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誘拐事件の真相





「はー、やっと終わったー」




時刻は夕方5時

最後の授業が終了し、やっと一息つけるところだ




「あの講師、話長いんだよね。最後なんかもう聞いてないっての」

「朱音寝てたでしょ」

「仕方ないでしょー。念仏にしか聞こえないんだもん。起きてっていうほうが無理」




資料は用意されるけど、スライドも何も使わず、話だけをダラダラと説明されるという結構気力を使う授業

あの講師がする授業は学生にとって不評で有名な話であり、今日最後の授業があれだと思うと私も朱音同様うんざりするのは免れなかった




「うーんこのあとバイトなんだよねー。サボろうかなー」

「いや、ダメでしょ」

「だよねー」




盛大に溜息をつく朱音

気持ちは分かる

疲れてる上にまだ疲れないといけないのかって気分になるんだよね




「あのー・・・」




朱音と話をしながら学内を歩いていると、後ろから突然話しかけられた

振り向くと私より少し小さい女性がそこに立っている




「はい?」

「松本麗香さんですか?」

「そうですけど、どちら様?」

「あ、私星野志帆って言います。ちょっとお願いがあるんですけど、お話いいですか?」

「お願い?」




朱音と顔を見合わせる

初対面の人からお願いされるなんて初めてだから、ちょっといや、大分怪しいなと思うんだけど、まー話くらいなら聞いてみるか




「話くらいなら・・・」

「ありがとうございます!私経済学部所属なんですけど、前野由香って知ってますか?」

「前野由香って確か、」




確か誘拐されたっていう女性だったよね?




「はい、今誘拐されたって話題になってる彼女です。私彼女とはそれほど親しくはないんですけど、ちょうど1週間前に授業のノート借りてて」

「はぁ」

「返してくださいませんか?」

「は?」




なんで私が?

その前野さんとなんの接点もないのに




「いやいやなんで私が」

「松本さんって確か南区に住んでますよね?」

「そーですけど、それとなんの関係が?」

「彼女も南区なんですよ。南区って高級住宅が並んでる地区でしたよね?門構えがある大きな一軒家知ってません?」

「あーなんかあったかも・・・」




石造りの立派な門構えの家が私の家の近くにあったような・・・




「いやでも私関係ないし、あなたが持っていけばいいじゃん」

「そーなんですけど、今あの家ゴタついてるじゃないですか。私の家からも反対方向だし。私じゃちょっと行きづらくて・・・。だったら近くの人に頼んだらいいかなって」




何この無責任女

借りたもんぐらい自分で返せよ

なんだこの女、頭イカれてんのかな




「あのねー、あんたっ」

「あーはいはい、それ持っていけばいいのね」

「は?」

「本当ですか?!」

「いやちょっと!」

「まーまー、私も一緒に行くから」

「いやなんでっ」

「じゃあお願いしまーす」

「ちょっと話をっ」

「はいはーい」




ノートを朱音に渡すと颯爽と去っていくイカれ女

朱音はというと呑気にバイバーイと手を振っている




いやだから話聞けよお前ら




「何余計なことしてんのよ」

「あいたっ、何も叩くことないでしょー?」

「叩くわ普通に」

「もー酷いなー」




叩かれた頭を押さえながらぶつぶつと文句をいう朱音

文句を言いたいのはこっちなんだけどね

なんで私が他人の借りたノートを返さなきゃならんのだ




「なんで引き受けたわけ」

「あの子ぶりっ子で有名なの」

「ぶりっ子?」




あー確かにブリブリしてたなー

私の嫌いなタイプだ




「そ。男子はあの態度にデレデレ。だからあの子からのお願いは聞いちゃうわけ。だからあの子は自分の望みはなんでも叶うって思ってるの」

「うえっ、キモ」

「でしょー?で、あそこで麗香がキレてたら、あの子はきっと腹いせに麗香の変な噂を流してたかもしれない」

「別気にしないのに」




他人からどう思われようとどうでもいいのに

朱音はそれを懸念して、引き受けたらしい

優しいなー




「てかあんな子は一度注意した方がいいんだよ。誰もしないからあぁなんでしょ?」

「いいんじゃない?あのままで。だって社会に出て苦労するのはあの子なんだし。ほっとけばいいよ」




おぉ結構いうなー

確かに一理ある

でもどうするかなーこのノート・・・




「明日私何もないから、明日一緒に行こうよ。私が言い出したことだし」

「あー明日は私の方が用があるのよ。だから今日行かなきゃ」

「あーそうなんだ・・・。どーしよバイト変わってもらおうかな」

「いやそこまでしなくていいよ。返すだけでしょ?1人でできるよ」




まーちょっとあの女にはイラッとするけど、預かったものはしょうがない

ちょうど歩いて行ける距離だし、大丈夫でしょ





「本当?なんか結果的に1人で背負わせることになっちゃったね、ごめん」

「いーよいーよ。バイト頑張って」




手を合わせて謝る朱音

バイトまでの時間が迫ってるのか、少し急ぎめで去っていく

でもまた少し振り返って一言去り際に叫んでいった




「ちょっとだけでいいから事件のこと聞いてきてねー!」

「・・・」




そういえば、あの子ミステリーとか好きだったような




・・・さてはこっちが本命だな




「はぁ・・・」




こうして朱音にも振り回される私だった





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