食中毒
深い溝の入り口から大きな道が伸びている。
冬にもかかわらず緑を生やした街路樹にはイルミネーションがからみついていた。
彼らは、夜中になっても光合成をしなければならないのか。
呼吸だけをさせてはもらえないのだろうか。
もうお腹いっぱいだろうに。
人間は食べなければならない。
食べなければ、人間は死んでしまう。
らしい。
私は食べたくない。
食べれば食べるほど、身体に毒が入ってくるような気がして、吐き出したくなる。
けれど、毒は美味しい。毒と、それに毒された本能が、私を食事へ駆り立てる。
さっき食べたファストフードの甘さ、塩辛さ、脂っこさ、そして毒々しさが私の頭の中でちかちか光り、偽りの満足感を生み出す。
また私は取り憑かれたようにあの店に行き、塩と油の固まりを貪り食うだろう。
私は口を押えて人気のない方へと走り出した。
拝読ありがとうございました。これも詩のつもりで書こうとしたんですけど、ついに詩から完全に離れたのでエッセイということにしました。