誘拐事件
「あんたなんかに屈することなんて絶対ないから」
目の前の男にそう宣言する
私は絶対に負けたりしない
「それは楽しみだな。精々足掻けばいい」
男はそういうと、ニヤリと笑って私を押し倒した
――――――さて、勝利を手にするのは私か、それとも【化け物】か・・・
○○○○○○○○○○○
「でさ彼氏がね、今度は海に行こうって言ってて」
「うん」
「水着を買いに行かなきゃって思っているんだけど、麗華明日付き合ってよ」
「うん」
季節は夏
蝉が自身の存在を示すかのように忙しなく働くそんな季節
私はというとそんな存在など気にしないという風に涼しい屋内で呑気にコーヒーを飲用する
目の前にいる親友の声はちょっと聞こえているような、聞こえていないような・・・
「・・・朝、何食べた?」
「うん」
「・・・麗華」
「うん」
「聞いてないでしょ。私の話」
・・・ばれたか
「・・・ちょっとは聞いていたよ」
「嘘だ!スマホばっかみて全然興味ありませんって顔してた」
「してないって」
「じゃあ私がなんて言ってたか答えてみなよ」
「・・・海行こう?」
「・・・さいってー」
目の前でブーブー文句を言う朱音
小柄な彼女は傍から見れば大人しい可愛い女性だが、その正体は男勝り、大雑把女
でも恋愛に対しては純粋というよく分かんないタイプ
まぁ私が恋愛に全く興味ないっていうのもあるけど、この手の話はやっぱり苦手だ
「んで、何見てるの?」
「ん、あぁ。ただのニュースよ」
「私の話以上に興味惹かれるものだったわけ?」
ニコニコしているけど目が笑ってない
嫌味を言われているのは分かっている
女を怒らせると怖いってこのことなのかな
今度からはちゃんと話を聞こうと思う。たぶん・・・
「女子学生誘拐事件?」
スマホで何を見ていたか気になった朱音が覗き込む
ツイッターでニュース蘭を見ていた私はその項目に同時に目を向けた
他のニュースを見ていたから、別に気にしていなかったけれど、よく見ると女子学生は自分たちの大学の学生だった
「うちの大学じゃん」
「前野由香って人だって」
「え、マジで」
「知ってるの?」
「知ってるも何も有名だよ」
おぉ普通に知らない・・・
朱音の話によると大学でミスコンでも優勝したこともある美少女らしい
告白をする男性が後を絶たないとか
「8月1日に帰宅途中で何者かに誘拐された可能性があり、現在も捜索中だって」
「まぁあんだけ可愛いけりゃ誘拐もされるのかもね。噂通りならいいとこのお嬢様だって話だし」
「そうなんだ」
「でも最近この手の話多くない?」
言われてみればそうかもしれない
朝テレビをつければどこどこで行方不明とか誘拐されたっていう話をなんとなく見ていた気がする
なんでいなくなるんだって疑問に思ってあまり気にしていなかったけど、大学の、しかも自分たちと同じ大学生が誘拐となると自分たちとは関係ないってわけにもいかないのかもしれない
初心者であり、文章能力皆無です(笑)