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「送ってくれてありがとう」


「いえいえ、これが私たちに与えられた仕事ですので」


僕が感謝を述べると可愛らしい天使は淡々とこたえた。見た目は一見すると子供のように見えるがサラッとした長い金髪に控えめな胸、そして天使らしい白くふわふわとした羽。完璧な美少女と言わざるを得ない。


「では、ご健闘をお祈りしております」


彼女はそう言い残して天へと飛びさっていった。俺はそれを手を振って見送るとくるりと回って島の方を見る。


「まさか僕みたいな異端にこんなものが届くなんてね」


僕をそうポツリとつぶやくと手に持っている招待状を見た。




ー数日前ー

「こんにちは、でよろしかったでしょうか?私もこんな辺境の地へくるのは初めてのことですので御無礼がありましたら申し訳ございません」


ある日辺境の島で暮らしている俺の元へ1人の天使が舞い降りた。


「僕に客人だなんて珍しいですね。もうこの世界に僕の存在を覚えている方がいるなんね思ってすらいなかった」


僕は決して相手のことを見ることなくただひたすら目の前の焚き火を眺めていた。


「私は天界から神からの手紙を届けるためにやって参りましたシャムシエルと申します」


丁寧に挨拶をしてくれる天使に少しは話を聞いてもいいかなという気持ちにされた。


「要件を聞いても?」


「率直に申しますと神からの招待状です」


「こんな異端を誘ってくるとは神も不思議な方ですね」


僕は自分の手のひらを眺めて天使にそう返す。


「そうですね、あなたはとても珍しい血筋だということは存じております」


「それで、なんの招待なんですか?まさかお茶会とかそんなくだらないことは言わないですよね」


少し冗談交じりに笑いながら言っても、天使の彼女は少しも笑ってくれなかった。悲しいなぁ


「簡単に言えば殺し合いです。自分の種族をかけて最後に勝ち残ったものは1000年間この世界を支配できる、つまり王になれる権利が貰えるというものです」


「僕は人と妖怪どちらに分類されるんだい?」


僕の体は赤子の時に人ではなくなった。勇者を作るための犠牲になったからだ。


「そうですね。人と呼ぶにはあなたはすごく異端すぎるのですよ。なんせ生まれてすぐに数多の妖怪と錬金されたその体に外見以外に人と呼べるものが少なすぎる」


「それは僕自身がよくわかっているよ。勇者なんて程遠い化け物なんだからね」


「私もびっくりです。1000年ほど前から生きていると聞いていたのでどれほどご高齢な見た目の方かと思ったらこんな美少年で顔の整った方とは驚きでした」


「まぁ、人じゃないからね」


ハハッ笑いながら言って僕は火から鍋を下ろす。


「天使の君も食べるかい?米というものだったかなたしか。もうここに生きているのは僕だけだから確かめようがないけれど」


「結構です。それと神からもう1つ伝言を頼まれていました」


冷たい視線で俺への興味の無さをアピールしてくる天使に僕は彼女から笑いをとることをあきらめた。


「まだ伝言があるとは神も人使い、天使遣いが荒いですね」


「まぁ、神は絶対ですから。神からの伝言を伝えますね『人間代表は勇者だ』との事です」


「その招待、受けることにしよう」


「勇者、皮肉なものですねあなたも勇者だったのかもしれないのですから」


「まぁ、俺の体をこんなにした人のことは許せないしいい機会だと思うからな人の時代は終わりだ」


僕はニヤリと笑って鍋の中の米を口にかきこんだ。


「アッツ」


「それでは参りましょうか」


「心配はしてくれないんだね」


もう反応の薄さに僕悲しくなっちゃうよ。久しぶりに話の通じそうな人だったのに


「心配することは私の仕事ではないですからではこちらの方舟で向かいます」


そう言って目の前に現れたのはとても立派な木製の方舟だった。


「神が今回のバトルロワイヤルのために新たに島をお作りになられたのでそこで皆様で殺し合いをしてもらいます」


「神って何でもありだな、面白いからいいんだけど」


方舟は動き出し島へと走り出した。




ー現在ー

「それじゃあ、僕の世界を作りにいきますか」


「エントリー確認しました。ようこそキングバトルロワイヤルの会場へ!キングの座をかけたゲームを開始します」


目の前にピンク髪の天使が現れると俺にそう告げた。


「上等だよ」


僕はニヤリと笑った。

今日の月は満月で綺麗だ。

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