第2章
昼休み、僕は弁当を食べようと屋上へ向かった。いつもは教室で食べるが、今日は天気が良かったので久しぶりに外で食べることにした。
「あれー?南ちゃんどこ行くのー?」
後ろで聞き覚えのある声が聞こえた。振り返ってみると、その声の持ち主は同じクラスの椎葉とこちゃんだった。
茶色いボブへアに鼻の絆創膏がチャームポイント(らしい)。大きな瞳をしているが、それ以上に並みじゃない大きさの胸を持っている。僕の何倍あるだろうか・・・。
「屋上で弁当を食べようと思って」
「そっかー!!今日天気良いもんね!とこは今から秋兎くんとお弁当食べるんだよ!じゃあね!」
何がしたかったのかよくわからないが、とこちゃんは足早に駆けていった。
実に素直で、何とも憎めないすごくいい子だった。だか、彼女を敵にまわすと大変なことになるのを僕は知っている・・・。
秋兎くんというのは、3年生のとこちゃん彼氏だ。本当に付き合っているのか、不安になるほど冷たい人だがとこちゃん曰くツンデレらしい。前に、「南ちゃんと一緒だね!」と言われたときは蹴り飛ばしそうになった。
気がつくと、昼休みはもう残り20分しかなかった。仕方がない。今日はもう教室で食べよう。
とてつもなく無駄な時間を過ごした気がした。
その日の放課後、今日僕はアズマさんと(なぜか西も)カラオケに行く約束をしていた。待ち合わせ場所の校門へ行くと、アズマさん達はまだ来ていなかった。
すると、すぐ横を誰かが通った。それは、昼休みに会ったとこちゃんと彼氏の秋兎さんだった。相変わらず、よくわからない二人だ。
そして、二人の少し離れた後ろをこそこそとつけている人がいた。茶色いくせ毛の男性だ。身長的に3年生だろう。
僕が不思議そうに見ていると、向こうも気づき、こっちを見て、
「・・・何見てんだよ。」
「え!!?あっ見てませーん!!」
そう言って僕は、両手で眼を塞いだ。
やってしまった。完全にケンカを売るような言い方をしてしまった。
「何だお前、あやしいな。」
「いや、あなたの方がよっぽどあやしいですよね!?」
・・・またやってしまった。この人がツッこませるから。
だか、彼から返ってきたのは意外な言葉だった。
「あやしいか!?俺、あやしいのか!?」
いやいや、どう見てもあやしいじゃないですか。明らかに後つけてたじゃないですか。
「めちゃくちゃあやしいんですけど。ていうか何してたんですか?」
「あっ!!しまった!!秋兎を見失ってしまった!!・・・ふんっ、俺は秋兎を守ってるんだ。」
「ストーカー?」
「違う!!」
えぇー…。今、完全にストーキングしてたじゃん…。
ていうか、つけてたのはとこちゃんじゃなくて秋兎さんの方だったのか。てっきりとこちゃんのことが好きなのかと。
「秋兎って3年の秋兎さんですよね。」
「知ってるのか」
「彼女さんと友達なので。」
「なにっっ!?あの小娘…味方までつけて…!!」
「えーと…結局あなたはなんなんですか?」
「俺は秋兎の幼馴染みであり、親友であり、愛人だ。」
「あー、そうですか…愛人!!?」
思わず聞き逃しそうになったが、この人は今愛人といった。ていうか(自称)愛人って…
「でも同性ですよね?」
「だから何だ。」
「ホモ?」
「黙ってろ」
さすがに怒られてしまった。でもそうじゃん…。
「俺は幼稚園から秋兎と一緒だった。だが中3のときに突然とこが秋兎の隣の家に引っ越してきて秋兎をかっさらっていきやがった。」
あぁー、なるほど。そういう…さすがとこちゃん、恐ろしい人だ。
そこに、ちょうど待っていたアズマさんと西が来た。
「南ちゃん、遅くなって悪い…って誰だそいつ」
「あっ!名前!!」
「3年、北見北だ。」
北見北…なんとも覚えやすい名前…。
その後、僕たちも自己紹介をすませ、僕はアズマさんに今の状況を説明した。
「なんだ、ただのストーカーじゃないか。」
「だから違うっつってんだろ。あと俺一応先輩だぞ。」
「あぁ、悪いな。」
何だかんだで仲良くなった僕たちは、何だかいい感じの雰囲気になっていたが、僕は大事なことを思い出した。
「そういえばアズマさん、カラオケは?」
「あぁ、忘れてた。行くか。そうだ、北、お前も来るか?」
さっき知り合ったばかりの人をいきなりカラオケに誘うなんて、アズマさん凄すぎる!!でもそんな、カラオケについてくる人なんて、
「ふんっしょうがないな。行ってやる。」
行くんだ…。今更だが、そうとう変な人だ。
そんなこんなで、僕たちは四人でカラオケに行くことになった。
「あっ次の曲、僕だよ!ふふっ歌います!「アズマちゃんのうた。」」
「はぁ!?ふざけんな西。マイクよこせ。」
「いやだよぉ!ほっくんさっきも歌ったじゃん!!」
カラオケに来た僕たちはわりと楽しい時間を過ごしていた。
西が「北くん」を「ほっくん」と噛んだことがきっかけで、僕たちは北くんをほっくんと呼ぶことにした。
「もう!ほっくん離してよー!!あっ!ららららーらーららららーらーアズマちゃんのうたー♪」
西が「アズマちゃんのうた。」なんていう謎のクソ曲を歌い始めた。だが、僕は衝撃的なことに気がついてしまった。
「え!?西、歌声めっちゃきれいじゃん!!」
なんと、西の歌声は合唱団のような美しい歌声をしていた。西のくせに。だかが、きれいなんだが、確かに美しいんだが、合唱でいうと、おそらくソプラノだろう。紛れもなく女子パートだ。ちなみに僕はアルトしかしたことがない。
「どうかな、アズマちゃん!君の心に届いたかな!?二番はもっとがんばって…」
「つまらん」
「ちょ、ちょっと!演奏停止しないで!!」
なすすべなく停止された「アズマちゃんのうた。」確かにつまらん。
「おい西、牛乳とってこい」
またもやドリンクバーを取りに行かせるアズマさん。
「あ!にっしー、オレンジジュースとってきてくれなーい?」
「紅茶。」
次々と注文を追加する僕とほっくん。「わかったよぉぉ…」なんて呟きながら部屋を出ていく西。すると、「アズマちゃんのうた。」が終わり、次の曲が流れ出した。その曲は、聞いたことのある、というか、日本人なら誰でも知っている…。
「あ、「君が代」アタシだ。」
「アズマさん、「君が代」歌うんですか!?えっ!?渋っ!!!」
どんな歌を歌うのか気になっていたが、まさか「君が代」とは。
「君ーがー代ーはー、♪」
でも「君が代」を歌うアズマさんもいいかも…。それにしてもアズマさんは西に比べると声が低く、おそらくテノールかと…。
あっという間に終わった「君が代」は、すぐに次の曲に変わった。だか、その曲は、この中の誰かが歌うような曲とは思えなかった。
「あれー?次の曲、誰ですか?」
「俺だ。秋兎…聞こえてるか…。秋兎に捧ぐ、「粉雪」」
ほっくん…。「粉雪」って。しかも秋兎さんに捧ぐって…。でも今頃あの人はとこちゃんと一緒に帰っているんだろう。聞こえてないだろうな。可哀想に。
―コンコン。
誰かが部屋のドアを叩いた。
「失礼しまぁーす!フライドポテトお持ちしましたぁ!って…ん?アズマやないか!」
「え?あぁ、大阪。」
カラオケのエプロンをして入ってきたのは茶色いショートヘアーの大阪と呼ばれた少女だった。
「大阪?アズマさんの知り合いですか?」
「アタシの友達。」
「初めましてぇー!うち、2年の金太郎いいますねん、みんなからは大阪呼ばれてんねやーこんな名前やけどもちろん女やで!!」
金太郎さん(?)という人は100%大阪弁で、明るくいい人そうだった。
「うちのことは大阪て呼んでなー」
大阪さんは、付け加えて「金ちゃんでもええんやでー」と言い、笑いながら持ってきたフライドポテトを食べた。いや、それ僕たちのだし。
「ところで大阪、またバイト?」
「せやで!ほんま大変やぁ~ってそろそろ行かな!!そんじゃなー、また注文してやー!」
そう言って大阪さんはいそいで部屋から出ていった。歌い終えたほっくんは、もうフライドポテトにてを出していた。
入れ替わりに、飲み物を取りに行った西がひぃひぃ言いながら帰ってきた。
「もってきたよぉー」
「牛乳は?」
「ドリンクバーにはなくて…」
「買ってこい。」
「はい。」
また出ていく西。だが、僕とほっくんの飲み物はちゃんと置いてあった。さすが、仕事が早い。
すると、アズマさんが
「南ちゃん、次の曲、アタシが南ちゃんのためにいれといたから。」
「えっ!?アズマさんが!?」
なんてことだ!アズマさんが僕のために入れてくれるなんて!!何を入れてくれたんだろう…。わくわくしながら待っていると、流れてきたのは、
―ウルトラソウル
・・・
アズマさん…僕のこと何だと思ってるの…よりによってウルトラソウルって!
「南ちゃん…!!」
さぁ歌って!!と言わんばかりの目で見ないでくれ…僕にこれを歌えと!?でも…!!
「~~っ!!秦野南、歌います!」
「さすが南ちゃん!!」
そう言ってマイクを握りしめた僕は、大きく息を吸い込んだ。
この日のことは、僕の一生の黒歴史になることは間違いなかった。
第2章!!
ここまでくると、少しずつストーリーが…全く見えてこないですね、はい。
ジャンルに学園とかいってるくせに寄り道してるだけじゃねぇかよ!っていうみなさん、これから学園要素たっぷりでお送りしますよ!
生徒会に先生など、学園内での出来事もじゃんじゃん出てきます!
今回は新キャラが非常に多く、新キャラ紹介でもしたいところですが、それはまた別のところで・・・
ちなみにとこちゃんはこれからもぐいぐいきます。
今回は編集長もびっくりのハイスピード投稿!!そして長い!!
自分ってやればできる子。
今日もうちの編集長は通常運転!セキュリティ万全!!
実にどうでもいいですね(ニッコリ
次回は、本編を進めろ。と言う編集長を無視して番外編をお送りします!!
南ちゃんからは少し離れて別の人のお話です。
それではまた次回!




