完璧な星
みんな動けない石ころ。
みんな歌が大好き!
でもテレパシーでしか会話できない。
けどけど。
みんなが50音の中,べつべつの一音だけ
音として発することができる。
だからみんな一緒になって歌を歌う。
都合のいいことに。
この星には50個体しかいないから。
誰もあぶれない。
みんなみんな必要なのです。
正確には神様が,
50個体ずつ分けているのだが,
動けないからそれを知ることもない。
自らが下等だということもわからない。
足らないことを知らない世界で,
自分の置かれた場所から聴こえる,見えるものを,仲間と共有して,想像して,
楽しくなって,歌う世界。
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はるか未来。
歌う石を一目見ようと
宇宙旅行に来た1人の地球人。
宇宙旅行が夢なんて昔のはなし。
我々は超高等生物である。
宇宙の果てまでを調査し尽くし,片道170円でどこへだって行けるのだ。
さらに、すごい超高等な科学的なあれで不可視,無気配、環境適応スーツを誰しもが持っており,危険なく星の探索ができるのだ。
しかし、せっかくの日曜日に片道3時間もかけてくるような星ではなかった。
なんてことのない、下等な生物であった。
我々は超高等生物である。
今や誰しもが宇宙統一言語、5万音を駆使して会話をしているのだ。それがこの星では50音。
陳腐な表現。もはや歌でもなんでもない。
不協和音。ごみ。
耳が腐った。
まるで自分のようで陰鬱な気持ちになった。
先日、地球でリストラに遭い、愛すべき妻子とも縁を切られ、明日からは単身、トテモブラック星という星で働くことになるのだ。
呻くだけで何の役にも立たない。
誰からも必要とされない。
不幸、、。
「×××××××××××××××××××××.........」
(もっと楽しい星にくればよかった)
一言そうつぶやくと、地球人は
トテモブラック星に向かうのでした。
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「あ」、「あ」
「な」、「ん」、「て」
「う」、「れ」、「し」、「い」
「た」、「の」、「し」、「い」
「せ」、「か」、「い」
「せ」、「か」、「い」