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登場人物や、施設名などは、フィクションであり、実在しません。仮に、実在したとしても、なんら関係性はありません。

少しずつ、連載していきます。感想など、是非お寄せ下さい。

夏休みが明けた二学期のはじめ、僕は恋をした。


朝のホームルームの時間、皆がチャイムに諭され、着席した直後に、担任の先生が、一人見慣れない女子を連れてきた。


「夏休みも終わり、高校2年の君たちは、来年の受験に備え、又部活動においても気を引き締めなくてはならない時期になってきました。私は、今このときこそ、人生のターニングポイントだと思います。」

 そう言うと先生は、隣に立たせた女子を紹介し始めた。


「そして、今日から、君たちと同じクラスで、一緒に勉強する女性が一人仲間になることになりました。名前は・・・。」

 そう言い放つと、後ろを向き先生は、黒板に文字を書いていく。そう、その女子の名前だ。


(赤木紗耶香)。


「「あかぎさやか」さんです。こちらへ先月の終わりに引っ越してきました。この土地に初めてこられたようなので、君たちも仲良く、そして親切にするように。」

 教師の転校生を紹介するのは、マニュアル化しているのだろうか?そう思うくらい、僕の17年という短い人生経験の中でも、小学校、中学校通じて何度か、同じような台詞を聞いたことがある。


「じゃあ、赤木さん。何か一言いいですか?」


「・・・・皆さん、よろしく。」

 赤木紗耶香という女子は、先生に諭され、ただ一言だけ、声を出した。僕は聞こえたが、どうやら後ろの席の連中にはかすかにしか聞こえなかったみたいで、少しガヤついた。


「赤城さん。窓際の一番後ろの席に着席してください。」

 赤木紗耶香は、そういわれると、ピンと背中に針金が入っているかのような姿勢のまま、席へ向かって歩き始めた。僕は、そんな彼女の姿を目で追った。


 こんなことも言うのは、どうかしているが、赤木紗耶香は、可愛いというよりとても綺麗だ。身長は170センチに少し及ばないくらいだが、モデルと言っても過言ではないくらい、細身で、肌の色は、この猛暑の夏の中にあって、色白の部類に入る。髪型は、腰と肩のちょうど中間くらいのロングヘアーで少し色は赤みを帯びている。


「よろしく~。」

 小声で、席に座った赤木紗耶香に、隣の佐々木美栄よしえは、声をかけた。

しかし、当の赤木紗耶香は、軽く会釈をしたに過ぎず、転校初日の緊張なのかどこか暗い表情を浮かべていた。


「こら!工藤!!さっきからジロジロと赤木さんばかり見て、私の話は、まだ終わってませんよ。」

 工藤は、僕。フルネームは、「工藤誠一」。僕の席は、教壇のまん前の席で、さっきから赤木紗耶香を観察していたのが、先生にはバレバレだった。


「すみません。」

 僕が、先生に謝る姿をみた、クラスの連中は、どっと笑った。皆が皆、僕に向かって、冗談っぽく罵るような声を浴びせてきたが、その中で、やはり彼女、赤木紗耶香だけは、ひとり窓の外にある青く澄み切った空を眺めていた。

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