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魔法使いザラッラ  作者: 浅賀ソルト
“評価不定”の2つの自立
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近況報告

 使用人がやって来て部屋の準備ができましたと告げた。私とネゾネズユターダ君、そして連れてきた2人の子供だけで移動した。通された部屋には親戚一同がいた。

 兄2人にはそれぞれ妻がいて、同席していた。弟と妹も結婚してておかしくない年だがまだ伴侶はいなかった。

 いつものように挨拶をした。ネゾネズユターダ君を紹介したが、無視するところも相変わらずだった。

「相変わらず下品な目ねえ」母は薄紫の私の目を見て型通りの皮肉を言った。

 いい加減黙らせたいが部屋の魔法妨害は上質で、破るのに時間がかかりそうだった。私とネゾネズユターダ君の特質をよく研究している。ギュキヒスの宮廷魔法使いもなかなか優秀なようだ。

「相変わらず下品な口ですね」私は言った。「お父様は健在ですか?」

 兄が吐き捨てるように言った。「まだ生きてるよ」

「ネゾネズユターダ君の実家への挨拶では、協力いただきありがとうございました。無事にみんな帰れましたか?」

 兄のピワデレベシュは、「まあ、何人かは帰れたよ」と言った。「本当にろくでもない土地だな」

 ネゾネズユターダ君は口を開いた。「それは侮辱と受け取っていいんですか?」

「侮辱? 護衛の隊が賊に襲われるのはまともな土地か?」

「あなたの国には賊がいないんですか? それは素晴らしいですねえ」

「ぷっ」私は吹き出してしまった。「へいへいへい。そこまでにしておけ。護衛の礼はしてるんだぜ」

「一族も護衛を出し、あなたたちと一緒に旅をしましたよ。忘れないで欲しいですね」

「いままではおとなしかったのに、今日はずいぶん強気じゃないか」

 兄がはははと笑うと、もう1人の兄やその妻たちもはははと笑った。別に面白くはない。駄目だこりゃ。表面的にだけでも社交的なことを期待したのに、最初から投げてる。下品な皮肉の応酬が始まってしまった。

 とはいえネゾネズユターダ君が反発するのは確かに珍しい。地元を馬鹿にされたからだろうか。

 兄がネゾネズユターダ君から私に視線を戻した。探るような、感じの悪い目線だった。「お前も勘違いして強気になったのか?」

「なんのことです? 私が何かしましたか?」口調は丁寧だけど私も態度はよくなかった。ま、いまさらだけどさ。

 もう1人の兄が言った。「あの門前払いのドラゴンを倒したって聞いたぞ。本当か?」

「あ、いや。まあ。たまたまです。向こうが体調悪かったので……。彼の協力もありました」私はネゾネズユターダ君をちらっと見た。兄の方はそれを追ってちょっと彼を見ただけですぐに視線を戻した。

 門前払いのドラゴンというのはキリュ゠チャ゠リヘツイブン゠テゾツ゠ノーニューヒャーのことで合っているんだけど、別に彼女が取り付く島がないという二つ名ではない。故事成語である。英雄が母の墓参りに来たのにその人気に嫉妬した兄が門前払いをしたという有名な出来事があり、当時、その霊廟れいびょうにキリュ゠チャが住んでたのである。念の為の解説。

「体調が悪いと倒せるものなの?」どっちかの兄の妻が笑った。「すごいことではなくて?」

「おかげでこっちの評判も上がったよ」長兄が言った。これは本心から嬉しそうだ。「で、調子に乗ったというわけだ」

「いや、まったく、繰り返しますがまったく身に覚えのないことで」なんだこのやりとり。「ヂゲリュツ城のことを言ってますか? でしたらあそこはまだ門前払いのドラゴンの住処すみかになってます」

「同居してるって聞いたぞ。それに魔法使いは神出鬼没だって話じゃないか」

 あー、感覚が麻痺してたけど、噂話だとそういう感じになるよなー。


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