表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と労災の1年間  作者: あ
13/19

洗脳

私の親方は天才だ。


これは紛れもない事実であり約1年たった現在でもこの思考は変わらない。


今でさえ「私が仕事をできればこんな事にはならなかった」と思う。


これが病気によってこういう思考になってしまうというのは何となく理解出来る。


周りの人達は


「お前は悪くない。仕事始めたばっかの人がそんな簡単に仕事を覚えられるはずがない。ましてやお前は大工未経験だ。未経験者にそんな事を言うやつもおかしいし、相手の説明が下手だっただけでお前がそう考えるのは違う。」


とバッサリ私の考えを否定してくれる。


だがもう私の頭の中には「自分が悪い」という考えが刷り込まれているのだ。言わば洗脳とも言えるだろう。


私は自分自身でこういう考えになってしまった原因というものはわかってる。


暴言を言われ続けた結果の積み重ねでもあるのだが、明確に「これを言われたから」というものがあるのだ。



何度も言うが、私は仕事が出来ない。後にも書くが、第三者を交えた面談の際も親方は私の事を「○○くんは不器用であり、確かに仕事を覚えるのは少し遅かった」とさえ言っている。


そんな仕事が出来ない凡人の私と仕事が出来る天才の親方。毎日毎日親方に合わせられない私は暴言を言われ続け、それをひたすら我慢する。それが私の生活。


ある日、もうここまで来るといつも通りと言ってもいいだろう暴言の数々。だが時期はまだ5月の中旬。私が大工を始めて1ヶ月半である。


いくら一日に何十回も多種多様な暴言を言われているからと言って、それに慣れるなんてことはない。言い返しても無駄なので我慢しかない。我慢をすれば反論しない私に親方がさらに重ねて暴言を吐く。適当にあしらうなんて事は私にはできなかった。


ただでさえ肉体労働なのに暴言の数々で、身体的にも精神的にも参る。それにより仕事にもミスが増えてくる。ミスをし親方がまた怒鳴る。バカだのアホだのお前はなんで出来ないんだだの。この頃にはもう「死ね」すら言われるようになっていた。


精神的にも疲弊していた私は耐えられなくなってしまい、涙が出てしまった。


怒鳴られた直後に現場で泣いている私を見て親方はどう反応したか。


慰めるか?それとも言いすぎたと謝るのか?親方から出た言葉はその2つのどちらでもない。


「お前はなんで悲しんでいるんだ?いいか?俺がお前を怒鳴っているのはお前が仕事が出来ないから怒鳴っているんだぞ?好きで怒りたいわけじゃないんだよ。お前が仕事さえできればこんなことにならないんだぞ。全部お前が仕事が出来ないのが悪いんだ。お前が悪いんだぞ。お前が悪いんだぞ。」


つらかった。親方は私にこの言葉を投げ作業をしていた部屋を出る瞬間や廊下でもずっと「お前が悪いんだ、お前が仕事できないのが悪いんだ。」と連呼していたのが私にはハッキリ聞こえていた。合計10回以上は言っていただろうか。


こんな事を言われて尚「いや、でも仕事を始めたばっかだし出来なくて当たり前だ」と思える人がいるだろうか。私には無理だ。


「ごめんなさい。自分が悪いんです。」


この思考にしか行き着かない。涙目だった私の目を見てハッキリと「お前が悪い」と連呼されたのだから。



これが私の現在の自己否定的な考えになった1番の要因とも言えるだろう。書くのもつらい。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ