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私と労災の1年間  作者: あ
7/19

現実

初めての現場を過ごし、その後は通う学校の入学式や集中授業等が入り数日間の間現場仕事はしていなかった。


学校では基本的な道具の扱い方や手入れの仕方など、初日の現場では教わらなかった所謂「手道具」と言われる電動工具とは違う道具の扱い方を学んでいた。


高校では学ばない専門的な授業。実技では道具の扱い方を学び座学では安全に関する事など自分の体を守るための法律の数々。学ぶことが多くとても楽しい。知らないことばかりだ。


入学式から友達もできたが、難しい課題も多いし授業時間も長い。朝から晩までひたすら座学の日もある。


たがやはり大工になりたいと思い入った学校で大工について学ぶという夢を叶えるための勉強というのはとても楽しく、スラスラと頭に入る。やりたい事をやってよかった。この学校に入ってよかったと心から思った。


学校は楽しい。仕事も初日は楽しかった。ならこれからはどうなるかという話だ。


学校での集中授業も終わり仕事もまた始まる。この時は正直仕事が楽しみであった。学校で大工についての知識を学びそれを生かせると思ったからだ。だがそう思ってしまうのも当たり前だろう。私は介護や飲食などの自分の職業とは関係ないことを学んだのではなく、大工という自分の職についての事を学んでいたのだから。


4月中旬、初日とは違う現場についた。初日にいた人とは違う人、違う場所、不安とワクワクが重なる。


ついた現場は小さなマンションのリフォームであった。三階建てのマンション一棟を丸々1つ、全部の部屋の壁を剥がしコンクリートを流し新しく間取りを作るというほぼ0からやる作業。


現場につくとまず最初に目につくのは現場の汚さだ。初日に行った現場は一軒家のリフォームである程度終わった場所なのでとても綺麗だったがそこが綺麗だっただけだ。これが現実か。上の階から解体専門の業者が壁などを剥がしている。上から落ちてくるコンクリートの破片が大量に落ちてくる。1kgクラスの大きな破片も時折落ちてくることもある。


普通ならこんな状況危険なのだからヘルメットを被るだろう。だが私が上司から言われた言葉は「上の階からコンクリート落ちてきて危ないから頑張って避けてね」だ。


私は気づいた。この会社には学校で学んだ安全に関する法律など全く適用されない。学校でいくら学ぼうと上司が「ない」と言ったらヘルメットはないし「被るな」と言われたら被らない。それが現場だ。


先に言うが私は仕事を辞めるまでの間ほぼずっとこの現場で働くことになる。


高校時代に描いていた理想の大工と現実とのギャップを感じ始める。


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