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008.玉座の主に謁見す

 冒険者ギルドは規模の大小こそあれ、ほぼ全ての都市に支部が置かれている。

 その冒険者ギルドと各国政府の間で締結されているのが『相互不干渉協定』という約束事である。


 協定の骨子としては以下のようなものである。


 冒険者ギルドは各国政府の政治的権力を有せず、また欲してはならないものとする。

 冒険者ギルドはその所有する戦力を背景として各国政府に政治的影響を及ぼしてはならない。

 冒険者ギルドは各国政府の政治的意図を背景とした依頼を受けてはならない。


 各国政府は冒険者ギルドにおける意思決定権を有せず、また欲してはならないものとする。

 各国政府はその所有する戦力を背景として冒険者ギルドの意志決定に影響を及ぼしてはならない。

 各国政府は政治的意図をもって冒険者ギルドを利用してはならない。


 これに違反する事案が確認された場合、いずれの組織に属するかに関わらず、また身分に関わらず公の裁判を受けなければならない。

 その罰は死罪をもって最高罰とし、爵位剥奪、懲役等、犯した罪の程度によって決定される。


「死罪って……厳しいですね」

「そうですな。これも過去の過ちを繰り返さぬためです」


 朝早く、ゼトラは連日の礼服姿となったアルベルトに案内されてグランマリナ城に登城する道すがら、進講を受けていた。

 ちなみにゼトラもまた、普段着では無礼であるから、とアルベルトの長男の服を借りることにして、最も無難だろう、という襟付きの服を選んで着込んでいる。


「過去の過ちって?」

「百年前に終結した征魔大戦ですね」

「魔法の戦争……?そんなことがあったんですか?」

「おや、ご存じないので?」

「うん。母さんから聞いたことなかったし、母さんがいなくなってからも、周りの大人たちも教えてくれなかった」

「なるほど……。では征魔大戦のことは機会を改めて御進講いたしましょう」


 話を戻し、不干渉協定が締結された経緯として、まず第一に冒険者ギルドに登録されている冒険者の数の多さ、すなわち所有する戦力が問題となった。


 冒険者を総動員すれば、国軍一個師団に匹敵する大戦力となる冒険者ギルドは政府にとっても、国民にとっても脅威としか言いようがない。


 また一方、政治的な思惑によって冒険者ギルドの戦力が利用される、――例えば敵対的な隣国の国境付近の調査を依頼することで生じる偶発的な武力衝突。或いは軍の戦力として他国との戦争に徴兵される――といった事を防ぐ必要があった。

 属する国のために同じ冒険者同士で争うなどあってはならないことである、というのが協定締結に向けた動きの発端でもあった。


 そもそも冒険者ギルドとは、この世界には各国政府の公権力や法が及ばない地域が多数残されており、その地域における自由な調査活動を保証するのために組織されたものである。

 また、そういった地域に生息する凶暴な魔獣を相手にするための戦う力であるため、国の、或いは国同士の政治的思惑に左右されてはならない。

 そういった事を背景として、各国政府と冒険者ギルドは相互に不干渉であることを前提とした協定が締結されたのだった。


 ただし、国民の生活に影響を及ぼす事案の解決のために政府が冒険者ギルドに依頼することは禁止されていない。そういった政府が依頼主となるミッションの場合は、ギルド側で政治的意図がないか、よく調査した上で冒険者に情報が提供されることになっている。


「それ故に、この度エイベルク王家がゼトラ様をお招きして御礼を、というのは真でございましょう。仮に政治的な企図をもってゼトラ様に接触を、という目的があったとしても、今のゼトラ様は一介の冒険者に過ぎませぬ。仮にそういった意図を嗅ぎつけたら、私めが断固として拒絶いたしますので、ご安心くださいませ」

「頼りにしています」


 城が近づくにつれ緊張を隠せない様子が見えてきたぜトラがおどけるように首をすくめ、アルベルトはそれを安心させるように肩を抱き寄せる。


 その姿はまるで父子のようにも見えただろう。



 堅牢な作りの城壁には金糸で刺繍を施された蒼色の垂れ幕がいくつも並んでいた。

 同じく金糸の刺繍が施された紺色の絨毯は草原を歩いているかのように柔らかく、チリ一つ落ちていない。

 謁見の間には整然と並んだ近衛騎士、諸大臣が列席し、その正面中央、金銀豪華な装飾が施された王座には白髪の混じる顎髭を蓄えた中年の男性がきらびやかな赤いマントを羽織り、鎮座していた。

 その人こそエイベルク王国の頂点である国王、ギュスターヴ・アルイエ・エイベルク二十三世である。


 左右に座るのは同じ年頃の王妃、カターニャ・アルウィニエ・エイベルク。

 そして若い乙女が第一王女、シャーディ・ミニュエ・エイベルク。

 いずれもその身分に相応しい華美な装飾を施した白のドレスを身にまとい、穏やかな微笑みを浮かべて最敬礼の姿勢で頭を垂れる二人に視線を送っていた。


「面を挙げよ」


 王の荘厳な声に促されるように列席の諸大臣とゼトラが頭を上げる。そして事前にアルベルトに教わった通り、目ではなく胸元あたりに視線を合わせた。


 ――すごい。これが王様なんだ。


 ゼトラの率直な感想だった。

 広大なエイベルク王国の頂点として君臨する王の威厳とはこのようなものかと思い知った。

 王自身からではなく、空間そのものが背筋がピンと伸びて構えなければならない圧力を感じさせた。


「この度は我が娘の危難を救ってくれたこと、心より礼を言う。これを賞して褒美を取らす」


 王の言葉に促され、侍女と思しき質素なドレスをまとった女性が三名、金銀の装飾が施されたトレイを運んできた。

 朱色に塗られた木製の台座に、音を立てないよう静かに載せられたそれは、エイベルク金貨五十枚。動きやすさを重視した銀白色の軽装の鎧。金糸の装飾が施された刃渡り三十センチほどのダガーの三品である。


「娘の聞く所によればこれよりそなたは冒険者稼業に勤しみながら、母を探す旅に出るとのこと。その助けとなれば幸いである」

「ありがたく、拝領いたします!」


 これもアルベルトに教わった通りにゼトラは返礼を述べ、頭を下げた。


「うむ」


 そのやりとりに満足したように頷いた王が、横の側近に視線を送った。

 その視線に一礼した中年の男性のやや甲高い、凛とした声が謁見の間に響き渡る。


「これにて褒賞の儀を終える。両名には王女殿下より直接お言葉をお送りしたい旨ご意向があるため別室へ待機するよう申し付ける」

「はッ」


 列席した者たちが頭を下げ、近衛騎士が最敬礼の構えを取る中、国王に続いて王妃と王女が退席するのを見送る。

 緊張から解き放たれたゼトラがふう、と軽く一息ついた所で、侍女が声をかけてきた。


「応接室にご案内いたします。どうぞこちらに」

「はっ」


 ゼトラに変わってアルベルトが返事をして、侍女の後についていく。

 二人が通されたのは謁見の間からさほど離れていない応接室と書かれた室名札が下がった部屋だった。

 応接室というには少々疑問を抱かざるを得ない、五十平方メートルはあろうかというかなり広い空間である。

 いずれに於いても華美な装飾を施された垂れ幕や、透明かと勘違いしそうなほど磨かれたガラス窓、黒漆の輝きが美しいテーブル。そしてギルドマスタールームにあったソファ以上にフカフカに跳ねるソファは緊張で疲れた身体を優しく受け止めた。

 侍女が芳しい香りを漂わせる紅茶を注ぎ、二人の目の前に音も立てずに置く。

 可愛らしい黄色い花が添えられたクッキーがお茶請けとして用意されていた。


「今しばらくお待ちくださいませ。まもなく王女殿下が参ります。それまでどうぞ寛ぎください」

「承知いたした」


 侍女が一礼して部屋から出ていったのを見届けて、ゼトラはようやく肩の力を抜いて天井を見上げるた。


「緊張したぁ……」

「ご立派な立ち振舞でした」


 フフ、と優しく微笑んでゼトラを労い、アルベルトが紅茶が注がれたティーカップをゼトラに差し出す。


「王女殿下が参られるまでゆるりといたしましょう」

「うん」


 アルベルトもまたティーカップを取ると、その香りを楽しもうと顔を近づける。


「おや、この香りは……?」


 しかしすぐに表情を曇らせてじっと揺れる水面を見つめた。


「どうかしましたか?」

「いえ、しかしこれは……ふむ……」

「……?」


 怪訝そうな表情を浮かべるゼトラを他所に、軽く口をつけたアルベルトは確信したかのようにうなずいた。


「大変美味しい紅茶です。ただこの紅茶、産地は旧ユングスタイン領にあるスターク高原の高級茶葉ですね。世界でも三本の指に入ると称賛された一品です」

「ユングスタインの……」


 ゼトラも一口含んで、これが故郷の味?など想いを馳せる。


「ゼトラ様、あるいはアリスアトラ様の素性を知ってのチョイスなのか。その思惑をお伺いしたい所ですが……」

「母さんのこと、知ってるのかな」

「さて。ユングスタイン亡国史は世界中の人間が知っていること。ただの偶然であるとも言えます。今は藪を突くような事は避けておいた方がよろしいでしょう」

「わかりました」


 頷きあった二人はクッキーを手にとってかじり、ゼトラは思わず、うま!と目を見開く。

 その純粋な反応にアルベルトは目を細めて微笑むのだった。


「失礼します」


 少しして部屋をノックする音が聞こえたので慌てて身を正した二人だったが、入室してきたのは黒色の執事服を身にまとった男性二人だった。

 その小脇には先程褒賞の品として提示された装備品を抱えている。


「シャーディ王女殿下がぜひとも褒賞の装備品をお召になった姿を拝見したいとのこと。お召し物のお着替えのお手伝いに伺いました。また褒賞金の振り込み登録もいたします。冒険者タグはご用意しておりますでしょうか」

「あ、はい」


 ポケットから取り出した冒険者タグを渡すと畏まって受け取った男が端末にかざして算盤機と呼ばれる電卓のような魔法端末を叩きはじめる。


「お召し物を」


 それを横目にしていたゼトラをもう一人の執事が促すように立たせた。


「では失礼をば」


 そう言って素早い手付きゼトラが着込んでいた服に手をかけると、あっという間にゼトラは下着一枚になった。


 ――あれ?あんなの褒美にあったけ?


 そんな疑問を抱くゼトラが戸惑って立ち尽くしている間に、これまたあっという間に鎧の下につける服を着せられ、金の装飾が施された銀白色の手甲、足甲、胸当て、さらにはフード付きのマントまで素早い手付きで着付けられた。

 最後の締めに腰の後ろにダガー、それよりも刃渡りの長いショートソードを左腰に装備し終えた。


 その姿に満足げに頷いた執事が一礼し、別の執事が、これまたいつの間にか親指ほどの大きさのタグを両端を銀の鎖で繋いだ硬化ガラスのケースに入れて、ゼトラの首元にかける。


「えっと……」

「間もなく王女殿下が参られます。しばしお待ちくださいませ」


 ゼトラの戸惑いと、なんか思ってたのと違うのだけど?という質問を拒絶するように二人の執事は一礼してさっさと退室してしまった。


「アルベルトさん、これなに」

「見事なお姿です。是非アリスアトラ様にもご覧いただきたい」


 ゼトラの疑問に答えようともせず、立派に成長した我が子を見守るように目を細めて涙ぐむアルベルト。

 どうしようこれ、とゼトラが戸惑っているとまた部屋がノックされ、シャーディと……なんとギュスターヴ国王を連れて入室してきた。

 二人とも謁見の間での礼服とは打って変わり、上品な普段着に着替えている。


「これは、なんと」


 慌てて最敬礼の姿勢を取ろうとソファーから立ち上がったアルベルトだったが、それを制するように手を挙げた国王を見て、腰を戻す。


「まあ素敵!ジャルダーン冒険譚に登場する勇者様のようです!」


 ゼトラの装束を見てシャーディが飛び跳ねるように胸元を押さえて感激の声をあげ、頬を染める。

 その姿を見たギュスターヴ国王はやれやれ、といった表情で肩をすくめるとゼトラをソファに座るように促す。自身も横のソファに座り、シャーディもその横に腰掛けた。

 なお『ジャルダーン冒険譚』とは悪しき竜にさらわれた姫を勇者が苦難の旅の末に救い出すという、ごくありふれた内容のベストセラー作品である。


「この度は娘の危難を救ってくれたこと、改めて礼を言わせてもらおう。本当にありがとう」


 手を伸ばした国王にゼトラも手を伸ばす。交わした握手を見つめる目は穏やかで、暖かな手が心地よかった。普段着ではあるのだが、威厳は失われておらず知らず識らずのうちに背筋が伸びる。


「とんでもありません。こうして王族の方と謁見する機会に恵まれ身に余る思いです」

「ふむ。見事な魔術の使い手と聞いている。カールウェルズ高等魔法術学校で学んだのかな」

「いえ、独学です……」

「ほう、そうか。魔術の天才なのか。それもそれで素晴らしいことだ」

「天才というわけでは」

「それに君は昨今冒険者として勇名を馳せた『蒼雷の戦姫』アリス嬢の子息と聞いた。彼女には我が国民も随分と助けられたと聞く。代わって礼を述べさせてもらおう」

「自慢の母です」

「うむ。消息不明と聞くが息災であるとよいな」

「はい」


 国王の暖かな言葉をかけられ、照れくさそうに笑うゼトラ。しかしシャーディが頬を膨らませて国王の腕を引っ張る。


「もう!お父様!私が直接ゼトラにお礼を言いたいとお願いして用意した席ですわ!無理を言ってついてこられたお父様ばかりお話するのはいけません!」

「ああ、うん。そうだな。すまん」


 王の威厳を窓から投げ捨てるようにシャーディが強引に王とゼトラの間に割り込み、ゼトラの手をとる。


「改めて私からもお礼を述べさせてください、ゼトラ。本当に助かりました。この御恩は一生忘れることはありません。これから何かお困りごとがあれば、どうぞ気軽にご相談くださいましね。ううん、ご相談ごとがなくても、是非月に一度や二度くらい……。ゼトラは顔パスでお通しするよう申し付けますのでっ!」

「お、おい、シャーディ。それは聞いてないぞ」


 頬を染めながら一気の早口で唇を所望するかのように顔を近づけるシャーディを焦った様子で押し止める父の姿に、アルベルトも苦笑する。


 どうやら詳しく聞けば、先程の褒美の品として用意した三つは王が用意したもので公式なもの。だが、これだけでは足りない!と騒いだシャーディを鎮めるため、非公式という形で用意したものを今ゼトラが身につけているということだった。


「しかしゼトラ君は歳は十五か。うちの娘は十八だから、年齢としては釣り合うな」

「やだぁ~!お父様ったらぁ!もー!」


 パァーン!と小気味よい音を立ててギュスターヴの肩を叩いたシャーディが身体をくねらせ、苦痛に顔を歪めるギュスターヴに思わず吹き出すゼトラだったが、アルベルトの表情が一瞬にして曇る。


「いや、ここは若い二人に任せて、アルベルトと話がしたい。少しよいか」

「はッ」


 そう言うと会話が聞こえない所まで離れた二人を他所に、シャーディはゼトラにどこの生まれか、そこはどういう村か、これからどこへ行くのか、といったことを矢継ぎ早に質問を浴びせ、ゼトラも圧倒されながら一つ一つ答えるのだった。


「なかなか有望な新人が入ったようで、心強い限りだな」

「恐れ入ります」

「さて、紅茶は気に入ってくれたかな。余が直々に指定したものだ」

「ほほう、それは痛み入ります。大変美味しゅうございました」

「懐かしい味でもしたかな」

「……」


 その言葉を聞いて、アルベルトの視線がかすかに険しくなった。


「恐れながら、陛下」

「なにかな」

「あいにくと私めは陛下好みの腹芸は得意といたしませぬ。お聞きしたい事があれば何なりと。お答えできる範囲でお答えいたします」

「ふむ……」


 ギュスターヴ国王はその視線をサラリとかわして、表情を変えることなく窓の外に視線を送った。


「いや、やめておこう」


 ふふ、といたずらっぽく笑みを浮かべたギュスターヴ国王が続ける。


「これ以上は一介の冒険者に対する政治的関与として荒鷲に咎められるやもしれんからな。余もまだ命は惜しい」

「……左様でございますか」


 肩をすくめた国王は、なお遠く地平線の彼方を見やり、つぶやく。


「これは独り言ゆえ聞き流すとよい」

「……?」

「二十五年前、北東の果ての『古の七王国』の惨事は我がことのように心を痛めた。国王の座を任されたばかりの余にとっても心肝を寒からしめる出来事だった」


 静かな口調だが、喉の奥を微かに震わせたその言葉は、確かに本心であると、アルベルトは察することができた。


「同じく『古の七大国』に列する我がエイベルク王国にとっても、姉妹国の惨事は捨て置けぬ、他人事ではない、と支援しようとしたのだが、支援が届く間もなく、たったの半年で王国が崩壊するとは、己の無力さに人知れず涙を流したのを思い出す……」

「……」

「さて、噂で伝え聞くところによれば、滅亡したはずの王家の血を引く者が生存している可能性がある、という事である。もしその者が王を名乗り、かの国の再興を願うのであれば、尽力は惜しまぬつもりだ。それがあの時なにも出来なかった余の贖罪だと思っている」

「……」

「だが再興の道はあまりに険しい。王とは、自ら王を名乗り振る舞っても王たりえない。民より請われ、願われ、王座を用意されて初めて王たる者が座するものだ。それに、いくら余が声を張り上げたところで諸国の同意を得られなければただの空吠えである。もしも、かの血を引く者が健在であるとすれば……諸国の信を得られるよう、より一層の働きが必要であろうと思う」

「……」

「必要とされるなら、余は協力を惜しまぬつもりだ」


 王の独り言に唇を噛みしめるアルベルト。


「恐れながら……」

「続けよ」


 何を言われようとも気にしない、と言わんばかり顎髭をさすって発言を促す国王に、軽く頭を下げた。


「もしも陛下がおっしゃる者がいるとすれば、未だ世の理を知らぬ雛のような小鳥かもしれませぬ。今はその子が見聞を広め、王が王たるために何を成すべきか、己を見定め、王の道を見つけるまで、勇気を持って見守る度量も持ち合わせるべきとも存じます」

「うむ。真に然り」


 そこまでの会話で、国王も満足したのか大きく頷いた。


「さて話は変わるが、今日にも例の討伐依頼を出すつもりだ。かの少年も腕試しと思って受けてみるがよかろう」

「承知いたしました。その旨ゼトラに伝えておきます」


 アルベルトが一礼した所で大人の会談は終わり、父の顔に戻ったギュスターヴ国王が会話というにはあまりに一方的におしゃべりを続けるシャーディを引き剥がす。


「まだまだ話し足りませんのに!」

「これではいつまで経ってもゼトラ君は母親を探しにいけないだろう」

「ぐぅ!」


 呆れた声で諌める父の正論に、辛うじて絞り出したグウの音で抵抗を試みるシャーディだった。


ブクマ、評価、感想などいただけると嬉しいです。

次回更新は2020年09月01日18時頃の予定です。

よろしくお願いいたします

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