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逆章
ここはどこ?
「・・・お前。どこから入りこんだ」
「え?」
周囲を黒い壁に囲まれた広い部屋。
光が無いというのに、何故かそれがわかった。
そして大きな溜息をつかれたことも。
「世界の迷い人か。何もこのようなところに現れずとも」
「・・・誰?」
ちっとも怖いなんて思わなかった。だから誰なんだろうと不思議に思った。
「私は小林沙耶」
「・・・コバーシサーラ」
「・・・それ誰」
「お前の名だろう?」
「違うっ!小林、沙耶!こ・ば・や・し・さ・や!」
「サラ」
「・・・・・・・」
かくり、と少女の首が傾いた。
「で、あなた誰?」
「俺か?聞いたら後悔すると思うがな」
「はあ?」
聞いたら後悔する名前なんて聞いたことも無い。
「で、誰?」
「魔王だ」
「まおう、さん?」
何だか女性のような名前だ。
「・・・・・・・・仕返しか?」
「はあ?」
少女の眉が不審げに顰められた。
そんな私と魔王の出会いでした。