別にギャルサーのOGではない
ホールと、テーブル席のある隣の建物とは壁が抜かれて柱だけになっている。通された奥の部屋には仕切りがあり、仕切りの薄い壁には人の顔くらいの大きさにくりぬかれた蝶の形の穴が開いていた。さらに中には階段があり2階の部屋につながっている。あとで確認したのだけど、2階は大きいソファのほかにベッドもあって完全にヤリ部屋としてデザインされていた。4組くらいはセックスできるようになっている。ちゃんと掃除されていて、変な臭いはしなかった。30人が1階に全員収まるには無理があったけど、2階も使うと余裕があった。あと20人は座れる。最初は階段にも生徒が座って集合し、1階のリーダーみたいな女の子の挨拶を聞いた。通用門でも一度挨拶したので今回は簡単なものだ。急な声かけに集まってくれてありがとう。本日のスペシャルゲストの私に感謝。それではみんな楽しみましょー。という流れ。
みんなでいえーと声を上げて乾杯した。飲み物はウエイターが運んできてくれていた。
私は真ん中のお誕生日席のようなソファーに座らされている。隣にメイドが座っている。密着して胸を押し当てているので、従者というよりも囲っている愛人みたいだ。私の反対側には女生徒の1人が座っていて、メイドと同様に私にくっついて体を絡ませていた。
普段はもっと悪い男がここでふんぞり返っているんだろうなあ。
誤解のないように言っておくが、防犯装置と追跡装置が充実しているのでレシレカシの治安は異常によいのが特徴で、怖い事件の話を聞くことは滅多にない。悪い男といっても闇社会の人間とかそういう意味ではない。念の為。
私が座ったお誕生日席の正面にもソファがあり、そこに女生徒が3人座っていた。もちろんその真ん中が今回のリーダーの女生徒で、昼食会にいた人物である。知らなかったがこの状況を見る限りなかなかのやり手のようだ。華のある肩を出した真っ赤な服を着て、私と同じスパークリングワインを飲みつつ、周囲に声をかけている。全員が彼女に声をかけられて呼んでくれてありがとうと礼を述べていた。
それはそうと助手のキューリュの姿はまったく見えない。まだ来てないのかなと思っていたら、囲んでいる壁の蝶の形の穴の向こうに、その姿が見えた。ジャケットにパンツスタイルで、男装風の格好をしていた。といってもジャケットの下のブラウスは胸元とお腹が大胆にカットされているし、スラックス形状のパンツもシースルーの模様が入っていて中の脚がいい感じに透けて見えている。VIPルーム内に入ってくると女生徒がわあと声を上げるくらいにセクシーにキマっていた。
近づいてきた彼女に私は自分のグラスを掲げた。「おつかれ。最高に似合ってるじゃん」
「すいません。遅れてしまって。服に悩みまして、結局、その」私の横でしだれかかっているメイドを見て、「手伝ってもらいました」
「いいね!」
周囲の生徒もうんうんと激しく頷いた。
向かいのソファの端に座っていた生徒が譲ろうと立ち上がろうとしたのを彼女は制した。「いや、大丈夫。私は冷やかしに来ただけだから。隅っこで見てるよ」そう言うと本当に私から離れて部屋の隅の方へと行ってしまった。
「先輩の研究室の助手の方ですよね?」向かいの生徒が言った。「一瞬、誰だか分かりませんでした」
「私もびっくりした」ニヤニヤしてしまう。あとでからかおうと思ったが、本人も落ち着いてない様子なのでからかうと気の毒な気もした。
さて、夜は始まったばかりだ。私は自分のスパークリングワインを飲んで、周囲の様子を見た。




