表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/192

1-1話 プロローグ

第一章:異世界リスタエルス:



 色々な記憶が不確かに白く溶けている。名前、性別、年齢… 自分は何者なのか? 高校生… 小さな子供? 冷徹な男、みんなに好かれる笑顔… そして痛み…。


 ああ、そうか… 俺は死んだのか…。 


 意識が混濁して視界がぼやける。彼は温かい白色の輝きに包まれたまま、自分の(てのひら)を広げてみた… だが、そこにはあるはずの腕は見当たらない。そう、その先を視線で追っても己の姿はどこにも無い…。


 どうやら今は、肉体を失った魂だけの存在らしい…。


 改めて見渡しても、世界には白色の光が満ち、白くぬるい風が渡り、白い床と白い空が何処までも続いているだけなのだ。


 まぁ、それはそれで良いのだけども… 何で俺は、こんな状況でゲームのキャラクターをカスタマイズしているのだろう?


 周囲に浮かぶ影のない正方形(キューブ)が、この世界の唯一の形あるものだ。そしてその表面には、各種設定が滲むように浮かんで見える。まるで上質紙に色鉛筆で書いたように全てが淡いゴシック体だ。


 どうなってるんだ… いや、やっぱり種族は人族だよな?


 エルフ、ウッドエルフ、ダークエルフ、ドアーフ、ハーフリング、猫人族…

眼の前に流れていく、多彩な種族の中から当たり前のようにヒューマンを選択していた。


 更には体格、顔の造形、髪型、瞳、色… 


 死んでまでゲームやるって、絶対病んでるよな… それでも途中じゃ止めれない!


 無限の組み合わせから、積み上げていくキャラの姿は、マウスを動かすでもなく、パラメーターを調整する感じでもない。ただそれは自分の内にある理想像の具現化に近かった。要するに妄想がそのままキャラに仕上がっていく感じ?


 そして、こういうキャラクター制作の時間こそが、ワクワクと胸躍るのは、ゲーマーとしては仕方ないことだろう。


 ああ、次は職業(ジョブ)選択か… やっぱり暗殺者(アサシン)とかかかな? ソロプレイには良さそうだし。所属陣営は大陸図南側のディメテル連合陣営でいいや…。


 赤地に白い六花の図形が描かれた『ディメテル連合』のアイコンを選択する。もう一方の選択肢が青地に三日月と双翼が並んだ『アルテミス銀翼同盟』のアイコンだった。


 所属陣営を選択すると、何故か職業(ジョブ)選択画面が再び開く。


 ん? 複数職業(ジョブ)が選べるの? それじゃ… 無属性魔法使いの魔道士(メイジ)かな… ふむふむ。


 幾度も繰り替えされる職業(ジョブ)選択のダイアログを、意地になって選んでいくと、不意に二次職業(ジョブ)の選択画面に移行した。今度は生産系の職業選択らしい。


 そういえば… 俺ってどうして死んだんだけ? 年明けには大学入学共通テストを控えていたはずなのに… 何となく最後に、近所の大学病院に行ったのは覚えているんだけど… 何かの病気だったけ?


 こういう時って、神様みたいな人が、親切丁寧に送り出してくれたりするのが、定番(テンプレ)なんじゃないのだろうか? 「残念なことに君は死んでしまいました…」的に?


 しかし相変わらず、自分以外に世界は白色で、何よりヘルプも設定資料も何も無いままに、全ての選択が終了してしまった。


 彼は仕方なく、完成したキャラクターをぐるぐると回転させて眺めてみた。身長173cmの黒髪、茶目の日本人タイプの人族(ヒューマン)だ。少し長めの黒髪は首周りで軽く跳ね、綺麗に流れる二重瞼(ふたえまぶた)は、女性にも見える造形に、凛々しい印象を与えていた。


 正直完成してみると、リアルの自分に何処と無く似ているのがバツが悪い… 地味に上位互換の外見なのだ。


「そういや… 名前… 名前は… 島名(しまな) 大翔(ひろと)… あれ? 俺はそんな名前だったか?」


 そこで初めて声に出した言葉は、キャラクターの上部に『ヒロト シマナ』と自動で書き込まれてしまった。いちおう訂正することも可能らしいが、しっくり来たのでそのままにする。



:ヒロト シマナ: 人族(ヒューマン) ♂

職業(ジョブ)

 暗殺者(アサシン)

 魔道士(メイジ)

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


認証(アクセプト)



 あっ… 勢いで押しちゃった…。


 すると世界が鼓動を打つように輝き出し、強烈な浮遊感に自分が高く浮き上がる。彼は自分という存在が、光源に溶け、ゆるく同化して行くのが分かった。そして今のキャラクター制作の記憶が、あさりと霧散してしまうのだ。


「おぉ… あれが新しい異世界か…」


 薄れる意識の中で彼、島名(しまな) 大翔(ひろと)は、成層圏の上空から青緑色に輝いた、海と大地の美しい惑星にダイブしていた。広大な大洋の中央に浮かぶ、勾玉(まがたま)形の小振りな大陸に向けて、ぐんぐんと高度を下げていく…。


 良かった、いちおう世界は球形の惑星タイプだな…。


 大翔(ひろと)が無駄に安心する間もなく、火球に見える彼の魂は『大陸アレス』の中央付近、濃い針葉樹林の闇中へと消えていく。





:異世界リスタエルスのチュートリアルを開始します:





 何処(どこ)からともなく、そんな機械的音声が聞こえてくる。しかし少年の意識は、それを覚えること無く、眠るように暗転してしまった…。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 視点が滅茶苦茶で色々と破綻している。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ