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私と労災の1年間  作者: あ
5/19

キャラ

行く学校も就職先も決まり人生のレールができた。この時の私は言うなれば天狗になっていただろう。


高校でも進路担当の先生や担任の先生、仲のいい先生達にもお世話になり決めた進路。友達達にも自慢というか進路の話を喋り散らしていた。


少し自慢になるが、私は高校ではちょっとした有名人だった。部活では和太鼓部の部長をやり、体育祭では副団長をやるなど前に出る活動が多かった。和太鼓部という少し珍しい部活はやはり目を引くので話題になる。学校説明会のOPや各種文化祭や体育祭など前に出る機会がとても多かった。


前に出る機会が多いということはつまり私の事を知る人が多くなること。それは私の事を嫌いな人が増えるということでもあるだろう。確かに在学中私のことが嫌いという話はよく聞いた。だが私は気にしない。


仮に10人にしか存在を知られてない人がいるとし、その10人のうち1人に嫌われていたとする。確率で言えば1/10で人に嫌われる。ではその人が100人に知られていたとしよう。確率で言えばその人は10人に嫌われてる計算になる。


この理論で言えば学校で色々前に出る機会が多く、大多数の人に知られるようになった私。学校内で1000人近くの人には知られていただろう。つまり100人に嫌われていたという事だ。100人に嫌われているという事実をわざわざ受け入れてナイーブになるか。私はならない。


人の好みなど十人十色だ。今話した理論も含め、他人が全員私の事を好きだとは最初から思っていない。最初から思っていないのだからこそ100人に嫌われていようが一々気にしない。言ってしまえばどうでもいい。なんなら私の事を嫌いな人達は私に嫉妬しているのだと見下してすらいた。そのぐらいの方がやりやすいし気にしなくて済む。


楽観的な私。友達もいっぱい居る。みんなと仲良が良くコミュ力もある。そんな自分が好きだった。自分が理想の存在だとすら思えた。


そんな私も卒業目前。進路も決まってみんなから期待されている状態。私自身もその状態が嫌いじゃなく逆にやる気に燃える。そんな時私にある声がかかった。進路部の先生からだ。


進路部の先生から私は「進路講演」をしてくれと頼まれた。天狗になり燃えていた私は快く快諾した。自分で20枚近いページにアニメーションや画像も大量に入れたパワーポイントを自作し、前に出るのが大好きな目立ちたがり屋な私は進路講演するのが楽しみだった。


講演本番、全校生徒とは言わないが約500人ほどが集まる体育館にプロジェクター。私は緊張というものはあまりせず、むしろこれから自分がする行為に興奮していた。


結果は大成功。私は500人の前で30分ほど自分の進路について熱く語り、後輩達も今まででよく知らなかった私の事をよく知ってくれていたことであろう。周りの先生や友達からも素晴らしいと称賛の声が上がる。私自身も喋りたいことを話し、むしろ自分のことをアピールできたという高揚感でとても楽しかった。


これで私の楽しかった高校生活は幕を閉じる。


だが私が高校生活で作った、明るくて社交的なキャラ。


そして進路講演などもして私のことを知る人が大量に居るという状況が、今後の私の首を苦しめた。


今はこの楽しかった高校生活を後悔すらしているかもしれない。






楽しかったのはここまで。




待っていたのは予想していた希望への道筋ではなく地獄の幕開けだ。



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