トドメなく/衛生の衛兵
【トドメなく】
優しい私は
弱い私で
何をも断れない形だった。
救い求めていたそれは
単に色が褪せていた。
優しい私は
考えが及ばず
ただただ見ていられなくて
安全なところから
さらに安全を確認して
分けてあげた。
色が灯ったように見えた。
いいことをした。
それがトドメだった。
✖︎✖︎✖︎
夜に弾かれて
寝ぼけ眼で捉えた
毛布の影がそれになる。
カラカラの目で
私を捉えたまま踊り出す。
ああ
優しかった私は
どこへ行った?
自己保身,怯える私に
居ても立っても居られなくなって
くれた。
私にくれた。
【衛生の衛兵】
娯楽ドラッグにトリップ中の
享楽店主の興を醒ます
冷めたいドリップ液は
温めていた料理を台無しにした。
とうてい人に出せるものではない。
シンバル。常夜灯下の看板が点滅。
何をする気力も起きなくなって。
廃棄するべき腐り果てた料理を
自傷の免罪符で細工して読者に提供。
開店44日目。
レビューはついていないみたいだが,
うわさになっているぜ?
今晩には元文豪の弁護士が
衛生管理の衛兵引き連れて
お前を詰問するってさ。
ああ,押収されていく。
店を畳む頃合いかもしれないね。
そうじゃない。
そこじゃない。
ここんとこを片付けてくれ。