。お疲れ様、コーヒー沸いたけれど、如何かしら?」

「あ、いただきます」

 クララさんは書類整理や依頼管理など、事務所の雑用をこなしているうちの唯一の事務員さんだ。

 そして男くさいこの事務所の唯一の癒しでもある。

 砂糖いっぱいのコーヒーで喉を潤す僕に、部屋奥から声がかけられた。


「おうダイチ、お疲れさん。報酬はちゃんと受け取ったか?」

「社長、さすがに報酬を忘れたりしませんよ…確かに僕は新人ですけど、もう三日は働いてるんですから」

「うちでは一週間も持たなきゃ新人なんて安心できねーよ」

 この人が事務所の社長アグニ・テスタロッサさん。二十歳で会社を立ち上げて今まで経営してるすごい人だ。社員思いの僕の憧れの社長である。

 …ただまぁ、経験を積ませるためと言って僕によく仕事を割り当てるのは勘弁してほしいが。


「あれ、ゲイルさんたちは仕事ですか?僕が依頼に行く前はいましたけど…」

 いつも事務所にいない人を聞いて、社長はチッと舌うちをする。

「…ゲイルは「いつもの」だ。他の社員はそれぞれ丁度依頼に行ってる。ったくあのヤロー、暇さえあれば女漁りに行きやがって…仕事をしろ仕事を!」

「あ、あはは…ま、まぁそのうち帰ってきますよ」

 ちょうどその時、チャイムを鳴らして事務所の玄関が開く音がした。

 瞬間、社長は玄関の前に立っていた。慌てて振り返ると、先ほどまで座っていた椅子に社長の姿はない。超スピードとかそんなチャチなモノではない。

「いらっしゃいませ!なんでも屋『ハンディオール』にようこそ!ペットの捜索、材料の採取、喧嘩の仲裁、どんな依頼だろうと承ります。今日はどのような要件の依頼でしょう?」

「え?あ、あの」

「ああ申し訳ございません。さぁお上がりください御客様、おーいクララ御客様に御茶だ!ダイチ、依頼用紙持ってこい!」

「はーい」

 仕事モードに入った社長は早口で客を捲し立て、手を引いて客を招き入れた。

 客は何がなんだかというようで、オロオロと困りはてながら客用のソファに腰かけた。

「…クララさん、社長のアレなんとかなりません?毎回思うんですけどよく客逃げませんよね…」

「ならないと思うわぁ。それにうちの御客様はすぐに慣れるから、心配いらないわよ?」

「そういう問題ですかね?」

 やっぱりクララさんもどこかズレてるんじゃないかと思いつつ、僕は溜め息を吐いた。

 若店長、天然事務員、女好きの先輩その他もろもろ…


 僕、この事務所でやっていけるのかなぁ…





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