本と私
私の日課は夜、読書をすることだ。
必ず本は読むが最後まで読む時もあるし読まない時だってある。
これは元々おばあちゃんの日課だった。
おばあちゃんは夜に必ず新しい本を読んで、その日挟む栞に感想をほんの1文だけ書いて寝る日課があった。
おばあちゃんには、一度開いた本を寝る前に読まないこだわりがあり、毎晩新しい本を持って歳を忘れたかのようなキラキラとした目をしながら寝室に向かうおばあちゃんの姿をよく見かけた。
その日課のせいか、おばあちゃんが死ぬまでに二部屋も本の部屋が出来てしまった。
そこに私はおばあちゃんが死んでから興味を持った。
ページをめくる音、一枚一枚の手触り、表紙が色褪せても決して色褪せないストーリー。
どれもが私を魅了し誘惑してきた。
おばあちゃんが生きている間にこれに気付いていたら良かった。
私の今までの後悔はそれだけだ。
まだ、おばあちゃんの本は四分の一も読めていない。
本であればなんでも読んでいたのだろうか。ビジネスマン向けの本や児童書まで並んでいる。中には洋書もあり、改めておばあちゃんの頭の良さが分かる。
だが、SFが多いのは意外だ。
有名な映画になった物も、マイナーな埋もれたような物も一緒くたに並んでいる。
私の夢が宇宙飛行士なのはおばあちゃんからの遺伝なのだろうか。
だとしたら、少し嬉しいかもしれない。
他にも図鑑や地域資料まであり、どれも感想の書かれた栞が挟まれている。
まるでここはおばあちゃんと私、二人だけの図書館のようだ。
毎晩ここから1冊だけ抜き取って寝室へ戻る。そして朝になったら仏壇に感想を書いた私の栞をそっと置いておくのだ。
私がいない間にでも、感想を見てくれていると良いな。
おばあちゃんの図書館、あそこが私を育ててくれた場所。
そんな私は宇宙飛行士の夢を高校生の時、事故で諦めざるを得なくなり、今はこうして小説家になった。
家庭を持ち、それでも我儘をしておばあちゃんの家に住み続け、たまに私が書いた小説をそっと混ぜておく。
娘も本を読むのが好きで、あの部屋はもう二人の図書館ではなくなってしまったが素敵な夢の詰まったあの部屋を、本たちを、娘が大事にしてくれると信じている。
娘がそっと挟むいたずら書きのような物も、きっと私を見て真似たのだろう。
今度、おばあちゃんにも見せてあげよう。
こっそり真似た私、それを真似る娘。
三代続く、幸せな日課____。
感想とか、くれても良いんだよ?
(*・ω・*)wkwk
はい、冗談です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。