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魔法使いザラッラ  作者: 浅賀ソルト
“評価不定”の2つの自立
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彼氏の帰りを待つ

 ついでにブユ族やこの地方のファッション関係の話も色々した。そのうち子供たちがはやく海に行こーよと言い出した。私は色が変わるピンクの水着を着たまま店を出ることにした。

「それじゃあまたね」

「またね。会えてよかったよ」店員は明るく手を振った。

 しばらく歩くと砂浜に出た。小さい入江になっていた。海岸にはそこそこの客がいた。メイドや衛兵を引き連れた私たち一行はなかなかに目立っていて、客が二度見していた。

 子供たちはどんどん海に入っていく。子供って嬉しいときに本当に声に出して「わーい」って言う。私はそっちの面倒はメイドたちに任せようとしたが、「お母さん、来てー」と呼ばれたので私も付き合って海に入った。

 なんとなく察してはもらえていると思うけど、私は泳げない。これまでの人生で泳ぐ機会がなかった。泳げるものなら泳ぎたいと思っているのでこの機会に練習しようと思っていた。

 とりあえず子供に誘われて足だけ濡らしてバシャバシャと遊んだ。ここの海は隣の港より格段に綺麗だ。慎重に奥まで進む。波がうねうねと体を揺らした。足の下の砂が変な感触だ。腰まで進むとちょっと怖い。そして海の水は思ったよりしょっぱい。

「お嬢様。危ないです。ちゃんと泳ぎを練習しましょう」

 ここより深くなると怖いなと思ったときに声をかけられた。メイドがいつの間にか下着のような水着姿で近くに来ていた。

「え? いつの間に」

「さあ、手をこちらに」

 私は伸ばされた手を掴んだ。ぐっと引かれてまた腰の下の水深まで戻った。「泳げるの?」

「もちろんです」

 メイドの裸もベッドで見慣れているけど、南の海岸で見るとまた違ったよさがあった。

 そこからは子供たちと一緒に真面目に水泳の練習をして、ヘトヘトになるまで泳いだ。水泳ってあっという間に疲れる。海の水があったかいのはありがたかった。その日のうちに泳げるようになったと言いたいところだけどそれは無理で、まあ、溺れない程度にまでは上達した。子供の上達は早かったけど、私が泳げるようになるにはもうちょっとかかりそうだ。あとは戻ってきたネゾネズユターダ君に習ってもいいかもしれない。

 ナンパの男もいたのかもしれないけど、最初の海水浴では護衛と水泳練習のせいでからむ機会がなかった。

 泳ぎは無理でも仰向けに浮かんでいることはできるようになったし、その状態で浮いてるのは悪くなかった。

「あー、海、いいな」顔に当たる日の光を感じるとしみじみ思った。


 ネゾネズユターダ君がドラゴンの偵察に行ってしまったので夜はメイドと連日過ごすことになった。

 その夜は私が10歳の頃から一緒にいる馴染みのメイドではなくて、子供ができてから雇った新人のメイドが相手だった。彼氏もいるし、別に私のことが好きというわけではないと思ったのだけど、半年くらい前からセックスの相手も希望してきた子だった。

 私より年下の子だけど彼女に甘えていると、彼女は、「お嬢様は男の人が好きなんですよね」と言ってきた。

「そんなことないわ。あなたの事が大好きよ」私は彼女に抱き付いて胸に顔を埋めながら言った。私の方が背が高いので足の先が余っていた。

 私は無毛派なので彼女にもムダ毛処理の魔法はかけていた。あとみんな喜ぶので『肌をすべすべにしてシミとシワを取る魔法』はメイド全員にサービスしていた。そんなわけで抱き付いたときの感触が気持ちよかった。

「けど、私たちと彼氏とでは態度が違うじゃないですか」彼女は甘やかすように私の背中に手を這わせた。

「あなたの事が大好きよ」私は乳房にキスをして、乳首を噛んだ。彼女が反応したのでもう一度強く噛んだ。「あなたなしでは生きていけないわ。ほんとよ。いつまでも側にいてね」

「もー」彼女は笑うと体勢を変えて私をベッドに押し倒した。上になると私の両手を押さえて顔を近づけた。「本当にずるい」そう言って彼女はキスをしてきた。

 新人だけど彼女は私の扱いがうまかった。相性がよかった。

 そんな風にして数日が経ち、ネゾネズユターダ君が帰ってきた。


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