084.東の果ての国
陽が天頂を超えた昼下がり。
キチジュ王国王都シン・エドの王城の屋上、警ら任務を負っていた一人の王国兵が、上空を旋回する奇妙な影を認めたのは偶然だった。
一見すれば竜のようでもあり、鳥のようにも見えるそれを目撃して、あれは何事か、と騒ぎになった。
騒ぎを聞きつけてその姿を認めたキチジュ王国政府外相ヨキ・センザンが駆けつけて
「あれは然るべきお方が乗っておられる。裏庭まで誘導せよ」
と申し付けると、三十名程の儀礼兵が赤い絨毯が敷かれた裏庭へと整列した。
奇妙な影が降下してくるにつけ、その大きさに圧倒されて警備兵が自然と警戒の眼差しになるのは致し方のないことだろう。
何しろ空を飛ぶ人工物など初めて見るのだ。
一体どういう仕組みなのか、と好奇心も交えてそれをじっと見守るのだった。
短く刈り揃えられた芝生に風崔竜飛空艇が大きな翼を羽ばたかせながら着陸すると、儀礼兵が最敬礼の姿勢を取って、飛空艇の主が姿を現すのを待ち構えた。
「お騒がせします。ゼトラ・ユングスタインと申します」
「ようこそ、ゼトラ殿。お待ちしておりました」
センザン外相が自己紹介をして飛空艇から先頭きって降りてきた少年に握手を求める。
ゼトラはニコリと笑って応じると、儀礼兵たちに一礼した。
「長旅ご苦労様でした。アルムシタッドは今朝ほど出立なさったので?」
「ええ。朝ごはんを食べてすぐに」
「いやはやそれでも数時間程度ですか。恐るべき速さです」
「いえ……実際の時差を考慮するともう少しかかっています」
「なるほど、確かにそうですな」
薄い髪をなでつけ、深いシワの入った口を大きく開いたセンザン外相はアハハと笑うと「さあどうぞ」と先頭にたって城内へと案内したのだった。
所変われば景色も変わり、人も、建物の様式も随分と様変わりする。
ゼトラがこれまで訪れた国の中では、キチジュ王国のそれは最も特異であった。
石積みの床以外は和紙で拵えた襖で部屋で仕切り、ほぼ木造。人々が身にまとうは前開きの服。
「可愛い、あの服」
フィオリーナが興味津々で、侍女と思しき朱色に鳥の柄が入ったの着物姿を見て目を輝かせた。
足音も立てず湯呑と茶菓子を添えてテーブルに置くと、一礼してまた静々と退席する後ろ姿を見送った。
「観光においでになる方向けに、我が国の文化を楽しんでいただこうとあのような服を貸している店舗もございます。もしお時間があるなら利用なさってみては如何でしょう」
「ほんとにっ!?」
キラッキラに目を輝かせてフィオリーナが身体を弾ませる。
ゼトラも興味を覚えたようで、フィオリーナに喜んでもらいたいと思ったのだろう。
「それは是非」
微笑んで頷くのだった。
マーカス、メルキュール、フィオリーナ、アイビス、そして風崔竜ことカーリーを順番に紹介したが、センザン外相に一番興味を持たれたのはカーリーのようである。
「ふむ……そちらが七竜の……」
その問いかけに無言で頷き、穏やかな笑みを浮かべる女性が七竜の核体と説明されてもピンとこないのだろう。
センザン外相は首を傾げるばかりである。
「『極めて深刻な脅威』のことはご存知ですか?」
「……ええ。ギュスターヴ国王よりお伺いして、急遽封印石なるものも捜索しておりますが……。しかしにわかには信じがたいですね。人類滅亡の危機とは……」
人類全体の問題だ。危機が迫っている、と言われても、その実感は薄いのだろう。
困惑したように肩をすくめるセンザン外相。
ゼトラは真剣な表情で、カーリーに顔を向けた。
「ではこちらの映像を御覧ください」
カーリーが微かに頷くと、中空に映像モニターを映し出した。
それはアムスト大陸のはるか南で突如として発生した『極めて深刻な脅威』と水蒙竜の死闘の映像だった。
水蒙竜の初撃で八割以上を消滅させたものの、残りの尖兵級がゼトラと水蒙竜に襲いかかる。
大写しになった、無機質で不気味な尖兵級の姿はセンザン外相を恐れおののかせるには十分だったようである。
言葉を失い、生唾を飲み込む外相に、ゼトラが口を開く。
「……七竜システムとはおよそ十二万年周期でこの世界に襲いかかる、『極めて深刻な脅威』に立ち向かうために開発された先史文明の遺跡であり、決戦兵器……という事です」
「……」
「それ故に、こちらキチジュ王国の地に封印されているという七竜の復活をお認めいただきたいと思います」
「……なるほど……」
辛うじて発した言葉だったが、最後に水蒙竜が放った主砲で尖兵級ごとアムスト大陸南部が吹き飛んだ映像が表示されて、また愕然とした。
「……なんと恐るべき……。人知を超えたとはまさに……」
「聞けば、この攻撃でおよそ大陸南部の国一つが消滅し、そこに住まう千万人ほどが命を落としたそうです……」
「千万……! なんと酷い!」
センザン外相は非難するような目をゼトラとカーリーに向ける。
だがカーリーは平然として……むしろ穏やかな笑みを浮かべたまま首を振る。
「あれを見逃していたら国一つ、千万の人口どころではありませんわ。尖兵級であっても壊滅的な被害をもたらすには十分なほどです。現人類の文明レベルでは対抗手段は存在しませんわ」
「なに……ッ!?」
「むしろ現有戦力で国一つ、千万の犠牲で抑えることが出来たのは上出来とも言えますわ」
「なんという……。いや、しかし、他にやりようはなかったものか!」
「ございませんわ。水蒙竜のみでよくぞあの程度の犠牲で抑えきれたと評価すべきです」
「くッ……!」
「……」
センザン外相の非難の目は、ゼトラの胸を締め付けた。
もっと上手くやれば国一つ滅ぼすような犠牲は出なかったのではないか。
その言葉に俯き、唇を噛みしめる。
そのゼトラを慰めるように、フィオリーナとアイビスが手を重ねてそっと寄り添った。
巨大なきのこ雲が立ち上がったところで映像が終わると、センザン外相は背もたれに大きく体重をかけて、突き出た腹が上下に揺れた。
頭を抱えて天を仰ぎ、何事か考えていたのだろう。
ふと姿勢を戻して軽く会釈をした。
「失礼。いくつか質問よろしいか」
「はい。答えられるものであれば」
「ゼトラ殿は生身で戦っておられたが……よくぞご無事で……?」
「それは……実は……手ひどいダメージを受けて、その後一日は気を失っておりました」
「なんと……」
とは言え、それでも生き残るゼトラの恐るべき戦闘力にセンザン外相が眉間にシワを寄せて首を振る。
「それではまるで……。いや、よしておきましょう」
飛び出しかけた言葉を飲み込んで、ふぅ、と軽く息をつくと、また姿勢を正した。
「『極めて深刻な脅威』に立ち向かうには七竜の力が必要。そこは理解いたしました。ではその後はどうなさるおつもりです?」
「その後?」
「ええ。『極めて深刻な脅威』を無事討ち果たした後のことです」
「それはもちろん、また封印しますよ」
ゼトラはさも当然というように、おどけて笑ったが、その答えはセンザン外相にとっては意外だったようである。
「えっ?」
「……えっ?」
センザン外相の反応もまた意外だったようで、ゼトラは首を傾げた。
「七竜の力は、各国の軍事バランスを覆す恐るべき力です。それをもって何もなさらない、と?」
「へ?」
センザン外相の問いかけはゼトラには理解できなかったようである。
ますます怪訝そうに首を傾げ、顔をしかめた。
「何をおっしゃっているのですか?」
と苦笑すら浮かべる。
「……どういうことですか? 七竜の力で何が出来るというのです?」
「え……いや、本気で申されているのかな、ゼトラ殿」
「ええ……センザン外相のおっしゃる意味が分かりません。七竜の力でどうしようと言うのです?」
ゼトラの答えに、センザン外相はあからさまに困惑したような表情を浮かべた。
腕組して顎に手を添えると、ゼトラの目を真っ直ぐに見た。
「どうやら嘘をついているようにも見えぬが……」
「嘘? 僕が嘘をつく? どうしてですか?」
さすがのゼトラも少し苛ついたのか、ややオーバー気味に手を広げ一体どういうことなのか、とアピールする。
なおもセンザン外相の、人を見定めるようにも、睨んでいるようにも見えるその顔つきに、ゼトラだけでなく、マーカスとメルキュールも警戒したようで、その表情の真意を探ろうと目を細めた。
にわかにピリとした空気に一変した謁見の場。その場を和らげたのは意外な人物だった。
「もうよろしいでしょう。外相」
さきほど湯呑と茶菓子を用意した侍女である。
退室していたと思っていたが、いつの間にか入室していてこちらの様子を探っていたようだ。
「よ、よろしいのですか?」
「ええ。ゼトラ殿の人となり……わかった気がします」
「は、はぁ……」
目を丸くしたのはゼトラたちも同じである。
短い言葉でやり取りを交わす外相と侍女をこの侍女は一体何者なのか、と探るように交互に見やった。
「失礼いたしました。私はこの国を預かっております、ミオ・ライセン宰相と申します」
「えっ」
優しげな笑みを浮かべ一礼すると、センザン外相を押しのけてゼトラの正面に相対して椅子に腰掛けた。
差し伸べられた手を握り返すと、クスクスとライセン宰相が微笑む。
年は四十代中程だろうか。
口元の小さなシワこそあるが、品のある大人の女性の雰囲気は穏やかな気持ちにさせた。
「驚かせてしまいましたね。探るような真似をして申し訳ありませんでしたわ」
「いえ……先程の外相の問いといい、政治のことに未だ疎く、真意を汲み取れず……」
「ふふ……では改めて問いましょうか」
「は、はい」
「ゼトラ殿は『極めて深刻な脅威』を討ち果たした後、七竜の力を使って世界を支配するおつもりはない、ということですね?」
ライセン宰相の問いに、ゼトラは呆気に取られた。
そんなことは今まで一度も考えたことはなかったからだ。
思わず吹き出すように笑い、首をすくめた。
「そんなことをして、一体何の意味があると言うのでしょう? 七竜の力で世界を支配? そんな力と恐怖で人を抑えつけるようなことをして、人々が幸せになれるわけがありません。その選択肢は今も、これからも、断じてありえません」
その言葉は、ある意味で憤慨だった。
馬鹿にされているとさえ思った。
そのようなことをする人間だと思われていた事は心外であり、ゼトラは苛立ちを隠せなかった。
「僕はあくまで人々を……世界を救うために行動しているつもりです。七竜は確かに強大な力です。ですがその力を『極めて深刻な脅威』以外に用いるなんて絶対にやってはいけないことです」
怒りさえも感じる口調。
ゼトラの信念に宿る、正義の志。
ゼトラの真っ直ぐな目に、ライセン宰相は動じることなく、微かに頷く。
「……なるほど」
ゼトラはその言葉を聞いて、分かってもらえたのか、と思った。
だがライセン宰相は首を振った。
「ですが、この世界に争いが絶えたことはありません。七竜の力を使い、脅してしまえば、この世界から争いを無くすことさえも可能です。……この世界の王になれば、それは可能です。それは考えなかったかしら」
「考えませんね。争いは当事者同士で解決すべき事。この世界の王になるなど……僕がこの世界を支配するなぞ、僕にとっては馬鹿馬鹿しいとしか思えません」
「まぁ! ですがそれは無責任ですわ」
「……無責任? どうしてですか?」
無責任、と言う詰るような言葉に、ゼトラの瞳に苛立ちがこもった。
しかしライセン宰相はそれにも動じず、淡々とした口調で続ける。
「貴方は七竜の力を制御できるこの世界で唯一の人。そして誰一人として歯向かうことが許されない存在にさえなるのです。その圧倒的な力をもってすれば、この世界から争いを無くすことができるのです。それを為さらないのは無責任ですわ」
「その理屈は僕には理解できません。なぜ僕一人が責任を負わなければならないのですか? この世界を僕一人の考えで支配して、僕の思い通りに動かせ、とでも言うのですか?」
「そうは言いませんが……。そう、言うなればこの世から『悪い人』を排除することだって可能でしょう。『良い人』だけが残る世界だって作れるはずですわ。その平和な世界を実現できるのに、実現しないというのであれば、それは無責任だと思いますわ」
「そんな世界を僕一人でやれ、と? 『悪い人』と『良い人』の基準……線引はなんですか? 僕の基準が間違っていたら? それを僕一人に責任を負わせて、やれ、と言うのですか?」
「……」
「もはやそれは侮辱に等しいですね。僕はそこまで出来た人間じゃない。僕は神様なんかじゃない。僕一人にそんな責任を負わせようとする宰相こそ無責任だ。解決すべき問題は皆で考え、話し合って解決すべきことです!」
それはもはや苛立ちを超えて、怒りを交えた叫びだった。
「僕の願いは『極めて深刻な脅威』によって滅亡する未来を回避し、人々が笑顔で幸せに暮らせる未来を用意したいだけです。その未来をどう活かすかは、僕も含め、皆で決めるべきことです!」
それはゼトラの心の悲鳴だった。
本心の、魂の叫びでもあった。
ライセン宰相も、センザン外相も……そしてマーカスたちもその気迫に圧倒された。
……そしてフィオリーナの頬に、一滴の涙が零れた。
決して怒れるゼトラが怖かったわけではない。
ただゼトラの背負うものの大きさ、そしてそれに対するゼトラの清らかな思いを改めて知った。
それだけだった。
「あ、ごめん……別に怖がらせるつもりじゃ……」
「え、あ。ううん。そうじゃないの……」
フィオリーナはそれだけ言うとゼトラの腕に顔をうずめる。
ライセン宰相がゆっくりと呼吸を繰り返すと深々と頭を垂れた。
「ゼトラ殿お気持ち、よく分かりましたわ。失礼な問いでした」
「いえ、こちらこそ若輩が無礼な口の聞き方を……。申し訳ありません」
ゼトラもまた頭を下げて、バツが悪そうに首をすくめた。
ライセン宰相が顔を上げて、クスリと笑う。
「ゼトラ殿は清廉潔白なお人柄なのですね。とても清らかで……まっすぐで、純粋で」
「そ、そんなことありませんよ。僕にだって人並みに欲はあります。ただ今はその欲に溺れるのが怖い。我慢しているだけです」
そう言って苦笑すると、両脇の少女の腰に手を回して抱きすくめる。
ゼトラの言葉の意味する所を理解したのか、フィオリーナとアイビスがパッと顔を赤らめて、モジモジソワソワしながら俯いた。
「ふふふ。でもその心の持ちようはとても大切なことだと思いますわ。人の力を遥かに凌駕するものを持ちながらそれを用いず見守ることに徹すると決めたゼトラ殿は、まるで……」
――まるで、この世界を守護し、優しく見つめ続ける現人神のよう……。
それを言葉に出してしまえば、ゼトラがまた怒り出すと思ってライセン宰相は口をつぐんだ。
また微かに笑みを浮かべると背筋をまっすぐに伸ばした。
「先程の問いは、ゼトラ殿に強大すぎる力を託すに相応しいのか、それを確かめるための問いでもありました」
「そ、そうだったんですか」
「ええ。不思議だったのです。エイベルク王国、カイコルロ王国、バインクレ王国、アルムシタット王国、いずれの王もゼトラ殿を信頼して七竜を託した理由が、分かりませんでした」
「……」
「世界を滅ぼすことさえ可能な強大な力を、何故ゼトラ殿に託したのか……それは先ほどの問いに対する答えでよく分かりました」
そうは言うが、これまでいずれの王もそのような問いかけがあったわけではない。
母アリスの貢献もあってだろうが、会う前から全幅の信頼を寄せられていたのは事実だ。
古の七王国に列する姉妹国、亡王国の王子、悲劇的な背景が同情を買っていたのかもしれない。
ライセン宰相に指摘されて初めて、それは特殊なことだったのだとゼトラも認識したようである。
「ですが、一つご助言を」
「……なんでしょう?」
「私達の国に伝わる古い格言に『瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず』というものがあります。意味するところは分かりますか?」
「わかりません……申し訳ありません……」
不勉強な自分に恥じ入るように、俯くゼトラ。
ライセン宰相はニコリと優しげな笑みを浮かべて頷いた。
「瓜、という地を這う野菜を育てる畑で、靴を履き直すような真似をすると瓜を盗もうとしているのではないか。李の木の下で冠をかぶり直すような真似をすると李を盗もうとしているのではないか、と疑われる、という意味です」
「……はい」
「つまりは、人に疑われるような真似をするな、という意味ですね」
「なるほど……」
ライセン宰相の言葉に神妙な顔でゼトラは何度も頷いた。
「転じて広く解釈するなら、自身にその気はなくとも、その立ち振舞いを遠目から見ただけで、人は容易に疑いをもってしまうものです。疑われないように周りをよく見て、慎重に行動しなさい、と言う意味と思います」
「はい……」
「今、ゼトラ殿の手中には一個人が振るう力としては、余りにも強大な……いや、人類という種で見ても到底扱いきれるものではない、強大な力があります。ゼトラ殿の志を理解する者にとっては問題なくとも、理解していない者にとって、その力は恐怖でしかありません」
「……」
「どうか疑念を抱かせないよう、慎重に振る舞うように、お願いいたします」
「……はい! 然と肝に命じます! ありがとうございます!」
ゼトラは不思議な気持ちだった。
ライセン宰相のその言葉は、まるで母親が教え諭すようにも聞こえた。
宰相の母性を感じさせる雰囲気もあったのだろう。
それはまるで、母アリスの言葉のようにも聞こえたのかもしれない。
真っ直ぐに、そして素直に、ライセン宰相の言葉を受け止めて笑顔を見せる少年に、宰相もまた笑顔になって頷いて微笑み合った。
ともあれ、ゼトラの示した潔白の志は、ライセン宰相の信頼を得たようである。
「そのお気持ちに対して、私達も真摯に応えなければいけませんね」
「……と言いますと……」
「実は封印石の場所も、七竜の眠る地も既に判明しています」
「え……」
「詳しくは信の置ける者に案内させましょう」
そう言うと、ライセン宰相はセンザン外相に目配せする。
センザン外相が一礼すると席を外した。
少しして屈強な男が一礼して入室し、ゼトラに頭を下げた。
「ライドウ・コウジンと申す」
「は、はあ」
ゼトラたちを案内しようと促したライドウ。
だがゼトラが不思議そうな顔でその場に踏み止まった。
「あの……キチジュの国王陛下はいらっしゃらないのでしょうか。そちらのご許可をいただこうと思っていましたが……」
そのゼトラの問いにライセン宰相は一瞬声を詰まらせ、明らかに表情が暗くなった。
「あいにく……キチジュには既に王はありません」
「え?」
「王なき王国。それがキチジュです」
ライセン宰相の答えに一同が沈黙する。
「何があったんだ……?」
辛うじて重い口を開いたマーカスに、ライセン宰相の口からキチジュ王国の歴史を語り始めた。
キチジュ王国が、かつてはヤマト王国と呼ばれていた時代のことを……。
予告。
宰相から語られるヤマト王国時代の歴史。
その歴史の裏に和国の陰謀があったことにゼトラは気づく。
次回「085.そこはかつてヤマト王国と呼ばれていた」
お楽しみに。
ブクマ、評価をつけて頂き御礼申し上げます。
本当にありがとうございます。
ブクマ、評価、感想などいただけると嬉しいです。
次回更新は2020年11月27日お昼頃の予定です。
よろしくお願いいたします。




