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8.特殊能力の発現

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 楽しい宴も終わり翌朝を迎えた。今日もゴーフリーと一緒に朝食をとる。昨日の疲れで身体が重い。


 朝食中はゴーフリーと戦利品の話をした。ゴブリンのこん棒は想定通り銅貨80枚で売却できそうだが、

 宝石については、村に来ている行商に確認しても正確な価値はわからなかったようだ。


「ということで、宝石については王都などで鑑定してもらう必要がありますじゃ。」

「そうなんだ。それで王都に行く予定はあるの?」

「ドルドが村に来ている行商と一緒に行く予定をしておりましたが、今回の件で取りやめになっております。他に行く予定の者はおそらくいないかと思います。」

「じゃぁ宝石については、しばらくは価値がわからないままか。」


 こん棒だけでは村の財政の足しにはならない。宝石の値段次第ではゴブリンの弓も売ることを再度検討する必要がある。


「まぁ行商に代わりに売却してきてもらうという手段もありますが、手数料がかかります。」

「そっかぁ。」


 手数料がかかってまでうる必要があるのか微妙なところだ。もし村の財政が逼迫しているのであれば行商に依頼するのも一つの手段だ。

 宝石の事はそれ以上話すこともなくそのまま雑談をしながら朝食を終える。

 朝食も終わり一段落したところで俺は昨日の宴の事をゴーフリーに話した。


「ゴーフリー、そういえば昨日儀式のときに不思議なことがあったんだけど。」

「不思議なことですか?」

「なんかカーバンクルっていう幻獣が頭上に来て、特殊能力を与えてくれるって言って去って行ったんだけど。」

「おお!儀式が成功したということですな。」


 ゴーフリーが勢い良く立ち上がり笑顔をみせる。


「たぶん、ちょっとステータス確認したいだけどいいかな?」

「わかりました。では、早速やってみましょう。」


 俺たちはいつものように聖水写しを行う。水面に文字が現れる。


 ◆ヒカル=オオマエ

 ◆レア度:★1(ノーマル)

 ◆種族:ヒューマン

 ◆職業:軍師(ただの高校生)

 ◆ステータス

 ・筋力 23 (H) → 筋力 24 (H)

 ・敏捷 38 (H) → 敏捷 38 (H)

 ・耐久 30 (H) → 耐久 33 (H)

 ・知力 70 (H) → 知力 71 (H)

 ・技  45 (H) → 技  46 (H)


 得意武器:なし

 特殊能力:(銀)軍師の成功報酬サクセスギフト(Pt 2)

 戦闘スキル:なし

 生産スキル:なし


「おお!特殊能力がついてる!後、わずかだけど前回よりはステータスが伸びてるな。」

「こ、これは、銀色の特殊能力ですじゃ!これは凄いですぞ!かなり良い特殊能力と思われますじゃ。」

「え!?そうなの」


『軍師の成功報酬サクセスギフト』と水面に書かれた文字は銀色に光っている。


「軍師の成功報酬サクセスギフトか。どういう効果なんだろう?」

「はて?わたくしめには見当もつきませぬ。ただ、銀色の特殊能力は通常の特殊能力の上位にあたるものだという話です。」

「おお!上位ってなんか響き良いね!」

「後に書かれている数字も気になりますな。王都の鑑定師に調べてもらえば何かわかるかもしれませぬ。」


 そういえば王都で特殊能力を鑑定できるって言ってたな。


「数日後に行商が王都に帰るようですが、同行されますかな?」

「う~ん。王都か。行ってみたいけど村の警護が心配だしな。あいつら(ゴブリンたち)が復讐してくるだろうしな。」


 俺は、村の警護が手薄になることを心配する。


「王都までは馬車でも片道15日はかかりますので、ヒカル様が不在というのは確かに心もとないですな。」

「他に鑑定してもらえるようなところはないのかな?」

「わかりませぬ。一度、行商に聞いてみますか。」


 ステータスの確認(聖水写し)を終え俺とゴーフリーは、村に来ている行商の元へと足を運んだ。

 行商は思ったより若く、俺と同じくらいの歳のようにみえた。早速、王都以外でで鑑定所があるか聞いてみた。


「あるよ。」

「本当ですか。」


 どうやら王都以外でも鑑定所はあるようだ。


「あぁ、ここから馬車で5日くらいのところにリルムフォルムという町があるんだけど、そこの冒険者ギルドのマスターが鑑定スキルを持ってるって聞いたことがある。」

「なるほど。5日か。一応王都よりは近いんだね。」


 王都は片道15日はかかるという事なので、リルムフォルムなら3分の1の日数で帰って来る事が可能だ。


「まぁ馬車って言っても積み荷を運んでる場合だけどな。送迎用の馬なら2、3日で到着できるはずだ。」

「そうですか。それなら早く戻って来られそうだな。」

「ヒカル様、この村には馬はございませぬ。人間の足で行くとなると結局8日くらいはかかりますじゃ。」

「そうなのか。行きが8日、帰りが2日か。」

「リルムフォルムで一泊するとして、最低でも11日間は不在という事になりますじゃな。」


 リルムフォルムは王都よりも近いが、結局時間がかかりそうだ。


「何か事情があるみたいだな。聞かせてくれよ。」

「俺の特殊能力を鑑定してもらいたいんだ。と言っても昨日、発現したばかりなんだけどね。」

「へ~。昨日って言えば、兄ちゃんたちゴブリン共を見事に撃退してたな。それに関連して発現したのか?」

「まぁそんなところだ。」


 どうやらこの行商も昨日の闘いを遠くから見ていたようだ。

 それにしても鑑定してもらうだけで10日以上も費やすのはもったいないような気がする。村の防衛のためにもっとやれることもあるはずだ。


「せっかくは発現した特殊能力ですので、正確に鑑定してもらった方が良い気がしておりますじゃ。」

「まぁそれはそうなんだけどね。」


 確かに鑑定してもらった方が良いのだろうが。微妙なところだ。


「時間がかかっても良いなら、行きだけなら乗せてってやってもいいぞ。道もわからないだろうし。」

「本当ですかな!?」

「あぁ但し、例の宝石を鑑定した値段の7割で俺に売ってくれればだけどね。」

「7割ですと!?それはいくら何でもぼったくりですじゃ。」


 リルムフォルムで宝石の売却値段を鑑定し、その値段の売値の7割で行商に売れという事らしい。


「ゴーフリー、やっぱりやめよう。鑑定は今じゃなくても大丈夫だし。」


 確かに自分の特殊能力を正確に把握しておきたい気持ちはあるが、

 ゴブリンどもとの戦いの中で効果はいずれわかるだろうし焦って鑑定する必要も無い気がする。


「そうですか。せっかくの銀色の特殊能力ですから鑑定してもらって効果を知りたいところですが……。」

「何!?銀色の特殊能力が発現したのか?」

「うん。そうみたいなんだ。」


 行商が銀色の特殊能力に反応して、目を丸くしている。


「あんたレア度★1で召喚されたっていう噂を聞いたんだが。」

「いや、そうだけど。」

「レア度★1で銀色の特殊能力がつくなんてよっぽどだぞ!」

「え?そうなの?」


 かなり稀な事らしい。カーバンクルは大成功だったってことなのかな?


「わかった。町まではタダで連れて行ってやるよ。」

「本当か!?」

「あぁ、本当は王都に行く予定だったが少し迂回すれば良いだけの話だしな。ただし、お前さんが銀色の特殊能力が発現したことは、他の行商はもちろん村の人にも内緒にしておいてくれ。」

「ん?どういうこと?」


 行商の突然の提案に俺たちは戸惑う。


「俺たちのような行商が商売するときに、信用の次に重要なものがある。何だと思う?」

「いや、行商なんてしたことがないからわからないよ。」

「まぁそうだろうな。」


 行商はニヤリと笑みを浮かべながら話しを続ける。


「俺たち行商にとって重要なものの一つは『情報』さ。どこで何が起きていて、どういうものが安く仕入れることができてどういうものが高く売れるのか。それを見極めるのに情報が必要なのさ。」


 なるほど、確かに需要や供給などを把握していないと商売はやっていけないのかもしれない。


「それと、銀の特殊能力にどういう関係が?」

「この村は年中ゴブリンに襲われていて、商売をするには儲からないという先入観が行商の中ではある。だから俺もこういった穀物の収穫時期や毛皮が取れる時期にしかこの村に寄らない。」

「え!?そうなの?」

「あぁ、毎年ここに来るときは、利益が出ないかもしれないというリスクを負って来てる。」


 なるほど。ゴブリンに襲われて村が貧困に陥っていたら、穀物などの買い付けが出来なくなり無駄足となる。そういったリスクを負いながらもわざわざ行商に来ているということだろう。


「ところが、銀色の特殊能力がある者が現れ、ゴブリンが安定的に討伐できるようになればリスクが少なくなる。安定して稼げる可能性が拡がるってことだ。」

「なるほど。」

「他の行商にそのことを知られたらもこの村に押し寄せてくる。それは俺の飯の種の一つがなくなるってことを意味するってことだ。」

「そういうことか。」

「逆にこのことを他の行商に知られることなくあんたが活躍してくれれば、俺はこの村を商売の拠点にして毎年大儲けできる。俺にとっては理想的な展開だ。」


 俺が活躍して村が豊かになればこの人はひと儲けできるってことか。まぁ筋が通ってるし、俺たちを騙そうってわけでもなさそうかな。


「ゴーフリー。ちょっと留守にすることになると思うけど、リルムフォルムに行って来てもいいかい?」

「はい、ぜひとも行って来てくだされ。」


 ゴーフリーは満足そうな笑みを浮かべている。


「ありがとう。」


 俺はゴーフリーに感謝を述べた後、行商に手を差し出し握手を求める。


「ヒカル=オオマエと言います。リルムフォルムまでお願いします。」

「まぁそうこなくっちゃな。俺はトーマス=ビヨンドよろしくな。」


 俺とトーマスは固く握手をした。


「じゃあ、出発は6日後の朝を予定してる。当日の朝は穀物とカーリーの毛皮を積み込むから早く出発するために、少し手伝ってくれ。」

「了解した。」


 6日後にリルムフォルムに出発する運びとなった。

 出発の準備が整うまでの間、俺たちは訓練をしながらゴブリンを迎え撃った。

 と言ってもゴブリンどもは村の外から様子を伺っているだけで、イノックが突進していくと一目散に逃げて行くだけだった。

 前回の撃退が相当堪えているようだった。

しばらく村を空けていても問題無さそうだが、念のためゴブリンが大軍で襲ってきた際の避難方法などを確認し訓練を行った。その後は特に大きな変化もなく6日後の朝を迎えた。


「おはよう、トーマス。」

「おはよう。」

「こんな早くから荷物を準備するだな。」

「あぁ、穀物は昨日のうちに積み終わってるから、キャンプ道具と毛皮を積み込みを手伝てくれ。」

「わかった。」


 俺はキャンプ道具を持ち運び荷台に乗っているトーマスに手渡してく。

 キャンプ道具の積み込み終わると毛皮を上にかけて荷物が落ちないよう紐で縛った。


「よしっ。これで完了だな。道を教えながら行くから道中は俺の横に座ってくれ。間違えると帰って来れなくなるからしっかり覚えるんだぞ。」

「マジか。ちょっと心配だな。」

「まぁ、町で馬車を雇えば帰って来れるが、念のためな。」


 トーマスは心配するなと言わんばかりに笑みをこぼす。


「ヒカル様、お気をつけて」

「ありがとう。ゴーフリー行ってくるよ!」


 付き添いで来てくれているゴーフリーに別れの挨拶を交わす。


「じゃあ行くぞ!」


 トーマスの掛け声とともに馬が走り出した。ゆっくりと歩く速度で動いている。徐々に町が遠のいていく。

 人が早歩きする速度とあまり変わらない。


「思ったよりのんびりした旅なんだな。」

「まぁこの馬も年だしな。無理はさせれないのさ。このペースでも休憩を十分にとって、一日60里くらいは移動できる。」

「60里ってどのくらい?」

「う~ん。まぁここから村が1里ってところかな。」


 村の方を振り返る。目算で大体500メートルくらいといったところか。


「リルムフォルムまではどのくらいの距離なの?」

「まぁ200里ってところかな。」

「へーそうなんだ。」

「途中でデコボコ道を行くことになるから覚悟しておけよ。」


 200里ということは、大体100キロくらい離れてるってことになる。途中で道も険しくなってくるようだし意外と大変そうだ。


 道中はしばらく雑談をしていた。この世界の事やお互いの成り立ちまでを話した。トーマスの話では、バーミントン村はロキア王国の最西端に位置する小さな村ということだ。農業と畜産業が盛んであるが、ここ最近はゴブリンの被害が多くなり、先日話があったように行商に出向く者もあまりいないという。


 トーマスは22歳で自分の足で行商をはじめて3年になる。老いた馬を安値で手に入れる機会があり借金をして馬を買ったらしい。今はようやく借金が返済できたところで、店を構えるために一山当てようと各地を回っていたとのことだ。


 馬車の旅は、途中で山道などがあり大変ではあったが比較的楽しいものだった。トーマスも普段は一人で旅をしているので、話し相手がいて楽しそうな様子だった。

 俺たちは魔物や野盗に襲われることもなく順調にリルムフォルムに到着することができた。


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