069.コロシアムの閃撃
カールウェルズ魔創公国において次期公王を決める公王選出会議。
その前哨戦となるトーナメント戦は十年に一度のお祭り騒ぎとなる。
通りの各所に幟旗が風にたなびき、屋台がこの商機を逃すまいと呼び込みの大声を張り上げていた。
不届きにも今回のトーナメント戦の賭けも行われているようで、ミストガーベラ家擁する東国一の剣豪がトップ、次いでワーランス家と続き、ハイウェルズ家の代理であるゼトラは三番手で八倍代のオッズがつけられているようだ。
お祭り騒ぎの評判は近隣諸国も知る所なのか、コロシアムは勿論、そのコロシアムで繰り広げられる激闘の模様を伝えるパブリックエリアも、超満員となっていた。
何よりも世界最先端を行く魔法と科学が融合した近代文明の姿に、公国民は勿論、訪れた近隣諸国の民も驚きを持ってそれを受け止めていた。
そして出場したゼトラは当然のようにあっさり勝ち上がり、決勝へと駒を進めていた。
相対するのはミストガーベラ家が代理に立てた東国一の剣豪と名高いアロウズ・ロドルゲスである。
何故東国からわざわざ?という疑問は多くの者が感じただろうが、それが和国政府の手によるものは思ってもおらず、沿岸貿易の影響が強いミストガーベラ家だからこそなのだろう、と納得したようである。
盛んに囃し立て、拍手を贈る観客。
それを煽るような実況アナウンサーの声で、大音響のスピーカーが震える。
「さあ!おまたせしました!いよいよ決勝戦でございます!」
鼓膜が破れるほどの、ワァ!という大歓声に負けないように、さらに実況アナウンサーが声を張り上げた。
「ここまで圧勝続きのゼトラ・ユーベルク!そしてこれに立ち向かうは同じく目に見えぬ剣で圧勝してきたアロウズ・ロドルゲス!まさに頂上決戦に相応しい対決です!」
万雷の拍手に応えるように、ゼトラは軽く見渡して手を挙げる余裕を見せたが、アロウズ・ロドルゲスは静かに佇んでいた。
その姿は黒髪に黒い瞳、と和国人にも似ているが、顔つきが和国人とは異なりスッキリとしており、どちらかと言えばエイベルク人に近い顔立ちだった。
決して筋肉質とは言えず、むしろ細身でとても東国一の剣豪には見えない華奢さがあった。
「では両者、よろしいでしょうか!」
相対するゼトラとアロウズを煽るように罵声にも近い歓声が飛び交う。
ゼトラの後ろ、扉の隙間からマーカスとメルキュール、そしてフィオリーナ、アイビスがハラハラと見守っていた。
なお、貴賓席にもハラハラと見守る姿があり、それはギュスターヴ国王とシャーディ姫である。
もっともギュスターヴ国王は負けるはずがない、と余裕の表情で眼下の勇者を見ていたが。
「レディ・トゥ・ファイッ!? ゴー!」
試合開始を告げるコールの瞬間、アロウズが消えた。
と、同時に、ゼトラも消えた。
しかし直ぐに中央で、ギィン!という剣が弾ける音が響き、アロウズだけが壁に叩きつけれれた。
ゼトラだけが模造剣を持ち、挑発するようにその切っ先をアロウズに向ける。
「両者いきなりの強襲はゼトラに軍配だーッ!目にも留まらぬ瞬撃が炸裂ゥーッ!」
ドオ!とどよめきにも近い喝采が起きて、コロシアムに割れんばかりの拍手が起きる。
「やるな……ッ!」
アロウズが一瞬よろめきながら、体勢を立て直して抜刀した刀を鞘に収めた。
「ならば……!」
抜刀した刀を振り抜くと、太刀筋が同時に九つ発生した。
それはアロウズの流派直伝の必殺の剣『九の太刀・竜爪裂波』だったが、これも全て剣を合わせて弾き返すと、アロウズが肩で息をしながら膝をつく。
「初見で全て凌ぐとは……ッ! 噂に違わぬ剣神ぶり!」
「……どうも」
そんなことは初めて聞くなぁ、と思いつつ、ゼトラが苦笑する。
「ならば見せよう! 最終奥義・空破閃雷を……ッ!」
空間さえ斬り裂く必殺の太刀、ありとあらゆる強者を斬り裂いてきた、文字通り必殺の剣。不敗の剣。
アロウズが最終奥義を繰り出そうと再び鞘に刀を納め、精神を統一させるように一瞬だけ目を閉じた。
刹那、カッと目を見開き、鞘から空間を斬り裂く斬撃が飛ぶ。
そして二の太刀を浴びせようと地を蹴った瞬間。
どぅ、っとその場で昏倒するようにアロウズが地に伏した。
「わざわざ鞘に収めないと発動できないの? 隙がありすぎると思うのだけど……」
地に伏したアロウズの横、強烈な一撃で失神させたゼトラが困ったように眉をしかめた。
あまりの一瞬の出来事に何が起きたのか理解できないまま意識を失ったのはアロウズだけではなく、固唾を呑んで見守っていた観客もである。
勝負審判が駆け寄り、アロウズが戦闘続行不能であることを確かめると、勝負あった!と声を張り上げた。
「えーっと……!? 勝負ありーッ! 優勝はゼトラァ・ユーベルクゥーッ!」
え?と戸惑う声を代表するように声をあげた実況アナウンサーがゼトラの勝利を告げる。
それに応えて小さな――シャーディ姫とギュスターヴ国王の拍手が鳴り響き、さらにそれに釣られて拍手の波が広がっていく。
ただ、今のはどういうこと?という疑問もあって、その拍手の渦は決して大きくはなく、まるで狐につままれたかのようだった。
一体何が起きたのか。
最終奥義を繰り出そうと構えた所で、当然ながらアロウズに注目が集まる。
自然体で構えたゼトラに目を向けているものはほとんどいなかった。
だが一の太刀を放った瞬間、既にゼトラはそこにはいなかった。一足で距離を詰め、アロウズのほぼ背中側に居た。
そして二の太刀を振りかぶった瞬間、その腹に横薙ぎの一閃を当てると、自らの勢いもあってカウンター気味にヒットしたことが致命打となり昏倒した次第である。
見る人が見れば、隙だらけの所に一撃をいれただけじゃないか、となる。
だが見るべき人が見れば、あの一瞬で隙を見抜き、瞬間移動にも等しい閃光の如き動きに戦慄したことであろう。
あまりにも常識外すぎるゼトラの体捌きは、一般人の理解を超越していた。
何度もリプレイがモニターに打ち出される度に、どよめきと歓声が大きくなっていき、少しばかりはゼトラの凄まじさに理解が及んだようである。
ようやく万雷の拍手がゼトラの勝利を祝福したのだった。
「やったぁ! ゼトラやっぱりすごかっこよかったぁ!」
控室に繋がる扉を開け、コロシアムに飛び込んできた少女――フィオリーナが駆けつける。
フィオリーナは大勢が見守るのも憚らず、首に手を回して飛びついた。
それに続いてマーカスたちも駆け寄った。
「ありがとう!」
ゼトラもそれに応じて腰に手を回して抱き返す。
十かそこらかの幼い少女ではあるが、あまりに美しい顔つきに男どもは一瞬でハッと見惚れ、女たちは嫉妬した。
だが仲睦まじく抱き合う二人を見て、お似合いだ、とさらに熱狂的な歓声と割れんばかりの拍手がいつまでも鳴り止むことはなかった。
その栄誉を讃えていくつかの賞品と金一封の目録を手渡す儀式の後、トーナメント戦は終わりを告げた。
そして控室。
「ありがとう。そしておめでとうゼトラ君。君を代理に立てた今回のこと、私は例え公王に選ばれずとも一生誇りにするよ」
「大役を果たせてなによりでした」
興奮気味のアーサー公爵と固く握手を交わしている所に、もう一組の来客があった。
「ゼトラ様!お見事でしたわ!このシャーディ感激いたしました!」
「ご無沙汰しています。シャーディ姫」
入室するなり、祝福を述べるシャーディ姫とにこやかに微笑むギュスターヴ国王の姿を見て、一同が慌てて最敬礼の姿勢を取ろうとするのを遮った。
「ここはカールウェルズだ。私も娘もゲストに呼ばれた、ただの観客に過ぎないよ。儀礼は無しで頼む」
ギュスターヴ国王が苦笑してゼトラに握手を求めた。
ゼトラがそれに応えて握り返すとギュスターヴ国王が少し首を傾げる。
「君とは三ヶ月ぶりになるのか。この短期間で随分と背が伸びたね?」
「え? そうですか?」
そうかな?とマーカスの方を見たが、マーカスも首を傾げる。
だがアイビスと並び立つのを見て、なるほど確かに、と頷いた。
以前はほぼ同じ背丈だったゼトラとアイビスだったが、今では少しだけゼトラの背が伸びていた。
頭半分ほど、という差ではあるが、ギュスターヴ国王の指摘通りである。
一体いつの間に、というのは無理からぬことだろう。
ほぼ毎日、ずっと近くでいれば僅かな変化や成長にはなかなか気づかないものだ。
だがゼトラを囲んでいる者たちをギュスターヴ国王が一瞬見渡した。
「すまないが勇者殿を少しだけ借りるよ」
「?」
ゼトラの手をひっぱり、ギュスターヴ国王が小声が聞こえない所まで離して連れ行くと、そっと耳打ちした。
「例の件、殿下の読みが当たった」
「ッ!」
苦々しく顔をしかめるギュスターヴ国王を、ゼトラもまた眉をしかめて見た。
例の件……ゼトラが万が一の可能性と指摘した、和国諜報員が水源に毒を散布する可能性である。
それを成そうとした和国人らしき諜報員を捕らえたと言う。
「先日のことなので、詳しくはおおよそ一週間後まで待ってほしい。フォーク殿とアルベルト殿、レウツァト殿にも報告書を渡す予定である。だがこれは我が国に対する明確な敵対行為となる。これを前提に政府内でも対応検討中だ」
「……わかりました。あ、陛下に一言お耳にいれておきたいことが」
「ん?なにかな」
トーナメント戦の結果を受けて、おおよそ一週間後に第一回の公王選出会議が開催されるとアーサー公爵から聞いていた。
その場でゼトラの素性が暴露され、それが問題視される可能性がある。
あるいはユングスタイン人保護特区を設けたエイベルク王国に良からぬ噂が立つかもしれないので、予め謝っておきたい、とゼトラが耳打ちすると、ギュスターヴ国王は静かに頷き、ニヤリと笑った。
「わかった。こちらでも手を打っておこう」
名残惜しそうなシャーディ姫とギュスターヴ国王を見送り、アーサー公爵とこれからのことを確認し終えると、ようやくコロシアムを後にすることにした。
「お腹ペコペコだ」
「美味しそうな屋台あったよね」
「いいわねー今日の晩ごはんそれにしましょうよ」
「うん!」
日が暮れそうな時間となって、まだ屋台は開いてるかな、と出口に向かう。
だが、関係者専用の出口を出た所で、待ち構えていた観客たちが興奮冷めやらぬ万雷の拍手で迎えられた。
「ありがとう!」
これに応えて手を振るゼトラにさらに歓声が渦を成すように賞賛の言葉を贈るのだった。
こうして狂乱の舞台は幕を閉じ、ゼトラたちはコロシアムを後にした。
住民たちも十年に一度のお祭り騒ぎの余韻に浸りながら、その伝説の戦いはいつまでも語り草になるのだった。
その翌日。
遅めの朝食を済ませ、久々の休暇を取ることにしたメルキュールがぐんにゃりとだらけつつ、思う存分べったりイチャイチャするゼトラとフィオリーナ、アイビスがのんびりと過ごしている所に、マーカスが大量の新聞を購入して帰ってきた。
「どこもかしこもゼトラ、ゼトラ、ゼトラ。伝説の英雄誕生。勇者降臨。大騒ぎだぜ」
「すっご~い」
一面の見出しに、トドメの一撃を振り抜いて佇む勇ましい姿のゼトラの肖像画がデカデカと掲載されている。
「ギルド協定がなきゃ、身を隠さないと行けない所だった」
「さすがに目立ちすぎかな」
「しゃーなしよ~。ゼトラはどうやっても目立つんだから」
メルキュールが突っ伏すように床に頬杖をついて笑い、新聞を広げて記事を読む。
なお『ギルド協定』とは冒険者に限らず全ての職業ギルドとマスコミ関係者との間で結ばれた協定のことである。
協定とはしているが、各国政府が発布する個人のプライベート保護を謳う法に基づくものだった。
ギルドメンバーの活動を阻害しないように配慮したもので、ギルドメンバー個人へのつきまといや盗撮、直接の接触、取材の禁止が主なものである。
もし取材を申し込むならギルドを必ず通すように、とあるのだが、当然ながら冒険者ギルドは『明けの明星』及びゼトラへの取材は全て固く断る方針を取っていた。
メンバーがマスコミの取材対応に追われて活動を妨害されては、ギルドにとっても多大な損失だからだ。
なお、これを破ると法に基づき発刊停止という厳しい処分が下される。
報道の自由、知る権利を盾にマスコミ各社と各ギルド連盟は随分と揉めたようだが、ペンの暴力による、法的処罰を超えた社会的な死、その暴力による個人の自由への侵害が目に余る、という一点に於いて押し切られた経緯がある。
これまでも絶後の活躍を見せてきたにも関わらず、周辺の静けさを保たれていたのはこの協定の恩恵があった。
その時、来客を告げるアパートのチャイムが鳴った。
「どちらさん?」
代表してマーカスが玄関を開けると、そこにはミヒャエルと見知らぬ男が二人立っていた。
「やあマスターじゃないか。どうしたんだい?」
「今しがたマスターの職を辞してきたので、ただのミヒャエルになった所だ。こちらは後任のギルドマスターを務めるシュルトだ」
「よろしく。かの『明けの明星』は今日は休暇と聞いてこちらから挨拶に伺った方が早いと思ってさ」
「へぇ。まあ上がってくれ」
マーカスが促して玄関を上がり、玄関とリビングを遮る扉を開けると、ミヒャエルとシュルトは慌てて目をそらした。
「し、失礼」
リビングの床にメルキュールがだらしなく転がり、二人がけのソファにはゼトラを挟んだ少女二人が甘えるようにべったりとくっつき、膝丈のワンピースを身にまとっているとは言え、よもや事の最中だったかと勘違いしたようだ。
「ほれほれ来客だ。だらしないぞ」
「ふぇ~い」
メルキュールがノソノソとはだけた普段着を直し、アイビスが慌てて接客の用意をする。
フィオリーナもシャンと姿勢を正すと、ソファに腰掛け直した。
「どうも見苦しい姿を見せてしまって申し訳ない。休暇の時は、本当にだらけてしまって」
ゼトラが寝癖のついた頭をかいて苦笑する。
「いえ。『明けの明星』のプライベートの意外な一面が見られて、その……面白いですよ」
ミヒャエルが苦し紛れのフォローを入れつつ、ローテーブルを囲んだのだった。
「すまないな。来客なんてないから大したこともできないが」
「いや、本当にお構いなく。すぐに退散しますので」
アイビスが紅茶とマーカスが嗜む程度のお酒のおつまみを出してきたが、それに笑顔で頭を下げた。
ミヒャエル・アインホルンが改めてギルドマスターを辞したこと、その任をシュルト・エンデバーグが継いだことを報告すると、握手を交わしてこれまでの重責を労った。
そしてもろもろ身辺整理を済ませておよそ一週間後に旅立つ事。
一度エイベルク王国に入り、マードル大森林を抜けた先の港湾都市から南海交易路を利用してサイアル王国を経由し、一度キチジュ王国で情報を集めてから和国に入る、という旅程を説明されると、メルキュールがふむ、と頷いた。
「一週間かあ。三日伸ばして十日後にできないかしら」
「……というと?」
「私が今、急遽開発してるやつで、海上をそこらの船よりうんと早く駆け抜ける携帯型ボートを作ってるの。本当は私たちが使う予定だったけど、そういう事情ならミヒャエルさんに使ってもらったほうがいいわ」
「え……いいのだろうか」
「アリス様の行方を早く掴みたいのは私たちだって同じだもの」
「そうか……ではお言葉に甘えさせていただこう」
「そうして」
メルキュールが満足気に頷くのを見て、ミヒャエルも一礼する。
そこにシュルトが話を遮って申し訳ないが、と手を挙げた。
「冒険者ギルドが和国政府との関係を断絶する動きがあるので、それを一応報告しておきたいと思いましてね」
「断絶……!?」
シュルトはええ、と頷くと現在冒険者ギルドで起きていることを説明した。
そもそも、冒険者ギルドは同時多発的に各国で誕生した経緯がある。
各国各都市冒険者ギルドで活動方針がバラバラだったが、最も古く、歴史があったためその発祥をバインクレ王国とカールウェルズ魔創公国に挟まれた小国、中立国家モンタグナネラ共和国の冒険者ギルドであると定められた。
ここにギルド総本部が置かれ、冒険者ギルドとはいかなる存在であるべきか、と言う所から論じられて活動方針や基本規定などが決められ、各国冒険者ギルドに広まっていった。
それ故、各国各都市の冒険者ギルドは「自分は自分、他所は他所」という独立志向が強かったが連携する重要性も認識していたため、一定のルールは守る文化を築き上げてきた。
また、冒険者同士の争いなどあってはならない、と言う思いから政治と距離を置くルールである『相互不干渉協定』に於いても同様だった。
だがこの数年で和国の冒険者ギルドがこれを露骨に抵触している動きが見られる、という報告がギルド総本部に寄せられた。
ギルド総本部が特務調査員を和国に派遣して確認した所、和国の冒険者ギルドで提供される依頼は和国政府の検閲を受け、和国政府の意を汲んだものが多くあると言う。
政府が依頼主となった爵家の身辺調査であるとか、反体制派と思しき人物の尾行といった依頼は日常茶飯事。
犯罪者の捕縛協力と称した暗殺を偽装した依頼まであると言う。
また国境を超える依頼も目に付き、特にユングスタイン自治区の西に接するヴァリーク王国ではほぼ和国人が我が物顔で歩いていると言う。
これに対しギルド総本部は再三警告を発したが、和国冒険者ギルドは表向き改善する旨返事をしながら、その後も全く改まることはなかった。
そのためギルド総本部は和国各都市の冒険者ギルドをギルド連盟から除名する前提で最終検討中であると言う。
「ギルド連盟から除名されるとどうなるんです?」
「まず報酬が大幅に減ります」
ゼトラの問いにはミヒャエルが答えた。
冒険者ギルドが冒険者に支払う報酬は依頼主からの分に加え、依頼を受けたギルドからの補償金、総本部からの補償金が含まれている。
総本部の補償金は報酬の三分の一から二分の一を占めるケースがほとんどのため、それがごっそり抜けるとかなりの減額となる。
「なるほど……和国人冒険者が他国へ流れるようになるかな」
「その可能性もありますが、おそらく和国政府が代わりに補償金を出すことも考えられます」
「ハハっ、そうなりゃ和国冒険者ギルドはますます政府とズブズブになるのか」
「事実上の和国政府の諜報員化する可能性もありますね」
呆れて首をすくめるマーカスに同調するように、ミヒャエルとシュルトはため息をつく。
それから少しばかりの雑談を重ねて、ミヒャエルに連絡用のリンクドスネールを渡すと、シュルトと共にアパートを後にしたのだった。
そして物語の舞台はそれから一週間後、第一回公王選出会議へと移っていく。
予告。
メルキュールの仕事も片が付き、いよいよ旅立つことになる『明けの明星』一行。
一方、旧臣ミヒャエルも母アリスを探すため旅立とうとしていた。
それぞれ決意を胸に、果ての地を目指す。
次回「070.魔都に残したもの」
お楽しみに。
ブクマ、評価をつけて頂き御礼申し上げます。
本当にありがとうございます。
ブクマ、評価、感想などいただけると嬉しいです。
次回更新は2020年11月3日お昼頃の予定です。
よろしくお願いいたします。




