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私と労災の1年間  作者: あ
9/19

始まり

4月下旬、今まで3人でやっていた現場が2人になった。


これからは20代の先輩社員と2人でこの現場をやっていく。書くにあたってこの先輩社員をこれから親方と呼ぶ。


親方は設計の専門学校を卒業しすぐ大工になったらしく、大工歴は1年半。専門学校でも設計のことばかりで大工の技術については全く学んでなかったので、自分ではまだまだだと言っていた。


人柄は明るく、所謂体育会系である。甲子園にも出場するような強豪野球部のキャプテンをしていたらしく声も大きく性格も大柄ないかにもなタイプである。だがやはりキャプテンをしていたということで、下を育てるのは得意なのだろう。


会社側も私とこの親方二人っきりで現場を任せたのは、やはり歳が近いからやりやすいだろうという思惑があったのだろうか。


前親方が他の現場にうつり、二人きりの現場。少し不安はあるが僕自身もやはり歳が近い人との方が話も弾むのではないかという考えはあった。楽しみなところもあった。その時は。


最初の方はよかった。道具の手入れの仕方や簡単な大工仕事など、やはり現場が2人ということもあり一般的な見習いがやるような掃除や手入れだけというのは人手が足りないのだろう。私にも技術的な仕事を教えてくれた。


嬉しい。大工をやっている実感がある。丸鋸やインパクトドライバーなど電動工具の使い方など色々教えてくれる。元キャプテンということで人に教えるのは上手だった。私もメモを取ったり色々質問をしたりをし、親方の技術を身につけようと必死になった。


そんなある日、私が親方に任された仕事をやっているとある一言の言葉を投げられた。


「○○君仕事遅いなぁ〜ばかがよぉ〜笑」


確かに私は仕事が遅かった。だが笑いながら言っていたので冗談交じりだろうと私も察していたので


「すいません笑」


と簡単に返す。だがここから徐々にエスカレートしていったのだ。


4月下旬からこのような予兆はあったが本格的に始まったのは5月に入ってから。この頃には毎日のように仕事が遅いと言われるようになっていた。


現実問題これは仕事であり学校でもバイトでも遊びでもない。仕事が遅いと進まない。なので仕事が出来ない私が怒られるのは当然である。


「仕方ない。自分が悪いのだ。だからこそ早く仕事ができるようになってやる。」


大工歴1ヶ月にして雲行きが怪しくなってくる。

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